特集:特別対談 ページ3

第一次中期経営計画の総括および第二次中期経営計画の注目ポイントなどについて、銀行セクターのトップアナリストであるシティグループ証券株式会社マネジングディレクターの野﨑浩成氏をお招きし、当行代表取締役社長の当麻と対談を実施しました。

特集:特別対談 当麻茂樹(代表取締役社長)×野﨑浩成(シティグループ証券 マネジングディレクター)

第二次中計のポイントについて
業務の融合によるシナジー効果の創出

野﨑:さて、中計に戻りまして、第二次中計の中で、これだけは注目してください、これはポイントです、という点があれば教えていただけますか。

当麻:個人向け業務と法人向け業務がありますが、まずは個人向け業務からお話しします。当行の個人向け業務には三つの主要業務があります。一つ目はリテールバンキング、二つ目は連結子会社の株式会社アプラスを中心に展開するショッピングクレジット、カード、決済、三つ目は消費者金融です。今まで同じ部門の中にありましたが、それぞれがバラバラに事業を展開していました。なぜバラバラなのか、私が当行に来た頃からの疑問でした。それらを銀行モデルでやると言ってはいるものの、行動には移していなかった。レイクは、現在イメージキャラクターとして菜々緒さんを起用し、広告を頻繁に出しています。ウェブサイトの画面づくりも、レイクは培ってきた経験があるので優れています。例えば、画面は字と写真だけというのと比べたら、キャラクターなどが宣伝した方がずっと人の注意を惹くと彼らは言います。銀行にはそんな考え方は全くありませんでした。銀行の店舗にある広告などを見ていると、いろいろ書いてあってよく分からない。これらは経験がある専門家に作ってもらった方がよいと言っています。三つの業務間でこのようなマーケティング手法を融合したらすごく効率化されると思います。

野﨑:得意な人に任せた方がよいということですよね。

当麻:そういう発想が全くなかったわけですよ。このため、この三つの業務を融合することにしました。その中でどういうシナジーが狙えるか挑戦したいと考えています。コア顧客を500万人にするというのが目標ですが、単に現在250万の口座数を500万にしても全く意味がなく、実質が伴った500万にしなければなりません。ではコア顧客の定義は何かと言えば、この三つの主要業務のサービスを、ニーズに合わせて自由に利用できるお客さまになります。

現在リテールバンキング、アプラス、消費者金融を合計すると1,000万人近いお客さまがいらっしゃいます。三つの業務を統合して、お互いに乗り合いをして、上手いインセンティブ付けができればコア顧客500万はすぐに達成できると思います。また、知恵も湧いてくる。乗り合いで合理化もできる。強引に力で集めるのではなくて、お客さまに自ら選んでいただいた結果、500万人に到達している。これこそ顧客満足の最たるものではないかと思います。

法人向け業務については、旧態依然とした融資手法ではなく、プロジェクトやキャッシュフローなどのファイナンスを行いたいと考えています。それを新興成長市場でやっていきたい。これから生まれてくる産業をまるごと育成する、そういうところに力を注ぎたいと思います。

公共施設などの建設・維持・管理について民間の資金・技術を活用するPFI (Private Finance Initiative)については、その先例がイギリスにはたくさんあり、PFIを活用する仕組みが非常に深く考えられています。法制度もしっかりと整備されていますし、そういうものを日本に持ってきて、マーケットを健全な形にして広げていきたいですね。

野﨑:確かにイギリスではPFIが活発ですね。ただ、法体系が異なるということと、日本の場合PFI法がまだまだ十分に整備されていない環境であり、逆に新生銀行が行政と一緒になって使い勝手のいいモノになるようにリフォームしてもらうといいかもしれないですね。

当麻:新生銀行は元々長期信用銀行でしたから、行政と一緒に金融市場制度について議論をしてきたことはずいぶんあった訳で、そういう意味で今後もお役に立てるのであれば、ぜひやっていきたい。そして先駆者になりたい。規模では他行に勝てないので、そういうところに力を入れていくしかないでしょう。

野﨑:先駆者利益といったところで、事業を作るところからやっていきたいということでしょうね。ただ一方で、例えば再生可能エネルギー、医療、介護は成長分野ということで、恐らく他の銀行も同じところに着眼することが考えられますが、新生銀行にはどのような強みがあると思いますか?

当麻:当行はスピードが速い。これだけは確信を持って言えます。また、受け身でなく、主体的に取り組みます。当行のこのような強みを活かせば、十分他行に伍していけると思います。

野﨑:新生銀行はかなり効率化された銀行だと思いますが、やはりネットワークや人的経営資源が他行に比べ少ないと思われます。そのような状況の中で、経営資源としてここを付け加えると成長の推進力が増すという点はありますか?

当麻:ご指摘の通り当行はネットワーク、人材など、他行と比べ相対的に劣後している部分が多くありますので、なんでも自前で展開できる訳ではありません。このような当行の状況をカバーする要素としてネットワークの構築が挙げられます。大学やシンクタンクとの協業がそれに当たります。また、地銀との連携構築にも、かなり注力しています。

今、日本の経済再生には二つのアプローチがあると思います。一つは規制緩和で、もう一つは地域再生です。この地域再生の部分では、平成24年10月に、ふくしま成長産業育成ファンドを立ち上げました。地方銀行やメガバンクが行っている復興ファンドではなく、あらゆる業種の企業を福島県に呼ぶファンドを作りましょうということが発端です。招いたあらゆる業種の企業が融合し、特徴的な産業クラスターを作り、自立的な社会を作ることが、このファンドのテーマです。これをぜひ実現させ、勝利の方程式のようなものを作りたいと考えています。

  • *新事業が次々と生み出されるような事業環境を整備することにより、競争優位を持つ産業が核となって広域的な産業集積が進む状態(経済産業省ホームページより)

野﨑:地域の金融機関からすると、メガバンクと商売をするとなると商売の機会を乗っ取られるのではないかという恐れがあると思います。そういう意味では新生銀行はお付き合いしやすいのではないか。ただ、これまでの提携のあり方などを振り返りますと、仕組預金などの商品・サービスを新生銀行が開発し、それを地域金融機関のお客さまがご自身のブランドで取引先(個人・法人のお客さま)に販売される「ホワイトラベル」の提供といったものはされていても、地域の悩みを共有化するビジネスはやってこられなかったようですね。

当麻:残念ながらこれまで当行にはそのようなビジョンはありませんでした。

今後10年は、地方銀行にとって非常に厳しい時期になることが予想されます。運用はこのままいけば厳しい状態が続くと思われます。また、現在のように預金が潤沢に集まっていて、運用に困っているということが、将来も続くとは言えません。地方銀行が存在意義を確立するためには、預金が潤沢にある今のうちに運用を強化・多様化する必要があると考えています。当行としては、運用そのものを一緒にやりましょうという提携の仕方があるかもしれません。どれだけの地方銀行に賛同していただき、集まるか分かりませんが、例えば、数十行の地方銀行と提携でき、余資を集めて海外などのプロジェクト案件などに融資するといったことなどは、かなり良い運用成果を得られると考えています。

野﨑さんのおっしゃるとおり、新生銀行だから快適に安心してお付き合いいただける、というところがあると思いますが、長いお付き合いをさせていただくためにも、当行はさらに本業のところでお手伝いをする実績を積まなければならないと考えています。

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