特集:社長、投資家対談

新生銀行グループの成長戦略、新生銀行らしい商品・サービスの展開、資本政策・株主還元策について、BNPパリバ証券株式会社の銀行セクターアナリストである、鮫島豊喜氏をモデレーターに、野村アセットマネジメント株式会社の西村英一郎氏、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社の花岡宏行氏をお招きし、当行代表取締役社長の当麻茂樹とのグループ対談を実施しました。

特集:社長、投資家対談

左から

当麻 茂樹
新生銀行 代表取締役社長
鮫島 豊喜(モデレーター)
BNPパリバ証券株式会社 株式・派生商品統括本部 株式調査部 シニア・アナリスト
西村 英一郎(機関投資家)
野村アセットマネジメント株式会社 企業調査部 シニア・アナリスト
花岡 宏行(機関投資家)
JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社 RDP運用本部 投資調査部 マネジング ディレクター

成長戦略について

鮫島:当麻社長が平成22年に新生銀行に来られてちょうど4年が経過しました。第一次中計を終えられて、現在、第二次中計の1年目を終了されましたが、これまでの進捗状況をお聞かせください。

当麻:まず私が当行に来てやらなければならなかったのは「火消し」です。つまり、過去の負の遺産を整理し、本来あるべき銀行の姿に戻すことだったのですが、これは前期末(平成25年度末)で完了できたと思います例えば不良債権処理について、これ以上利益を下押しする圧力が無いようにし、また、消費者金融における過払い利息返還に対しても追加繰り入れを実施するなど、必要な対応は全部やりました。

このような負の遺産の処理は一旦完了できたのですが、我々が本当に取り組まなければならないのは、当行の存在意義をどう世の中に問うていくのかということです。日本に銀行がこれだけある中で、メガバンクでもない地域金融機関でもない当行がどのように存在価値を出していくのか、というのが宿命としてあります。

花岡:過去の遺産を整理され、今後新しいものを創造されていくためには、成長戦略が非常に重要になります。その中で差別化が重要な切り口になるわけですが、差別化は継続して取り組まないかぎり、規模の大きい会社が後発でやってきて、マーケットを崩していくということがよくあります。差別化を続ける体制を社内でどのように作っていくのか、どうやって促進するのか、そのあたりについてどうお考えでしょうか?

当麻:個人向け業務におけるインターネットバンキングの分野で、当行は草分け的な存在となりました。コンセプトが新しくて、手数料を取らず、24時間365日稼働している。これは伝統的な銀行業の発想ではなく、アウトサイダーの発想から生まれました。店舗は午後3時で閉めて土日は休み、手数料は当然取ります、というこれまでの伝統的な銀行の有り様を覆したことから大きな支持を得られ、スタート当時に口座数が一挙に増えましたから、大成功でした。

今後もこのような取り組みを恒久的に実施していくことで差別化を図りたいと考えています。社内の体制という点では、支店でお客さまと接しているスタッフを集め、お客さまの要望や仕事を進めるうえで苦労している点を徹底的にヒアリングし、議論をしています。

花岡:成長のアセットを積み上げていくには、どこかの時点で多少のリスクを取るという段階が出てきて、過去それで過度なリスクを取ってしまった状況になった訳ですが、この過度にリスクを取ってしまう状況になる前に歯止めを利かせることができる体制になっているのでしょうか?

当麻:もちろんリスクは取りにいきます。ただし、きちんと判断してリスクを取ります。そのためには、自分が取っているリスクが何かを突き詰めて考えるようにしています。新しい技術や最先端の分野などは、これからどんどん成長していくと思いますが、我々に専門的な知識があるわけではないので、本当に成長するかを判断するために、技術の専門家、アントレプレナーの集団、または、大学などとネットワークを作り、判断基準の材料にしています。これらのネットワークからの情報などを勘案し、リスクテイクするわけですが、過去と全然違うのは1件当たりの与信限度を決めていることです。社内的な格付けに応じて与信の上限を決めています。例えばアントレプレナー型で事業を起こしたばかりのような企業は一番リスクが高いので、せいぜい与信は1億円です。銀行の本業はリスクを取ることであり、取っていいリスク、取らなくていいリスク、取るべきリスクなど、リスクに対する感覚をまず磨くことを始めています。

西村:御行は、第二次中計において、顧客基盤を拡充させるために経費を積極的にかけていこうという戦略です。これが思いのほかうまくいかず、業務粗利益が増えない場合、次にどのような手がありますか?

当麻:平成26年度計画は、外部の方から、業務粗利益が少し強気すぎると言われています。しかし、当行の長期的な存在意義を支えるものは何かといえば、差別化戦略で、その効果がお客さまからの支持というかたちで必ず表れてきます。その結果として業務粗利益が伸びると考えていますので、強い業務粗利益と保守的なコストの計画にしています。

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