特集:社外取締役、社長のガバナンス対談

新生銀行のコーポレート・ガバナンスについて、野村證券株式会社の銀行セクターアナリストである、高宮健氏をモデレーターに、 社外取締役であるアーネスト M. 比嘉氏と、当行代表取締役社長の工藤英之および当行相談役(前代表取締役社長)の当麻茂樹とのグループ対談を実施しました。(平成27年4月対談実施)

特集:社外取締役、社長のガバナンス対談

左から

当麻 茂樹
新生銀行 相談役
工藤 英之
新生銀行 代表取締役社長
高宮 健(モデレーター)
野村證券株式会社 銀行セクターアナリスト
アーネスト M. 比嘉
新生銀行 社外取締役

高宮:コーポレートガバナンス・コードが策定されたこともあり、ガバナンスに対する認知や経営者のガバナンスに対する感度が、ここ半年で急速に上がってきています。その中で、どのようにしたらガバナンスの仕組みに魂を入れられるのか日本の企業が真剣に考え始めています。比嘉さんは、株主・投資家が新生銀行の社外取締役に対して、どのような機能・役割を期待していると思われますか。

比嘉:まず経営者がコンプライアンスをしっかり果たしているか監視することが期待されています。加えて、株主に選ばれた代表者として、企業価値を高める議論をしなければなりません。新生銀行は、6名の取締役のうち4名は社外取締役で構成されていることもあり、社外取締役が発言しやすい環境が整っています。(注:平成27年6月17日現在、7名の取締役のうち5名は社外取締役で構成されています。)

高宮:業務執行側から、これまでの取締役会の議論を振り返って、特に社外取締役からの指摘で、鋭いところを突かれた、もしくは非常に助かったというような経験はありましたか。

当麻:このような場面ではこう考えるのかと気づかされたり、業務執行側の考えについて、ある種の「保証」のような機能を果たしていただいたりすることはよくありました。社内の役員からは出ないであろう指摘もあり、思考の「エアポケット」に落ちることを防いでもらえます。また、社外取締役に対して説明をする時は、共通認識がない白紙の状態に戻してから議論するため、中立的に物事を見つめ直すことができます。有益なアドバイスの一例としては、比嘉取締役から株式会社フォーバル(以下、「フォーバル」)という中小企業の海外進出をサポートする企業をご紹介いただきました。東南アジアへ進出する企業に対しフォーバルが具体的支援を実施し、当行がファイナンスをつけるというビジネスモデルです 1。これは将来の発展可能性を秘めた面白い取り組みで、比嘉取締役のアントレプレナーとしてのネットワークを当行の成長に活かした好事例です。

  • 1フォーバルと新生銀行は、中小企業のASEAN進出支援事業に関する業務提携をし、両社連携による中小企業のASEAN進出支援を平成26年4月から開始しました。

比嘉:今後もこうしたビジネスマッチング的な活動にも取り組んでいき、日本の銀行業そのものに直接従事していなかったからこそ発想できる切り口で、企業価値向上につながる取り組みを支援していきたいと考えています。

高宮:新生銀行の取締役会の平均出席率は98%と高いですが、どのような雰囲気で議論がなされているのか、社外取締役の立場、業務執行側の立場から、それぞれお話しくださいますか。

比嘉:皆が十分に議論できる時間が確保され、すべての社外取締役は聞きたいことを何でも聞き、率直かつ自由に発言することができる環境です。多様な経歴を有する社外取締役からは、銀行業の専門知識にとらわれず、自身の見識から臆せず質問をすることができます。コーポレートガバナンス・コードが策定される以前から、多くの場面で、こうしたコーポレート・ガバナンスの精神が実行されていると感じます。

当麻:取締役会には、社外取締役が4名、執行役員を兼ねた社内取締役が2名、常勤監査役が1名、社外監査役が2名参加します。(注:平成27年6月17日現在、社外取締役は5名となっています。)加えて、各事業の部門長が陪席します。社外取締役からの指摘は多岐にわたりますし、時間も長時間ですので、そういう意味では業務執行側からすれば大変です。私が就任した当初はリスクについて大きな課題が残っており、何が駄目だったのか個別に原因追究をすることが議論の中心でしたが、昨今では、当行のリスクポリシーへ議論が移っています。その時その時の問題を洗いざらい指摘していただき、業務執行側もそれに応えていく中で、頭の整理にもなるし、はっと気づくところがあるので、非常に役に立っています。

高宮:金融機関にとってのリスクという非常に重要なテーマの話が出ましたが、工藤さんはこれまでのチーフリスクオフィサーの立場で取締役会に参加される中で、社外取締役から非常に重要なアドバイスをもらったという経験はありますか。

工藤:当麻就任の当初2年ぐらいは、いわゆるレガシー資産処理が非常に大きなテーマとしてあり、その進捗状況を取締役会に説明していく中で、投資家など外からの見え方も議論しました。昨今は不良債権処理も大分落ち着きましたので、新しく取り組むべき分野についてのリスクテイクの方針を説明する機会が増えていると感じます。社外取締役からは、銀行の中からでは出てこない意見、切り口の違う意見を出していただいています。

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