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米国・日本・中国・インドの各国が、2010年を“復活の年”にするためには何が必要か?そして、2010年のマーケットはどう動くのだろうか。
為替を含む各マーケットの専門家にそれぞれインタビューを実施。常にマーケットをウォッチし続けている者だからこそ感じ取れる、2010年のキーワードと展望を伺いました。(作成:2010年1月)
株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、 必ず個別金融商品を説明するページをご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、 各金融商品にかかる固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。
亜州IR株式会社
代表取締役社長
又井郁生氏
1964年秋田県生まれ。横浜国立大学大学院修了。国内証券会社から同証券系の香港投資顧問会社、シンガポール現地法人勤務、中国株情報会社社長を経て、2003年12月に亜州IRを設立。英語、北京語を自在に操り、現地の情報に精通。テレビや雑誌などでも活躍中。
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昨年来、中国株の回復につれて、又井さんのコメントをテレビや雑誌で拝見する機会が増えたような気がしますが、そのほとんどはおおよそ『強気』ですね。
<又井氏>
中国株の上昇トレンドはまだ続くと見ていますから。
おそらく、中国株は今年の6月ごろまでは堅調に推移するでしょう。夏頃に一旦調整を挟んで、また年末に掛けて上昇といったイメージです。
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たしかに中国の成長力に疑いの余地はなく、その実力はすでに世界の多くの投資家が認めています。しかし投資の世界では「知ったら仕舞い」といわれるように、中国の高成長はすでに今の株価に織り込まれていませんか?
<又井氏>
たとえば、現在の中国のインターネット利用人口は約3億人といわれていますが、この数はすでに米国の全人口(2008年時点で3.14億人)とほぼ同じなのです。
それでも人口に対する普及率はまだ25%程度ですから、米国の74%にくらべればまだまだ増える余地が相当にあるといえます。
つまり中国の話ではとかく規模が大きくなりやすく、「知ったら・・・」といっても、ちょっとモノサシが違うのです。

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たしかに、昨年に中国政府が打ち出した景気対策も、その額4兆元。日本円で約55兆円と、仰るとおりモノサシが違いますね。
<又井氏>
その巨額の景気対策の効果で、中国経済はV字回復を果たすことがでたといえるでしょう。2009年第3四半期のGDP成長率は8.9%の伸びとなり、おそらく政府が目標としている2009年通年での8%成長もほぼ確保できる見通しです。また2010年は通年で10%前後の伸びが期待でき、2桁成長が視野に入りそうです。
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2010年に景気対策効果が剥落する心配はありませんか?
<又井氏>
先ほどのGDP成長率でも、中身が変わってきていることに注目してください。2009年前半はやはり政府主導の公共投資の効果が大きかったのですが、2009年後半からは民間の不動産投資や個人消費の寄与が大きくなっています。
また不安材料の貿易も、11月の輸出入総額は前年同月比で9.8%増加し、今年初のプラスに転換しています。輸入は約27%増と大幅な伸び率を記録。また輸出は1.2%減とマイナスが続いているものの、10月の減少率(10.7%減)からは大きく改善しています。
───── では逆に景気が良くなりすぎてはいませんか?不動産の値上がりなど、一部では“バブル”との指摘も多くなっています。
<又井氏>
政府が不動産取引や銀行の新規貸し出しに規制を掛け始めているのは確かです。例えば「開発用地の取得の際には頭金を取得額の50%分用意し、さらに残りも1年以内に支払うこと」といったようなものです。
ただ、低価格帯などの通常の住宅取得については緩和的な状態を維持しています。
規制を強化しようとしているのは、投機的な動きをはじめ、高級マンションや既に物件を持っている人がさらに購入する場合などが対象です。つまり緩和を継続しながらバブルにつながる投機は規制しようとするものです。

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引き締めながら緩和するという、難しい手綱さばきは実際に可能でしょうか?
<又井氏>
昨年の12月初旬に開催された、中国の経済運営の基本スタンスを決定する会議「中央経済工作会議」でも、景気刺激策と緩和的な状態を継続するとの基本方針が示されています。
今までが「大盤振る舞い」過ぎだったのです。ですから今の状態から多少引き締めたとしても、まだ十分緩和的な状態といえるでしょうから、両睨みの運営は十分可能だと思います。本格的な引き締めを意味する政策金利の引き上げは、早くとも2010年の第2四半期以降となりそうです。
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本格的な金融引き締めは第2四半期から、つまり4〜6月ということですが、冒頭の2010年のシナリオで示された『6月頃までは株価堅調、そこから一旦調整に入るだろう』というのは、この引き締めが、株価の調整のきっかけということですか?
<又井氏>
実は中国株の過去の実績をみると、1回目の利上げ時には株価は上昇する傾向があります。ですから、本格的な株価の調整は2回目以降の利上げとするならば、調整はもうすこし後になるかもしれません。
また3月から5月に掛けては09年12月期(本決算)や10年第1四半期の業績が発表される時期にあたり、今の企業動向ならば業績改善による好決算の発表が相次ぐと予想されます。今のファンダメンタルズや企業業績の見通しからは、調整は小幅にとどまるかもしれません。もちろん、一旦調整となったときには、1〜2ヵ月の辛抱が必要になるでしょう。
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2010年の中国株を牽引するとしたら、どんなところになりますか?
<又井氏>
食品や小売、インターネットなどでしょうか。インターネット関連の「テンセント」などは、随分上昇していますが、まだ上値余地はあると思います。
中国政府は、先ほど取り上げた「中央経済工作会議」で、経済政策の重点を消費の拡大に置くとしています。つまり『投資』は抑えても、『消費』というエンジンをさらに噴かすことで、成長のスピードを落とさないようにしたいと考えているのです。また高級品、価格の高いものの消費が増えていることも追い風になりそうです。
───── 中国が強い製造業の見通しは?
<又井氏>
自動車業界はやや苦しいでしょうか。競争が激化していますし、参入が相次ぎましたので、淘汰・再編はこれからでしょう。また、セメントや鉄鋼などでは、すでに懸念されているように設備過剰にありますので、こちらも整理が必要です。
ただ、このような淘汰は、投資信託などを通じて中国株に投資されている方にはメリットともいえるでしょう。整理されるのは主に中堅どころの企業群であり、ファンドなどが投資している業界を代表するようなところにとって業界再編はメリットとなるからです。

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人民元の切り上げ圧力は、リスク要因となりませんか?
<又井氏>
人民元上昇の影響は、製造業に限れば軽微でしょう。たとえば中国で生産される自動車のほとんどは、国内向けですから。
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「エコ対策」などの技術対応は大丈夫ですか?
<又井氏>
うーん。それはどうでしょう?確かに、自動車に限らず環境問題の国際的な圧力が強まることは、中国企業の多くにとっては収益が圧迫されやすく、リスク要因でしょうね。
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それでも人民元建ての債券が人気化するなど、通貨「元」への信頼度は高くなっているようです。話を戻しますが、中国投資で為替リスクは少ないと考えていいでしょうか?
<又井氏>
当面は人民元の大掛かりな切り上げはないだろうと考えています。もちろん、切り上げ圧力は掛かりつづけるでしょうから、若干の上昇修正にとどまるでしょう。
ただ、人民元、香港ドルともに今の通貨制度では米ドルに連動しますので、昨年のように米ドルが他の通貨に対して全面的に下落する「米ドルの独歩安」になるようだと、対円で、人民元安、香港ドル安となり、投資家にはマイナス要因です。

───── 日本国内の景気回復は弱く、まだしばらく中国やインドの景気に期待するところが大きいといえます。
<又井氏>
さきほど、中国で高級品、価格の高いモノの消費が増えている、と話ましたが、中国企業は、このゾーンの供給力が弱いのです。ですから衣食の分野や耐久財では日本の技術力やブランド力は大きな武器になるでしょう。
また昨年、日本の家電販売店が中国の家電量販大手に買収されました。これは経営が悪化している企業が対象でしたが、これからは技術やブランド力がありながら株価が割安になっているような企業にも、中国からM&Aの手が向かうかもしれません。これは日本の株式市場にとってもいい刺激になるはずです。
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中国に投資しながら、日本の回復にも期待する・・・。そんな欲張りな投資も夢ではないかもしれませんね。ありがとうございました!
インタビュー後記
インタビューを終え、やはり、中国はさまざまな意味で「過剰・あふれている」と感じました。あふれるほどの過剰な流動性の供給により都市部の不動産の一部では投機状態になっているところがあったり、そもそも年8%以上の経済成長を続けなければ、“あふれる”膨大な労働人口を養えないなど。
「物事は行き過ぎる・・・」。今の中国に、思わずそんな言葉が浮かぶ方も少なくないでしょう。
世界1位の人口や強い政治に裏付けられたチャイナ・パワーは、頼もしくもありますが、時に危うさも感じます。今回のインタビューで、「まだこれから中国に投資しても大丈夫ですか?」といった質問が多くなった理由もそこにあります。
しかし、又井氏は「今一番怖いのは中国の引き締めに対する“過剰”な反応」だと話します。中国の成長力を測るには想定を超えたモノサシが必要だとすると、リスクについても、違うモノサシが必要なのでしょうか?期待にあふれる中国の成長を、楽観的にも悲観的にもならずに見る目がより必要とされる1年なのかもしれません。
(聞き手:新生銀行 リテール商品部)
本稿は亜州IR株式会社の又井氏の見解をもとに制作したもので新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。本資料は信頼できると思われる情報に基づいて新生銀行が作成しておりますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。ご投資される際は、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
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