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作成:新生銀行 2010年9月

新生銀行 キャピタルマーケッツ部
部長 政井貴子
為替相場では一時、約15年ぶりとなる水準まで円高が進行。ただ、当行の外貨預金への資金流入をみると、たしかに増えてはいるものの、以前の円高時に比べると増え方は鈍い。
当行キャピタルマーケッツ部の政井は、一段の円高不安が残り、この円高水準でも様子を見ている投資家も多いのではないかと話します。
そこで、お客さまからよく受ける質問や、この円高の背景と今後の為替動向などについて話を聞きました。
市場で約15年ぶりといわれる水準まで円高が進み、当行でも外貨預金の取引が増えています。
しかし、確かに取引件数は増えていますが、過去に1米ドルが100円や90円を割り込んだときに比べると、やや増え方が鈍いように感じます。
取引の増え方が鈍い大きな要因は、おそらく、多くのお客さまが、まだ円高が進むかもしれないと、先行きに不安を感じているからかもしれません。

円のほかにスイスフラン、さらには金が買われているように、市場では「リスク回避」の動きが続いています。これは、米国や中国の景気減速懸念、欧州での信用不安がくすぶっていることが影響しているようです。
また、米ドルについては、米国景気の回復が遅れそうだとの見方が重しになっています。
たとえば、FRB(米連邦準備制度理事会)からは、米国景気の先行きに慎重なコメントが相次ぎ、オバマ米大統領が25兆円規模ともいわれる巨額の景気雇用対策を打ち出されたにもかかわらず為替、株式市場ともにほとんど反応無しというように、市場が米国景気の回復は相当に時間がかかると見ている様子が伺えます。
FRB(米連邦準備制度理事会)のコメントを見ても、米国景気に対する見通しや対応策について意見が分かれており、米国景気の先行きは非常に不透明な状態といえます。
そのため、投資家は動きづらく、米ドルが売られやすい状態が続くでしょう。
また右の図のようにチャート・テクニカル面でも、下向きのトレンドの降下がここにきて急になっており、これも米ドル安が進みやすい要因になっています。
9月に入り日本政府による為替介入の効果で、1米ドル=82円台から値を戻していますが、9月は日本企業の多くが中間決算を迎えることもあり、輸出企業からの米ドル売りニーズが強く需給は悪いといえます(そのため米ドル買い・円売りの為替介入を行っても効果が薄まってしまう)。

さらに国内要因では、臨時国会の召集が早くても9月末以降となっているため、追加の経済対策が打ち出されるのはそれ以降となりそうで’政策の空白’が起こる可能性も不安材料です。
このように、円高阻止の効果も見えず、米ドル反発の決め手がない状況では、円高圧力が掛かりやすく、1米ドル=70円台突入の可能性は否定できないと思われます。
短期的には波乱含みかもしれませんが、中長期的に考えれば、米国景気の底打ちとともに米ドルの回復を見込んで米ドルを保有しても良さそうな水準に近づいているかもしれません。
今後の為替相場について、円高進行の可能性がありますし、米ドルの急回復も見込みにくいですが、それでも中期的には緩やかに米ドルが上昇する展開を想定しています。
たとえば、欧州の信用不安再燃、金融機関に対するストレステストに対する懸念も、特別に目新しい話はなく、ここからユーロがさらに最安値を更新してしまう程の大きな売り材料とは思えません。
また米国の金利市場の動向をみても、米国ではしばらく利上げがないことを見越した水準まで下がっています。
金融機関のアナリストの見通しも米ドル/円の想定レンジをもう一段円高方向に切り下げるなど、市場は米国景気の減速や米ドル安を相当に織り込みつつあります。
下値不安はのこりますが、下値余地に比べれば、米ドルが反発に転じた後の上値余地のほうが大きいように感じています。

また米ドル以外の通貨についても申し上げるならば、おそらく先進国の中で米国、そして欧州がこの通貨安を活かして、日本よりも先に景気の回復速度を上げてくるとみています。そして、その先進国の輸出の受け皿になるのが内需経済が好調なブラジルや中国などでしょう。そのため、中国経済の恩恵を受ける豪ドルや新興国、資源国通貨への投資は引き続き有望だと思います。
これまでの見通しに対し、米ドル安がさらに進むリスクとしては、やはり米国経済の回復がさらに遅れる、あるいは景気が一段と悪化する場合です。その可能性を考える上で注目しておきたいのが、中国経済の行方と米国の金融規制強化です。
特に中国経済が、土地の不良債権問題などで落ち込むようなら米国経済は、回復の原動力である輸出に打撃を受ける可能性があります。

経営学修士。トロントドミニオン銀行資本市場部 アソシエイトディレクター、カリヨン銀行 金融商品営業部部長を歴任後、2007年5月新生銀行に入行。テレビや新聞、ラジオへのマーケットコメントの提供やセミナーでの講演も多数。
本稿は新生銀行キャピタルマーケッツ部の政井の見解をもとに制作したもので新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。本資料は信頼できると思われる情報に基づいて新生銀行が作成しておりますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。ご投資される際は、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
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