マーケット情報(為替)
ニュージーランドドル/相場の見通し レポート

小瀬 正毅 氏
(株)フィスコ 為替・金利担当アナリスト
外銀在籍時代の1980年代後半からマネーマーケット、為替市場、外国債券取引などを経験。得意分野は為替市場動向予測、各国の金融政策の分析など。特に豪ドル・NZドル・カナダドルの動向予測に強い

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ニュージーランドドルの現状について

NZドル買いの要因は短期金利の高さ

NZドルの短期金利が主要通貨(米ドル、円、ユーロ等)の金利水準を大きく上回っていることがNZドル買いを促す主な要因となっています。日本の個人投資家はこの点を大変重視していますが、日銀がゼロ金利政策を止めて金利引上げに動いた昨年7月以降も、市場参加者の基本的な考えは変わっていないようです。NZドル預金やNZドル建て債券投資に加えて、近年では外為証拠金取引を通じた個人投資家のNZドル買いも活発となっています。

NZドル/円相場はアジア、欧米諸国の株価指数が大きく下げたことで85円台から77円台に反落する場面もありましたが、NZ準備銀行は3月8日に政策金利の引き上げを決めたことや(7.25%→7.50%)、NYダウなどの株価指数が上昇に転じたことを背景に短期筋や個人投資家のNZドル買い・円売りが再び活発となっており、年初来高値を再度更新しています。


ニュージーランドドル/円相場の長期見通しについて

経常赤字規模とNZドル建て債券の大量償還による為替変動に注意

多くの市場関係者、専門家が指摘しているNZドルの最大の懸念材料はGDP比9%と経常赤字規模が大きいことです。大手格付け機関は将来的にNZの経常赤字規模がGDP比で6-7%前後の「維持可能な水準」まで縮小すると予想しており、今のところは、ニュージーランドの長期債務格付けをAA+から引き下げることは検討していないようです。

今年は過去に発行されたNZドル建て債券が大量に償還される年となっています。今年8月-10月に償還予定のNZドル建て債は70億NZドルと想定されていますが、この中には日本の証券会社が販売した外債が40億NZドル以上含まれているようです。仮に、今年8-10月中におけるNZドル建て債券の販売がほとんどない場合、相当まとまった規模のNZドル売りが発生する可能性がある事には注意が必要です。昨年1月にはNZ準備銀行関係者がNZドル建て債券の大量償還時期には、投資家が為替変動リスクに晒される可能性を指摘しています。


日銀の金融政策がNZドル/円相場に与える影響

キャリートレードの行方を気にしつつ、NZドル/円相場の半年間想定レンジは:75-90円

日銀が政策金利を継続的に引き上げた場合、日本人のNZドル建ての債券投資や預金が大きく減少するのではないか?との疑いがあるようです。また、日銀の連続利上げによって、「円キャリー取引」に絡んだNZドル買い・円売りのポジションが大幅に縮小、あるいは解消されるとの観測もあります。今年2月末のような動きが再度広がった場合、外為市場参加者が大きく動揺することは避けられないかもしれません。

ただ、NZドル/円相場を数ヵ月ではなく、1年以上の長期的な観点で見ている個人投資家も少なくないと思われます。このような個人投資家が外貨資産としてNZドルを保有するメリットが失われたと判断しない限り、NZドル預金や債券投資が大きく減少する可能性は低いと思われます。

円キャリー取引の縮小が短期的な為替相場に与える影響は決して小さくないと思いますが、ニュージーランドの貿易・経常収支、雇用情勢、個人消費などの基礎的条件が予想以上に悪化しない限り、NZドルが大きく売り込まれることは考えにくい状況だと思います。現時点では、新たな円安要因が提供された場合は90円に迫る可能性もないとは言えません。


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