海外で仕事をしたり、不動産や車を売買したり、資産運用をしたりするときに、必ずといっていいほど関わってくるのが“税金”です。税金の種類や課税システムは、国によって大きく異なりますが、誰にとっても、決して少ない金額ではないはずです。

ショッピングセンターの中にある銀行
まず、オーストラリアでは、6,000豪ドルを超える課税所得がある場合、すべての人が税務申告をする必要があります。オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年の6月30日までで、その1年間の収入や必要経費の明細などを記入した申告書を源泉徴収表とともに提出します。この制度は「TAX RETURN(タックスリターン)」と呼ばれていて、年末調整に慣れている日本の会社員にとっては、かなり面倒ではありますが、給与所得者であっても、必ず行なわなければなりません。といっても、実際に自分で申告する人は少なく、ほとんどの人が会社で契約している会計事務所に依頼したり、個人的に税理士に依頼したりしているようです。その方が税金も早く戻ってきて、必要経費の申告も自分でするよりかなり多く出来るとか・・・。オーストラリアでは年度末の6月にはどこのお店でも大きなセールが行なわれますが、服やアクセサリーを買い求める若い女性にまじって、必要経費でおとせそうなものを駆け込みで買っているサラリーマンや自営業者の姿もよく見かけます。ニュージーランドの会計年度はオーストラリアとは違い、4月1日から翌年の3月31日までとなり、やはり3月末はどこのお店も混みあっているようです。
個人の所得税の最高税率は、オーストラリアが45%、ニュージーランドが39%で、日本の40%とあまり差がないように思えますが、日本が1,800万円以上の所得に対して最高税率が適用されるのに対して、オーストラリアでは150,000豪ドル超の所得に、ニュージーランドでは、60,000ニュージーランドドル超の所得に対して最高税率が適用されますので、日本での課税に慣れている日本人にとっては、払う税金の金額はずいぶん高いと感じるかも知れません。また、日本の消費税にあたる「GST(Goods and Services Tax)」の税率は、オーストラリアは10%、ニュージーランドは12.5%です。内税方式ですので、通常、値札の金額は税込みの金額が表示されています。日本の倍以上という高い税率ですが、生鮮食品や教育、医療、賃貸住宅の家賃などには課税されませんし、日本は外税(税抜き表示)期間が長かったのに対して、GSTは導入当初から内税(税込み表示)方式ですので、あえて税金を払っているという感覚はあまりないようです。
日本のバブル期並みの高金利が続いているオーストラリアとニュージーランドですが、金融商品の利息に対しても、もちろん税金がかかります。日本のように利息の20%が自動的に源泉徴収というわけにはいかず、すべて所得として申告することになります。預金の利子などを、うっかり所得に入れるのを忘れてタックスリターンを行なうと、税務署から通知が来て青ざめるということになりかねませんので注意が必要です。そして、日本では高い税率で有名な相続税と贈与税ですが、オーストラリアには相続税も贈与税もありません。ニュージーランドにも相続税はありませんが、贈与税が存在します。ただし、年間27,000ニュージーランドドルまでは非課税という大きな優遇措置がもうけられています。
所得税や消費税が高いせいではないでしょうが、日本と比べると、オーストラリアやニュージーランドは国がとても豊かで、かつ税金がうまく使われているという印象をうけます。美術館や博物館をはじめとする公共の施設はほとんどが入場無料ですし、BBQ(バーベキュー)施設をそなえた公園や公衆トイレなどは、とても清潔で手入れがよく行き届いています。また、公園の遊具の事故が相次いでいる日本と違い、こちらでは公園の遊具の管理や点検がとてもしっかりとされていて、かなり頻繁に点検や清掃をしている係の姿を見かけます。また、日本に比べますと、公園の数は比べものにならないくらい多く、住宅街はもちろんのこと、シティの中心部にも数多くあり、子どもの遊び場としてだけでなく、多くの人々にとっての憩いの場となっています。自分達が払っている税金が、こういうところに使われているのだったら納得できる!という使われ方がされていると日々感心しています。