突拍子もない今回のタイトルですが、これは、つい最近、地元の新聞に実際に載っていた記事のタイトル(We are loving cars to death)です。シドニーやメルボルン、ブリスベンといったオーストラリアの都市部では、ここ数年、交通渋滞が深刻な社会問題となっています。今月の初めにシドニーで行なわれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)開催時には、道路規制の影響を受けて、シドニー市内および周辺では記録的な大渋滞。通常の通勤ラッシュ時以外の時間帯でも、かなり長い時間にわたり、車がほとんど動かない状態が続きました。

通勤の足であるフェリーも週末は観光客でいっぱい
ブリスベンで最近行なわれた「通勤手段を問うアンケート」では、何と71%の人々がマイカー通勤をしているという実態が明らかになりました。マイカー通勤以外では、家族に車で送ってもらっているという人が8%、電車やバス、フェリーといった公共の交通機関を利用している人が12%、そして、徒歩通勤が3%、自転車通勤が1%、在宅勤務が5%という結果でした。これでは、朝晩の通勤時には大渋滞が起こるはずです。現在、街のあちこちでは、トンネル、橋、道路整備のための工事が行なわれていますが、そんなことにお金をつぎこむよりも、もっと公共交通機関を整備するためにお金を使うべきだという批判が相次いでいます。
そもそも、オーストラリア人とニュージーランド人の間には、かなり昔から、通勤、通学、買い物、旅行すべて車に頼るという生活が根付いています。公共の交通機関が発達していなかったというのはもちろんですが、人口密度が低い国ですので、住宅や店、医療機関が密集しているわけではなく、どこへ行くのも車がないと不便という現実は否めません。日本のように歩いてコンビニに行けるというわけにはいかないのです。実際、「公共交通機関を使う比率がもっとも低い国」として国内外から揶揄されたこともありましたが、統計的には車に頼る人はますます増えているようで、オーストラリア・クイーンズランド州を走る車の1日あたりの走行距離の合計は、1992年から2004年の間に、75%アップしたとのことです。

2人以上乗っている車の優先ゾーン
公共の交通機関には、電車、バス、トラム(路面電車)、フェリーなどがあります。日本の地下鉄のように通勤時間帯には5分おきにやってくるというのは夢のような話で、せいぜい15分に1本です。場所によっては、30分に1本ということも決して珍しくありません。我が家の最寄りのバス停からシティに向かうバスも、日中は1時間に1本、朝夕のラッシュ時には30分に1本で、シティから戻ってくる最終バスは19時台です。ただし、多くの都市では、バスの優先ゾーンがもうけられていて、通勤ラッシュの時間帯でも、他の車の渋滞に巻き込まれないような工夫がされています。日本でいう高速道路は、こちらでは、ハイウェイ、モーターウェイ、フリーウェイなどと呼び方は異なりますが、やはりバスの専用ゾーンが設けられています。また、1人のマイカー通勤を減らすためではないと思いますが、2人以上乗っている車やタクシーしか通ることが出来ない“T2”と呼ばれるゾーンもあります(3人以上のT3もあります)。

シティ中心は車やバスでいつも渋滞
そして、バスターミナルには、バスの到着する時間を表示した電光掲示板を新たに設置したり、新しくできた橋は、バスと自転車または徒歩でしか通行できなくするという「荒業」まで登場しています。シティ内の駐車料金なども年々値上がりしてきていますが、それでもやはり車での生活に慣れている人々が、車を置いて通勤することはなかなか難しいようです。また、こちらの学校は、小学校はもちろん、中学、高校でも親が送り迎えをすることが珍しくありません。そうなると、子どもの学校に寄ってから会社へ向かう、子どもを迎えにいってから家に戻るというケースが多いので、やはり車が便利ということになるのでしょう。
ニュージーランドも、オーストラリアほどではありませんが、年々通勤時間帯の交通渋滞がひどくなってきています。起伏の激しい地形の島国ですので、国民の90%以上は車を所有しています。今後も渋滞が改善される見込みはないことから、公共交通機関と道路輸送の効率化、通勤者用道路の整備に着手したようです。そして、世界中で問題となっている二酸化炭素の排出量アップも見逃せない課題です。オーストラリアでは、二酸化炭素の排出量が少ない燃料を安くするよう、料金体系の見直しが検討されています。