吉田レポート
クロス円「バブル破裂」が始まったのか?
2007年7月30日
photo吉田 恒
1962年、青森県生まれ。
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。また、投資情報コングロマリット、T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。
財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。為替ディーラーなど金融市場のプロ向け会員情報「Predictor」の編集責任者。また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。
2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落など大相場予測をことごとく的中させ話題に。

 ここ数日で、にわかにクロス円急落となっている。先週1週間の対円での下落率は、ドルが3%程度であるのに対し、ユーロ、ポンドといった欧州通貨は4%以上、豪ドル、NZドルといったオセアニア通貨に至っては7−8%にも達している。このようなクロス円急落は、リスクプレミアム急上昇によりリスク回避が急拡大した結果との説明が多いようだ。ただしそもそも移動平均線からのかい離率等で見た場合、クロス円上昇は行き過ぎで、転換点が近そうだった。過去のクロス円バブル破裂相場は反落率が3−6ヶ月で1−2割以上に拡大したが、さて今回はどうか?

5年線からのかい離が示す「スピード違反」

 ユーロの対円相場は、5年移動平均線という超長期移動平均からのかい離率が、6月末はプラス20.7%にも拡大した。これは、今回のユーロ円上昇が、いかに短期で急なもの、つまり「スピード違反」の懸念があるものかを示している。

 ところで、これまでユーロの5年線からのかい離率は、まさにプラス20%前後で一巡してきた。同かい離率がプラス20%程度に達したのは、2003年5月と98年7月の2回あったが、そこでかい離率拡大は一巡、その後は1ヶ月で5%前後、3ヶ月では10%前後のユーロ反落となっていた。

 さて、6月末のユーロ円終値は166円。したがって、上述のパターンを当てはめると、7月末に160円前後、9月末にかけて150円割れという計算になる。短期的な急上昇の反動が大きくなる可能性には注意が必要ではないか。

 ところで、5年線との関係で見た時に、そんなユーロ円以上に上がり過ぎ懸念の強い通貨ペアは決して少なくない。6月末時点の5年線からのプラスかい離率は、ポンド円が21.5%、豪ドル「オージー」円は27.5%、NZドル「キウイ」円に至っては29.9%といった具合に、ほとんど3割に達している。

 ちなみに、主要な通貨ペアで、5年線からのプラスかい離率が3割に達したのは、98年7月のドル円(かい離率31%)、同ポンド円(同35%)、そして2004年12月のユーロドル(同31%)などがあったが、いずれも基調転換が起こると、半年以内に1−2割以上の急落が起こっていた。

キウイ円筆頭に反動リスクには要注意

 キウイ円が、今回の前に、5年線からのかい離率が3割に達したのは2005年11月だったが、まさにその後下落に転じたキウイ円は半年程度で2割弱の急落を演じた。今回の場合にそれを当てはめたら、キウイ円は80円を下回るリスクもあるといった計算になる。

 5年線からのかい離率は、ドル円、ユーロドルなどは10%程度にとどまっている。それと比べると、先に見てきたようにクロス円のかい離率が軒並み20%を大きく超えているのは、いかにこの間ドル円、ユーロドルに比べてクロス円の上昇ピッチが急なものだったかを確認するものといえるだろう。

 そして、そんなクロス円の上昇ピッチは、一定期間で見た時にはさすがに「スピード違反」の感じとなっている。上げ相場を主導してきたクロス円が、今度は一転下げ相場を主導するといった可能性もありうるのか、注目してみたいところではある。

<参考:ユーロ円の5年移動平均からの乖離率>

<参考:5年からのかい離率が3割を超えた為替の動き>
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