吉田レポート
重要分岐点に差し掛かるドル金利
2008年4月28日
photo 吉田 恒
1962年、青森県生まれ。
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。 また、投資情報コングロマリット、T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。
財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。 為替ディーラーなど金融市場のプロ向け会員情報「Predictor」の編集責任者。 また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。
2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落など大相場予測をことごとく的中させ話題に。

  米長期金利(10年債利回り)は、ほとんど2ヶ月ぶりに3.8%を超えてきた。 米金利上昇は一つの分岐点に差し掛かっており、このまま一段と米金利が上昇するかは微妙な段階になってきたのではないか。

ドル円の行方も左右

  米長期金利の3.8−3.9%という水準は、今年に入ってから重要分岐点になってきた。 1月にいったん3.4%まで低下した米長期金利は、その後上昇したものの、2月下旬、結局3.8−3.9%の水準を越えられないとなると、その後あらためて3.3%まで急低下に向かったのである。

  ところで、この時に結果的に3.8%から金利を低下させるきっかけになったのは2月下旬のバーナンキFRB議長の重要議会証言だった。 これは果たして偶然だったのか。 最近の米経済低迷の一因が住宅バブル破裂であり、その住宅ローン問題は長期金利上昇の影響が大きいことを考えると、FRBも米長期金利上昇には神経を払っているのではないか。

  ここに来て、FRBはインフレへの懸念を強め、利下げに慎重になり始めているとの見方が急浮上している。ただ一方で景気への懸念も残っているだろう。 短期金利と異なり、長期金利は、中央銀行でも基本的にコントロールできないものだけに、FRBは神経を払っているだろう。

  そしてそんな長期金利は、とくにドル円との相関性が強い。 対ユーロなどドル全体が上がる可能性はともかく、ドル円が105円を大きく超えていくかは、米長期金利が3.8−3.9%を大きく超えていくかと合わせて注目したい。

米金利・原油の「同時高」

  ところで、上述の2月下旬バーナンキ証言に際して、米長期金利が4%に向かう中で、原油価格、WTIは100ドルといったやはり重要水準突破含みとなっていた。 それがバーナンキ証言を受けて、米長期金利は反転、急低下へ転じたのに対し、原油価格は100ドルを突破し一段高へ向かったのである。 バーナンキ議長が追加利下げを示唆し、インフレより景気対策重視で動くと受け止められたためだ。

  さて、あれから2ヶ月経過し、29−30日のFOMCが迫る中で、ふたたび米長期金利上昇、原油価格上昇となっている。 米長期金利は4%、原油価格は120ドルと、原油価格の水準は違うが、重要水準を控えてFRB関連の重要イベントに向かうといった意味でも構図は似ているようだ。

  今回も、あの2月バーナンキ証言後に、米金利低下、原油急騰になるのか。それとも今回は逆になるのか。 FRBの2大使命は景気と物価。景気対策に軸足を置くなら、2月と同じになってしまう可能性があるが、一方インフレに軸足を置けば、今度は原油急反落のきっかけになる可能性もあるが、果たしてどうか?

<参考:ドル円と米長期金利(06.10−)>
参考:ドル円と米長期金利(06.10−)

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