吉田レポート
重要分岐点に差し掛かるドル金利
2008年5月1日
photo 吉田 恒
1962年、青森県生まれ。
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。 また、投資情報コングロマリット、T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。
財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。 為替ディーラーなど金融市場のプロ向け会員情報「Predictor」の編集責任者。 また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。
2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落など大相場予測をことごとく的中させ話題に。

  一般報道を見ていると、30日FOMCを受けて、利下げ打ち止めについての見方は微妙になっているようだ。 ただ、金利市場の動きをみるかぎりはもう少し明確で、利下げ打ち止め観測が一段と強まったということだろう。

利下げ打ち止め観測は拡大

  FF先物金利が示す次回6月FOMCでの金利据え置きの織り込み度は、FOMC前の70%から、FOMC後は76%程度に上昇した。 これを見るかぎり、利下げ打ち止め観測は、FOMCを受けて、少しではあるが、さらに増えたということになる。

  ただし、一方で2年債利回りは2.3%台から2.28%に、10年債利回りも3.8%台から3.75%へそれぞれ低下した。 これは、前回レポートでも書いたように、そもそも利下げ打ち止めどころか、利上げを織り込んだような金利上昇分の修正が入ったということではないか。

  政策金利を反映するとされる2年債利回りが、2%に低下したFFレートを0.3%以上も上回っているということは、将来の金利引き上げを織り込んだような意味になる。 利下げ打ち止めから、さらに一歩踏み込んで利上げを織り込むというのは、さすがに「先走り」過ぎだったということだろう。

米金利低下の「異常性」

  ただ、こんな具合に米金利が「先走り」の上昇に向かうのもわからなくない気がする。 このところ、2年債利回り、10年債利回りともに、日本のそれに対する米国の「下がり過ぎ」はやや「異常値」の観になっている。

  日米の2年債利回り差ドル優位は、3月下旬にかけて過去10年間の最低となった2003年6月以来の小幅に縮小した。 また、同10年債利回り差ドル優位も、同じく3月下旬にかけて過去10年間の最低に縮小した。 これらはともに、少なく見ても、米2年債利回りが1%、米10年債利回りも0.5%は「下がり過ぎ」になっている可能性をうかがわせる。

  この間のサブプライムショック騒動の中で、相対的に米金利は下がり過ぎが広がり、2年債利回りは3%以上、10年債利回りも4.2−4.3%以上になっているのが本来の可能性がありそうだ。 金利上昇が「先走り」しそうになるのもわからなくない。

  ただし、住宅ローン問題を抱える中で、長期金利上昇回避はFRBにとっても優先課題だろう。 その中で、本来なら「異常な」、米長期金利低位安定をどれだけ維持できるかということではないか。

<参考:日米10年債の金利差>
参考:日米10年債の金利差
<参考:米日2年金利差とドル円>
参考:米日2年金利差とドル円

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