吉田レポート
株と為替の連動相場変化の意味とは?
2008年7月14日
photo 吉田 恒
1962年、青森県生まれ。
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。 また、投資情報コングロマリット、T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。
財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。 為替ディーラーなど金融市場のプロ向け会員情報「Predictor」の編集責任者。 また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。
2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落など大相場予測をことごとく的中させ話題に。

  昨年来、株価が急落すると円高になるといった状況が続いてきた。これをリスク回避と説明することが一般的だった。 ところが最近は米株がことごとく年初来安値更新となっているにもかかわらずそれほど円高になっていない。 つまりリスク回避で円高といった反応が薄れていることを示している。

激減した為替ポジション

  なぜこのように為替と株の連動関係が変化しているかはわかりやすい。 昨年と最近の大きな違いは為替のポジションだ。主要5通貨のポジション合計は、昨年6月までは何度か40万枚を越えていた。 これは確認できる20004年以降で断トツだった。つまり、昨年6月まで、為替では異常なポジションの拡大、つまり「リスクとり過ぎ」になっていた。

  ところが、最近はこのポジション合計が一時3万枚台まで縮小した。 昨年ピークの10分の1以下に縮小し、2004年以降ではほぼ最低規模に縮小したのである。 つまり「リスクとり過ぎ」は是正され、むしろ「リスクとらなさ過ぎ」気味になっていた。

  昨年までの「リスクとり過ぎ」の主役の一つ円キャリー取引と見られた。 したがってリスク回避は「行き過ぎたリスクテーク」の修正で円高となった。 しかし最近は「リスクとらなさ過ぎ」のため、リスク回避でも為替の影響は限られているということだろう。

  そしてそれはまた、円キャリー取引が昨年に比べるとかなり縮小している可能性も示している。

投機取引の減少は円高要因

  為替市場で、円キャリー取引のようなリスクをとる取引が縮小しているということは、投機的取引の縮小といった意味にもなる。 ということは、為替相場への影響度が、実需取引のそれが相対的に大きくなっている可能性があるわけだ。

  為替の実需は、基本的には貿易と資本の2つに大別される。 その中で、基本的には、実需相場では貿易黒字国の通貨が上昇しやすく、貿易赤字国通貨は下落しやすい。 このように考えると、3月から円安・ドル高が進んできたことはどのように考えたらいいだろうか。

  一つには、4月、新年度入りで新規外債投資など資本流出が拡大した影響が考えられる。 また、貿易黒字大国日本だが、急激な円高の反動を受けて輸出予約などの修正が入った可能性もあったのではないか。

  為替ポジションが、最近と同じほどに縮小したのは2004年4月、2005年1月などだが、当時は円高が進んでいた。 投機取引の縮小で円高というのはわかりやすい。 今回の場合はその意味でこれまでとは異なるものの、投機取引の縮小傾向がまだ続くようなら、基本的には貿易黒字を背景に円高になりやすい構図があるということは、頭に入れておく必要があるだろう。 (Y)

<参考:非米ドル主要通貨のグロス持ち高推移>
参考:非米ドル主要通貨のグロス持ち高推移

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