吉田レポート
米失業率が示す米金融政策シナリオ
2008年8月4日
photo 吉田 恒
1962年、青森県生まれ。
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。 また、投資情報コングロマリット、T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。
財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。 為替ディーラーなど金融市場のプロ向け会員情報「Predictor」の編集責任者。 また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。
2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落など大相場予測をことごとく的中させ話題に。

  注目の米7月失業率は5.7%へ悪化した。 普通だったら、利下げ再開の可能性を浮上させた結果といえるのではないか。

利下げ再開説

  FRBが4四半期に一度リバイスしている経済見通しにおいて、最新のものは6月FOMC議事録で公表されている。 その中で、2008年末時点の失業率予想の中心は5.5−5.7%、レンジは5.5−5.8%だった。

  つまり、今回の失業率の結果は、まだFRBの予想の範囲内ではあるが、年末時点で予想していた数字が、 この7月の結果で早々と出たという意味では、FRBが今後失業率予想を厳しく修正する必要を検討しなければならないほど心配な結果だったということではないか。

  ちなみに、今年1月初めに発表された失業率(昨年12月分)が5%となり、当時のFRBによる2008年末時点の同予想中心4.8−4.9%を超えると、 その後FRBは1月下旬緊急大幅利下げ、1月末追加利下げといった具合に「電光石火」の利下げに動いた。

  FRB予想を0.1ポイント上回っただけで、記録的な利下げに動いたわけだ。 今回はまだ予想を上回ってはいないが、予想の上限ギリギリの数字ではあったのだから、すぐに緊急利下げとはならないにしても、 4月末でいったん打ち止めとなった形の利下げを、もう一度再開する可能性も頭を過ぎらせた可能性はあるのではないか。

早期利上げは困難

  基本的に、失業率と金融政策の間には一定の関係があるという。 具体的には、これまで失業率が上昇している中で利上げがおこなわれたことはないという。

  ここに来て、インフレ懸念から米早期利上げへの注目も一時高まったが、 上述の実績からすると、今回、失業率が5.5%から5.7%へ上昇したことを受けて、早期利上げは基本的に難しくなったと考えられる。

  そもそも、今年に入ってから失業率の振れ幅は大きい。1月初めに発表された昨年12月の失業率は4.6%から5%へ一気に0.4%もの急上昇となった。 また6月初めに発表された5月失業率は5%から5.5%へ、何と0.5%もの上昇だった。

  今回の失業率については、5.5%から5.6%へ小幅上昇が一般予想だったが、結果は0.2ポイントの大幅上昇だった。 こういった中で、すぐに利下げ再開ということではなくても、早期利上げというのは基本的には考え図来のではないか。 (Y)

<参考:失業率悪化を受けたおもな動き>
参考:失業率悪化を受けたおもな動き

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