吉田レポート
「ドル安の8月」、今年は?
2008年8月7日
photo 吉田 恒
1962年、青森県生まれ。
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社、2004年1月より同社の代表取締役社長就任。 また、投資情報コングロマリット、T&Cグループの持ち株会社であるT&Cホールディングス取締役にも2004年2月より就任。
財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。 為替ディーラーなど金融市場のプロ向け会員情報「Predictor」の編集責任者。 また一般投資家向け為替リアルタイム市況「fx wave」の運営責任者、さらに一般投資家向けの為替および株式講演会を精力的に全国展開している。
2000年からの米株バブル崩壊暴落、2002年の円急落など大相場予測をことごとく的中させ話題に。

  ドルは一気に110円へ迫るなど上昇傾向が続いている。 昨年は8月にドル暴落の「悪夢」の展開となったが、今年は事情が違うようだ。

3月からの円安が転換点へ

  昨年の夏、「狂った円高」が起こった。 ハイライトは、8月16日。この日一日でドル円は116.74円から112.01円へ一気に5円弱ものドル暴落となった。

  ドル円の歴史には、1998年など一日で10円、二日で20円ものドル大暴落が起こったこともあったが、それに次ぐほどの記録的なドル暴落となったのが昨年8月だったわけだ。

  ここ数日、ドル円はともかく、クロス円はじりじり下落(円高)となる場面もあった。 この背景には、一年前の悪夢の記憶のもと、ポジションの圧縮を進める影響もあるのではないか。

  ただ、一年前と最近ではかなり違うとも思う。 たとえば、シカゴIMM統計でみると、昨年は7月末時点で円が5万枚のショート、ユーロは7万枚、ポンドは6万枚のそれぞれロングだった。 円売り、外貨買いが顕著な中で、その巻き戻しをうながされて円全面急反騰となったわけだ。

  これに対して最近は、円が0.6万枚のショート、ユーロも1.6万枚のショート、ポンドは0.1万枚のロング。 一年前に比べるとポジションの偏りがほとんどないことがわかる。昨夏のような反動が入る状況ではなさそうだ。

  以上説明してきたことから、この8月に昨年のようなドル暴落はないと思うが、ただ8月のドル騰落状況(対円)は過去13年間で4勝9敗。 また、過去10年間で見ると1勝9敗といった具合で、経験則的には一年で最もドル安になりやすい月だけに、このところのドル高・円安傾向に変化が生じる可能性は注目される。

分岐点に立つ原油とユーロの同時安

  ところで、ここ数日ユーロは1.55ドルを久しぶりに割り込んで下落している。 ただ一方で、これまでの実績からするとかなりユーロ「売られ過ぎ」気味にもなっているため、さらなるユーロ売り余力は微妙だ。

  シカゴIMM統計によると、これまでのユーロショートの最高は2.5万枚、一方ユーロロングの最高は10万枚超。 これを見る限り、ユーロ売りとユーロ買いでは限度に大きな違いがありそうだ。

  このようにユーロショートの拡大にはおのずと限度があり、一方ユーロロングは大幅に拡大することから、 ユーロが大きく下落するのは、ユーロショートを拡大する過程より、むしろユーロロングの調整、つまりユーロ「買われ過ぎ」の反動から始まることが少なくなかった。

  最近のように、ユーロショートが2万枚前後まで達したケースでは、 一段と3万枚を超えてユーロショート拡大に向かうことでユーロ一段安になるというより、 むしろユーロ売りが一巡し、当面のユーロ底入れとなることがこれまでは多かったが、さて今回はどうか? (Y)

<参考:シカゴIMM・ユーロ・ポジション>
参考:シカゴIMM・ユーロ・ポジション

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