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先週、日経新聞が3月のドル急落時に、日米欧が協調介入で秘密合意していたと報じた。 ただこれにはちょっと疑問もある。 その後の4月に発表されたG7共同声明の中には、これまで協調介入が実施された際には必ず盛り込まれていた「暗号」が入っていなかった。 その意味では、少なくとも4月まではG7「秘密合意」は未完成だった可能性も考えられる。
日経新聞は、「複数の国際金融筋」の話として、3月のドル急落時に、日米欧が協調介入で秘密合意していたと報じた。 あの95円までドルが急落した局面を指していると考えられる。
ところで、この後の4月にG7が開かれた。 ここで発表された共同声明には、2000年9月にユーロ買い協調介入が実施された時にも使われた「為替の動きを懸念する」といった表現が入ったため、一部では協調介入の可能性も注目された。
しかし実際には、その後4月後半にかけて対円はともかく、対ユーロではドル安値更新となったが、ここで協調介入は実施されなかった。
過去のG7共同声明を見ると、協調介入が実施された際、必ず使われていたのが「為替市場で協力する」といった表現だったが、これはこの4月声明に入らなかった。 その意味では、上述のように、4月後半にかけて対ユーロでのドル安値更新が静観された動きと整合的だろう。
以上から考えられることは、確かに3月に95円までドルが急落した局面で協調介入も想定した議論があり、 何らかの合意もあったのかもしれないが、それはその時点では不完全だったということ。
実際、当時の感覚からすると、協調介入の完全合意は難しいと考えるのが当然だったのではないか。 米国は4月末まで利下げを続けていた。一方欧州は7月に利上げをおこなった。 これだけ金融政策の方向性がドル安と一致していた中で、いくらドル急落を懸念してもドル防衛の「完全合意」には躊躇があったのではないか。
米利下げが4月で打ち止めとなり、欧州追加利上げ観測も急後退した最近になって、 「じつは3月にドル防衛で秘密合意していた」といわれれば説得的な感じを受けるし、 だからこそこのタイミングでの「国際金融筋」によるリークとなったのではないか。 一方で3月当時なら合意を試すといった具合に、逆効果になりかねなかったのではないか。
ドル防衛介入は、米国からすると円やユーロなど保有している他国通貨を売る介入。 自国通貨を売る介入に比べると、当然それには資金的な制約があるため、効果をより慎重に検討するだろう。
確かに3月のドル暴落で為替市場がパニックに陥っている中で政策当局が緊急協議し、2000年以来8年ぶりの協調介入寸前までいったということはあったのだろう。 しかしそれが、本当に実行される段階に達していたかといえば疑問は残る。
翻って、現在は欧米の金融政策などが、3月当時から大きく変わり、ドル防衛介入は実行可能度を増していると思われるが、 実際に「未完成合意」が「完成合意」になったか、いったん市場が試す動きに向かうといったことがあってもおかしくない気もする。 (Y)
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