―キャッシュフローファイナンスの活用―業歴や企業規模のみにとらわれない、事業性評価に基づくファイナンスが斬新でした

ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社 代表取締役副社長 中川 隆久

株式会社新生銀行 プロジェクトファイナンス部 統轄次長 三宅 哲史

ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社は、再生可能エネルギーによる発電・売電事業運営を主たる目的として、2012年8月に設立されました。
固定価格買取制度の施行により投資環境は整いましたが、設立間もない状況下、ファイナンス面では工夫が必要でした。
そのような折、新生銀行のプロジェクトファイナンスをうまく活用することにより、全国規模の発電業者へと成長を果たしました。

Question 1

ジャパン・リニューアブル・エナジーさんの設立の経緯と企業理念について教えてください。

中川:ジャパン・リニューアブル・エナジー(以下、JRE)は、再生可能エネルギープロジェクトの開発、運営を目的として設立され、今年で5年目になります。
我々のミッションは、再生可能エネルギーで世界を変えることです。近い将来、多くの電気が再生可能エネルギーから作られる時代が到来すると思っています。そのような流れの中で当社のポジションを高めて市場のリーダーを目指すことが我々のビジョンです。今は、そこに向かって一歩一歩目の前の案件に取り組んでいます。

三宅:オフィス内の壁に「FORCE」と書かれていたのを拝見しましたが、あれは社員向けのメッセージですよね。FORCEの初めはFunだと聞きましたが、まさにJREさんの社員は楽しんで仕事をされているように見えます。

中川:あれは弊社の会長である安が、仕事は楽しくないといけないという設立当時の考えで作りました。今もその思想は生きていると思います。

ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社 代表取締役副社長 中川 隆久

ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社 代表取締役副社長
中川 隆久
日本の大手商社にて海外における火力発電事業に長く従事した後、2012年にJREを設立

株式会社新生銀行 プロジェクトファイナンス部 統轄次長 三宅 哲史

株式会社新生銀行 プロジェクトファイナンス部 統轄次長
三宅 哲史

Question 2

事業内容について教えてください。

中川:当社は再生可能エネルギー専業として、電源開発から発電所運営まで一貫した事業を展開しています。再生可能エネルギーによる発電所を建設し、そこから生み出した電気を電力会社に販売することが我々の仕事です。すべての発電所について、100%あるいは過半数を我々が所有しております。途中で事業を売却することは考えず、発電所を長期保有して会社をより成長させる、ということが我々の基本的な方針です。
その他、子会社に株式会社エコグリーンホールディングス(以下、エコグリーン)という会社があります。そこは建築廃材を回収し、チップ化してバイオマス発電所に販売しています。

三宅:法人設立以降、比較的短期間のうちに開発できる太陽光発電所の開発案件が多かったと思いますが、現在の事業の構成はいかがですか。

中川:太陽光発電所からの売電収入割合が最も多く、現在も順調に増加しています。稼働している風力発電所はまだ2カ所のみですが、今後予定している案件は数多くあり、社内での人員の配分は太陽光と風力で半々くらいです。今後はエコグリーンを活用したバイオマス発電所の開発についても力を入れていきたいと思っています。

三宅:着実にビジネスを広げられていますね。JREさんの事業の広がりと時を同じくするように、我々がファイナンスの対象とする事業の幅も、太陽光、風力、バイオマスと広がってきました。まさにJREさんと一緒にビジネスを創造しているような感覚です。

JRE事業内容(ホームページより)

JRE事業内容(ホームページより)

Question 3

再生可能エネルギーのビジネスを推進するにあたって、御社の強みは何でしょうか?

中川:強みはいくつかありますが、まずは人です。当社の事業領域それぞれの分野に多くの専門家を抱えています。電気関係の専門家はもちろんですが、太陽光をやるのであれば、土木工事、風力であれば風況解析、バイオマスであれば木質チップなどの燃料調達と、各分野のプロフェッショナルが不可欠です。専門性の高い人材を集めているという意味では、業界トップ水準といえるのではないかと思います。
 そして2番目は、我々の事業では発電所を建設するため、多額の資金が必要となるわけですが、その資金調達を確実にやり遂げられる力に強みがあると思います。
 それから最後は業界ネットワークです。最近よく、これまで一緒にお仕事をした関係者の方々から、「次の案件も一緒にやりましょう」とお話をいただくようになりました。これは業界内でJREの存在感が高まってきた証拠ですし、地道な努力の積み重ねの結果と思っています。

三宅:私もやはりJREさんの強みは人だと思います。最初にお会いした時には設立間もない小さな会社でしたが、高い専門性と豊富なご経験をお持ちの方々ばかりでしたので、とても安心感を覚えました。会社が大きくなり社員の方々の数も増えましたが、その思いは変わっていません。とてもいい人材を集められていると思います。
また最近感じるのは、会社としての先見性、戦略性です。バイオマス燃料の供給ができるエコグリーンを買収したのは、JREさんが早くからアクションを取ってこられた結果だと思いますが、バイオマス発電事業で最も重要な燃料調達をまず先に確保しようという発想はとてもユニークですし、しっかりと考えられた戦略的な動きだったと思います。

JRE事業内容(ホームページより)

Question 4

電力業界における新規事業者として、どのようなご苦労がございましたか?

中川:一からの会社の立ち上げで、知名度が全くなかったことには苦労しました。我々がプロジェクトをやりますといって地方の行政や地主の方の処に行っても、「JREって誰?」というところから始まりました。当時はきちんとしたホームページもない状態でしたから、信用してもらえなかったのも仕方なかったのかもしれませんが。ある入札案件では当社の提案内容が優れていたと思っても、残念ながら大手企業に敗れたこともありました。
 それから、人の採用でも苦労しました。最初の頃は立ち上げメンバーの紹介など人づてで、JREの目標に共感していただける人でないと来てもらえず、大変でした。

三宅:新生銀行もプロジェクト・ファイナンスをあらためてスタートさせたころは非常に小さいチームでした。そこに、国内では固定価格買取制度の導入をはじめとした外部環境の変化が見えましたので、ここがチャンスだと思い、いち早く国内で再生可能エネルギーのビジネスをスタートさせました。それまでも新生銀行はストラクチャード・ファイナンスに強みを持っていましたので、これまでの強みを違った形に展開することで、うまくビジネスを広げられたと思います。

中川:私も経営者のはしくれのようなことをやるようになって、自分一人では何もできず、組織があって初めて大きな仕事ができるということが本当によく分かりました。また、これまでは即戦力の専門家を中心に社員を集めてきましたが、いまでは新卒の採用も始めていますし、これからは人材を育てるという視点も持っていきたいと思っています。

Question 5

JREさんが初期に手がけられた太陽光発電所である水戸ニュータウン・メガソーラーパークについて、ご苦労された点や、新生銀行がお役に立てた点があればお聞かせください。

中川:水戸のプロジェクトは、当時としてはかなり大きい太陽光発電所の計画でした。建設予定地が住宅地の隣だったので、地元の方のご理解を得るのが一番大変でした。地元では太陽光発電所を見たことがない方々がほとんどで、直に何度もご説明をさせていただきました。現在は我々も自治会のメンバーになって、地元の方々と友好な関係を続けています。
 建設は大きなトラブルなく終えることができました。送電線工事では、建設中の橋の中に送電線を通していただくことによって連系点までの距離が短くなり、工期短縮とコストダウンを実現できました。おかげさまでこの水戸の発電所は、現在非常に安定して稼働できています。
 また当時はプロジェクト・ファイナンスを前提とした案件の事例がそれほどありませんでしたので、電力会社との契約書や建設に関しての契約内容も手探りでしたが、こうした交渉を新生銀行さんと一緒に相談しながら進めていくことができて助かりました。この水戸の案件での仕組みが当社のスタンダードになって、その後の案件をスムーズに展開させることができており、新生銀行さんには非常に感謝しています。

三宅:新生銀行もJREさんと同じように、当時はまだ手探りでしたが、この水戸のプロジェクトを通していろいろな関係者の方とお会いして、皆さんと中身の濃い議論ができましたし、新生銀行も成長したと実感できたお取引でした。
 また本件は地元の地方銀行さんとも一緒に取り組むこともでき、地域に貢献できた良いプロジェクトだったと思っています。

中川:水戸には先日も発電所周辺の清掃活動で参りましたが、行く度に当時の記憶が鮮明に思い起こされます。

水戸ニュータウン・メガソーラーパーク

水戸ニュータウン・メガソーラーパーク

Question 6

JREが初めて建設から取り組まれた中九州大仁田山風力発電所も、地元の期待を背負ったプロジェクトと思いますが、どんなご苦労がありましたか?

中川:開発中で一番大変だったのは、事業用地の確保です。地権者の方々全員から同意を頂かなくてはならないという点で大変でしたが、本プロジェクトをサポートしてくださる現地の方々にもご協力いただいて何とかご理解をいただけました。
 建設に関しては、山の尾根に位置する難しい場所でしたが、工事は鹿島建設、風車は日立製作所、風車の輸送は日本通運と日本のトップ企業連合でしたので、我々は安心してお任せしていましたし、実際とてもよい仕事をしていただきました。
 このプロジェクトでも新生銀行さんには大変お世話になりました。プロジェクト全体や契約関係はもちろん、風況や必要な保険など綿密に解析していただき、いろいろな仕組みを考えてファイナンスをいただけたということは、当社の発展にとっても重要でしたし、感謝しております。

三宅:この中九州の風力発電プロジェクトの前に、JREさんとは稼働実績のある風力発電プロジェクト向けにファイナンスでご一緒しました。そのときにJREさんと新生銀行の間で、風力発電についての共通の認識というか、土台がある程度できたと思います。
その土台があっても、この新設の風力発電プロジェクトは別物で、さまざまな関係者とお話をする中で、新たな論点も数多く出てきました。ただ我々も「できません」とは言いたくありませんので「こういうアイデアでは?」とご提案するようにしましたし、またそれに対しJREさんからも「そんな提案は受けられない」とすぐに返されずに、「ではこういう形では考えられないか?」といい形で議論を発展でき、結果としていいファイナンスになりました。

中川:新生銀行さんは、例えば「こういうリスクに対して、こういう積立金を積んだらどうですか?」など様々な提案をしてくれます。案件を実際に担当している立場では「そんな提案を受け入れるのは難しい」と思ったこともありました。しかしマネジメントの立場で考えると、こうして新生銀行さんが自分たちとは別の目でプロジェクトのリスクをしっかり見ていただけるというのは、やはり安心感があるなと感じます。

中九州大仁田山風力発電所

中九州大仁田山風力発電所

中九州大仁田山風力発電所

Question 7

近時スタートされているバイオマス発電事業への進出のきっかけや狙いなどを、教えてください。

中川:自分も含め、バイオマス発電経験者が社内に何人かいるので、以前からバイオマスをやりたいと考えていました。どうやって実現させようかと検討している中で、エコグリーンと出会いました。エコグリーンには、自社のチップ化工場を新設して事業を拡大したいというニーズがありましたが、それをバイオマス発電所とセットでやったら、より相乗効果が大きいだろうということで話が始まりました。
 いまは良い形でバイオマス事業をスタートできていますが、JREもエコグリーンからの木質チップだけに頼っていくわけにはいきません。これから新たな燃料調達スキームを、新生銀行さんと一緒に作っていければと考えています。
 森林の管理は日本の重要なテーマの一つですので、我々もそれに貢献しながら、バイオマス発電所をもっと増やしていきたいと思っています。

Question 8

これまでの案件を通じて、新生銀行にどんな印象を持たれていますか?

中川:水戸プロジェクトの時は、我々も設立したばかりのとても小さい会社で、将来が不確実な面も多分にあったわけですが、その様な状況でもプロジェクトをしっかり評価していただきファイナンスを付けていただけたことは、今思うと凄いことですし本当に感謝しています。この水戸プロジェクトでの新生銀行さんからのファイナンスがなかったら現在のこの会社はない、と社内でよく言っています。
 当時、他の銀行さんにも相談しましたが、なかなか相手にしてもらえませんでした。他行さんがちょっと尻込みするような案件でも、プロジェクトそのものを綿密に評価したうえで積極的に手がけられるのが、新生銀行さんの強みと思っています。

三宅:ありがとうございます。JREさんが手がけられるプロジェクト自体がしっかりとしているのでファイナンスに取り組めるというのが第一ですが、両社ともにスピード感を持ってチャレンジできるチームであることも、こうしてご一緒できる大切な要素だと感じます。
またJRE様は非常にオープンでいらっしゃるので、新生銀行もプロジェクトの一員として一体感をもって仕事ができています。いまでも新しい事業についてのブレインストーミングをしたり、新しい発電機器の工場見学に一緒に行って議論したりと、オープンにお話ししてくださるので、我々自身も刺激を受けていますし、また同時に責任も感じています。これからも頼りにされる銀行であり続けたいと思っています。

中川:オープンと言っていただけて我々も嬉しいです。案件の中にはうまくいかないものも出てきたりしますが、そういうものを隠す訳ではなくお知らせして、そのトラブルをいかに解決するかという姿勢が事業者には必要なので、トラブルの解決力というか、情報をオープンにして信頼を勝ち得ていかなければならないと思っています。

Question 9

今後の事業展望をお聞かせください。

中川:2020年までに1000メガワットを実現するという、中期的な目標があります。ただそれはあくまでも通過点だと思っていて、その先を見据え始めています。
 事業領域も、もちろん現在の領域を拡大するということもありますが、新たなことにもチャレンジしていきたいですし、業界のリーダー的な立場になれればと思っています。そのような形で、引き続き攻めてやっていきたいと思います。

三宅:今後の再生可能エネルギーは、太陽光発電だけでなく、風力発電やバイオマス発電など、専門性がより求められるようになってきます。さまざまな専門性のある人材が揃うJREさんは、優位なポジションにいらっしゃると思います。

中川:大きな電力業界の中で、我々が占めているのはほんの一部なので、まだまだ電力業界にインパクトを与えたとは思っていません。当社も業容拡大により、より存在感を増していくことを目指さなければならないと思います。現在までは固定価格買取制度という制度に守られてきましたが、今後は国民負担を軽減しつつ、再生可能エネルギーの導入量を増やすというのがあるべき方向だと思います。それによって、我々の電力業界での存在感も増していくのだろうと思います。今後は業界も成熟してくると思いますし、我々も知見を活かしつつプロジェクトを積み上げれば、強みを発揮できるかなと思っています。
新生銀行さんには、金融面から色々とご指導、サポートをいただければと思います。

三宅:新生銀行もJREさんと同じように、業界の中でインパクトを与えられるような、存在感のある銀行になりたいという想いを持っています。これからも、新生はなかなか役に立つ、頼りになると思っていただけるように、いろいろご提案をして、JREさんと一緒に新しいことにもチャレンジできるパートナーでありたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いします。

(2017年3月)

以 上

ジャパン・リニューアブル・エナジー 本社前にて

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