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2014年の経済展望

信州大学経済学部教授 真壁 昭夫 氏

信州大学経済学部教授
真壁 昭夫 氏

これから、世界・日本経済はどうなるだろう

現在の世界経済は、リーマンショック以降の景気の落ち込みから立ち直り、緩やかに回復傾向を歩んでいます。ただ、回復のスピードは国や地域によって違いがあります。

米国では今のところ景気の足取りはしっかりしており、世界経済を引っ張る役割を担っています。一方、ユーロ圏諸国の経済は、ドイツを除いてやや回復が遅れています。中国の経済は依然として元気ですが、成長率がやや鈍化傾向にあります。インドやブラジルなど新興国の経済は、足元で経済活動が少し低下気味です。

そうした世界経済の中で、わが国は、個人消費を中心にして景気の明るさを取り戻しつつあります。今年4月の消費税率の引き上げも、景気回復の腰を折ることはないと予想されます。

回復基調が続きそうな欧米の経済

米国経済の足元の状況を見ると、リーマンショック以降の景気低迷から抜け出しつつあることがはっきり分ります。不振だった不動産市場はかなり活気を取り戻しており、住宅の価格も回復基調が明確になっています。それに加えて、シェールガス革命が経済の活動を一層活発化させています。その結果、失業率が低下し、金融当局は今まで続けてきた金融緩和策(QE3)の縮小に着手しています。ただ、米国が抱える財政悪化の問題は解決されたわけではないので、今後、経済活動にマイナスの影響を与えることも考えられます。

一方、欧州圏では、ドイツ経済が好調さを維持していますが、ギリシャやイタリア、スペインなどの景気は回復が遅れています。その背景には、南欧諸国の財政再建には時間を要することがあります。それらの国では財政支出を縮小しますから、どうしても景気の回復が思うように進まない事情があります。

とは言え、米国も欧州も経済の状況は、少しずつ改善していることは確かです。大きな変化がない限り、これからも欧米の景気回復は緩やかに進むことが予想されます。

回復に時間がかかりそうな新興国の経済

回復基調を歩む先進国と比較すると、新興国の景気は足踏み状態が続いています。本格的な回復に至るまでには、もう少し時間がかかることが想定されます。個々の新興国には各々の事情がありますが、景気の回復が遅れ気味である理由は二つあると考えられます。

一つは、新興国の経済は、海外の投資資金に依存する割合が高いことです。一般的に、新興国は資本の蓄積が低いため、海外からの資金に頼ってインフラ投資などを行ってきました。ところが、米国の金融緩和策の縮小や欧州の投資資金の本国回帰などによって、新興国に流入する資金量が減少する可能性が高まります。それは、新興国の経済にとって重要なマイナス要因です。

もう一つは、新興国の経済構造です。新興国の経済では広い分野の産業が立ち上がっているケースが少ないため、特定産品の輸出が減少してしまうと、その影響が経済全体に大きく影響してしまいます。例えば、ブラジルでは鉄鉱石の輸出が減少したことが、景気全般に大きく影響しています。そうした状況を考えると、主な新興国の景気が本格的に回復するのは、もう少し時間がかかると見た方がよいでしょう。

好循環を続けられるか、わが国の経済

わが国の経済は、2012年11月を底にして回復の道を緩やかに歩んでいます。今回の景気回復の特徴は、個人消費が主導して経済活動が活発化していることです。その背景には、バブル崩壊後に倹約を続けてきたことの反動="倹約疲れ"があるでしょう。それに加えて、株価が堅調な展開になっているため、株で利益を手にする"資産効果"も働いていると考えられます。

デパート等にヒアリングしても、「売上は堅調」との答えが返ってくるケースが増えています。特に最近、人々の"プチ贅沢"の心理が高まっているようです。やや高額な商品が売れる傾向が見えます。

元々、わが国には約1,600兆円の個人金融資産がありますから、心理が改善して購買意欲が盛り上がってくると、モノが売れやすくなるのは当然かもしれません。今年は、久しぶりに企業の賃上げが期待できます。足元の消費者心理などを考えると、4月の消費税率の引き上げによって、景気が大きく落ち込む可能性は低くなるはずです。

一方、新興国の景気先行きを考えると、わが国の輸出が短期間に大きく盛り上がることは考えにくいでしょう。重要なポイントは、堅調な個人消費が、企業の設備投資につながるか否かです。経済指標を見る限り、その好循環の兆候が見え始めています。

懸念される政治のリスク要因

これからの世界・わが国の経済の行方を考えると、今のところ経済的な要因には重大なリスク要因は見当たりません。しかし、冷静に社会の様々なファクターを分析すると、これから政治的なファクターの重要性が高まると思います。

米国では秋に中間選挙があります。オバマ大統領が率いる民主党が敗北するようだと、米国の政治が不安定になることが懸念されます。ユーロ圏はドイツの一人勝ちの状況になっていますが、南欧諸国との政治的な軋轢が高まることも懸念されます。

中国ではすでに新政権が誕生していますが、新政権は大規模な改革をすると明言しています。改革が首尾よく進めばよいのですが、改革がとん挫するようなことがあると、社会全体が安定を失うことも考えられます。政権基盤が相対的に弱い新興国でも、政治の不安定化が経済の足を引っ張ることも考えられます。

わが国の安倍政権は安定していますが、原発廃止などの問題に関連して、同政権に対する支持率が低下することも懸念されます。それが現実味を帯びてくると、経済にマイナスの作用をすることが考えられます。

各稿は各執筆者が執筆時点の経済その他の状況ならびに見解を踏まえて作成したものです。 また、各稿は情報提供を目的としたものであり、お客さまに特定の投資方針や相場観等を推奨するものではありません。 各稿は執筆時点の信頼できると思われる情報に基づいて各執筆者が作成しておりますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。 ご投資にあたっては、お客さまご自身の責任と判断で行っていただきますようお願いいたします。

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