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新興市場国経済の行方

野村総合研究所 金融ITイノベーション研究部長 井上哲也 氏

青山学院大学 教授
榊原英資 氏

最新のIMFの世界経済見通し(2014年4月8日)によると2014年は景気回復の年だが回復を主導するのはアメリカ等の先進国で新興市場国経済の状況は大きく変化はしないとのことだ。BRICsと呼ばれ、ここ10年から20年世界経済を一方で牽引してきたのは中国、ロシア、インド、ブラジル等だが、これ等の国々の景気回復は力強いものではない。

中国経済の行方

1979年から2008年までの30年間、中国の実質GDPの平均成長率は9.8%、インドのそれは5.6%だった。しかし、このところ中国の成長率は7%台、インドのそれは4%台だ。おそらく、中国は高度成長期を終え安定成長期に入ってきているのだろう。今後、4〜5年の成長率は7%前後になってくる可能性が高い。人口が次第に減少局面に入り高齢化も進むことを考えると2050年にかけて成長率は漸減し、2050年時点での成長率は4%前後だと予測されている。

インド経済の行方

インドの場合、中国と違って人口構成が若いので、現在の4%台の成長から5%〜6%へと成長率を戻し、2050年前後までは6%前後の成長を続ける可能性が高い。現在、中国の人口は13億4千万人、インドの人口は12億4千万人だが、2025年前後にはインドの人口が中国のそれを超えるとの予測だ。おそらく、その頃からインドの成長率が中国の成長率を上回ることになるのだろう。

中国とインドの実質GDP成長率推移(前年比)
  • (データ元:世界銀行,CEIC,Bloomberg 作成:(株)新生銀行 金融調査部)

中長期的見通しはともかく、インド経済はこのところ元気がない。2013年には消費者物価上昇率は6.1%、経常収支の赤字は名目GDPの5.1%と、トルコ、インドネシア、ブラジル、南アフリカと共に脆弱な5ヶ国(フラジャイル・ファイブ)と呼ばれるようになってしまっている。フラジャイル・ファイブはいずれも、インフレ率が高く、経常赤字も大きい国々だ。

しかし、2014年5月のインド下院選挙で野党のインド人民党(BJP)が圧勝し、政権交代があったことで、インドに対する期待感は高まっている。新首相のナレンドラ・モディは前グジャラート州知事。グジャラート州をインド一の産業州に育てた手腕が評価されているのだ。又、新しくインド中銀の総裁に就任したラグラム・ラジャンの積極的インフレ対策にも期待が高まっている。

モルガン・スタンレーはこの変化を受けてインドの成長率予測を(2015年4月〜2016年3月)を6.2%から6.5%に引き上げている。インド経済が政権交代によって再び成長率を高めてくるのかどうか、ラジャンにとっても、モディにとっても正念場だということができるのだろう。

ブラジル、ロシア経済の行方

他のBRICs諸国、ブラジル、ロシアもこのところ成長率を下げてきている。ブラジルは2012年には1.0%、2013年には2.3%まで戻してきているが、IMFは2014年には再び1.8%まで低下すると予測している。ロシアは2012年の3.4%から2013年には1.3%まで成長率が低下、IMFは2014年も1.3%にとどまるとしているのだ。

明らかにBRICs諸国の成長率は低下してきているのだが、これが一時的なものなのか、構造的で中長期的に続くものなのかは今のところ明らかではない。もし、先進国の復活、新興市場国の停滞がしばらく続くということならば、世界経済が構造変化をしているということなのだが、まだ結論を出す段階ではない。

日本経済の行方

先進国が景気回復局面に入る中で日本経済も順調に推移している。2011年は大震災、津波の影響でマイナス成長だったが、2012年、13年ともにほぼ1.5%の成長率。日本経済の2014年度の成長率は政府見通しは1.4%だが、消費税増税の影響をどう見るかで民間シンクタンク等の予測は0.2%(ニッセイ基礎研)から1.4%(メリルリンチ日本証券)と大きく分かれている。OECDは日本の2014年の成長率を5月に1.5%から0.3%下方修正して1.2%に引き下げている。2013年度の駆け込み需要の反動がどうなるかの読みによって予測も異なってくるのだが、今のところ反動減はそれ程大きくない様子だ。アベノミクスの第三の矢が内外でどう評価されるかにもよるのだろうが、筆者はかなり楽観的だ。おそらく、政府見通しの1.4%は達成されるのではないだろうか。

日本の実質GDP成長率推移(前年比)
  • (データ元:内閣府 作成:(株)新生銀行 金融調査部)

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