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世界経済の構造変化

青山学院大学教授 榊原英資 氏

青山学院大学教授
榊原英資 氏

IMFの世界経済の見直し

去る10月6日、IMFは恒例の四半期ごとに「世界経済の見直し」を発表している。2015年世界経済全体の成長率は3.1%と2014年に比べ減速している(2014年は3.4%)。新興市場国が減速し、特に、資源輸出国であるロシアがマイナス3.8%、ブラジルがマイナス3.0%だ。

世界の成長率推移(IMF)
  • (出所)IMF、新生銀行 金融調査部

天然資源価格の下落

2015年、石油・天然ガス・鉄鉱石等の天然資源価格が大きく減少したのだ。石油価格(WTI)は年平均で2014年の1バーレル93.13ドルから2015年(1月〜10月)は50.51ドルに下落、鉄鉱石価格も年平均で2014年の1トン96.84ドルから15年には57.67ドルまで下がっている。IMFの資源価格全体のインデックスは2014年1月には180だったが、2015年1月には120と3分の2になっている。アメリカのシェールガス採掘等が直接の原因だが、世界経済の減速で、需要が下っていることも響いている。シェールガスの採掘等が直接の原因なので、当面、資源価格の反転は期待できない。1970年代には原油価格が大きく上昇し、いわゆる「オイルショック」が起こったのだが、現在は「逆オイルショック」とでも呼ばれる状況なのだ。

石油と鉄鉱石の価格の推移(日次)
  • (出所)Bloomberg、新生銀行 金融調査部

資源価格の下落は輸入国にはプラスで、アメリカの成長率は2.6%、ユーロ圏の成長率は1.5%とそれぞれ2014年より0.1%、0.6%上昇している。反面、輸出国には大きな打撃で、前述したようにロシアやブラジルは成長率を大きく下げているのだ(2014年のロシアとブラジルの成長率はそれぞれ0.6%、0.1%)。

中国経済の減速

世界経済の構造変化のもう一つの要因は中国経済の高度成長から安定成長への移行だ。中国経済は1980年から2011年まで、年平均10.03%の高度成長を達成したが、2012年から7%台の成長に減速し、2015年には6.81%、2016年には6.30%まで下がると予測されている(2015年10月のIMFの推計)。中国当局は2015年1〜6月の成長率は7.0%だったと発表しているが、市場関係者は5%以下ではないかと見ているようだ。電力消費量・鉄道輸送量・銀行融資を組み合わせたいわゆる李克強指数等から判断すると成長率は3〜4%ではないかというのだ。

李克強指数と実質GDP
  • ※李克強指数は内閣府試算例を基に作成。電力消費量、鉄道輸送量、中長期新規貸出残高の3ヵ月移動平均値の前年比を求めた上で、 各項目を均等ウェイトで平均したもの(各33%)。
  • (出所)CEIC、新生銀行 金融調査部

好調なインド経済

新興市場国の中ではインドが好調。2015年の成長率は7.26%と中国と逆転すると見られている。中国が「一人っ子」政策等の影響で次第に人口減少・老令化の局面に入っていくのに対し、インドは今後とも人口が増加しつづけるとされているのだ。ちなみに2050年の人口は中国が13億人弱に対し、インドは17億人弱と推計されている。2025年前後にはインドの人口が中国の人口を越え、今後とも7%台の成長が続いていくということなのだ。
プライス・ウォーター・ハウス・クーパーズの予測では、2050年のGDPのナンバーワンは中国、ナンバーツーはインドになっている。19世紀初めまでの二大経済大国は中国とインドだったが(アンガス・マディソンの推計によると1820年の時点で世界のGDPの29%は中国、16%はインドだった)、今後、世界はその状況に戻っていくという訳なのだ。

表
  • (出所)IMF、新生銀行 金融調査部

リオリエント現象

2000年にアンドレ・グンダー・フランクは「リオリエント」の邦訳を発刊し、世界経済の中心が次第にオリエント、つまり、アジアに戻っていくと予測したが、まさに世界はそうした方向に動いているのだ。2050年のGDPのナンバー・フォーはインドネシア、トップセブンのうちアジアは中国・インド・インドネシア・日本と4ヵ国を占めている。

各稿は各執筆者が執筆時点の経済その他の状況ならびに見解を踏まえて作成したものです。 また、各稿は情報提供を目的としたものであり、お客さまに特定の投資方針や相場観等を推奨するものではありません。 各稿は執筆時点の信頼できると思われる情報に基づいて各執筆者が作成しておりますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。 ご投資にあたっては、お客さまご自身の責任と判断で行っていただきますようお願いいたします。

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