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外貨運用、第3のポイントは「為替手数料」 外貨運用、第3のポイントは「為替手数料」

馬養雅子

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馬養雅子(まがい まさこ)

オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、一級ファイナンシャルプランニング技能士)。「お金のアドバイザー」として家計管理や 資産運用などの個人向けコンサルティングを行うほか、新聞・雑誌にマネー関連記事を数多く執筆しています。金融関連企画へのアドバイス、講演などでも活躍中。

外貨の交換には為替手数料がかかります

これまで2回のコメントで、「外貨で資産運用ができる」こと、また、「これから外貨運用が必要な理由」についてお話ししてきました。また外貨運用における注目点である「外貨預金の金利」や「為替変動」による為替差益(差損)についてお伝えしましたね。実は、外貨投資にはもうひとつポイントがあります。第3のポイント、それは“手数料”です。

例えば、アメリカに旅行へ行く時や、米ドルの外貨預金に預け入れをする場合には、日本の「円」を「米ドル」に交換します。このときに「為替手数料」がかかるのです。

なかには「海外旅行によく行くし外貨預金もしているけど、為替手数料はかかってたのかな?」という人もいるかもしれません。それは為替手数料は「手数料」という形で表示されず、円を外貨に交換するときの為替レートの中に含まれていることが多いので気が付かなかったのでしょう。

では、「手数料が為替レートに含まれている」というのはどういうことなのでしょうか。

TTS、TTBって聞いたことありますか?

テレビのニュースなどで報じられる「外国為替相場」の値は、実は金融機関同士が外貨の取引をするときの為替相場の値であり、「銀行間相場(レート)」と呼ばれるものです。

それに対して、私たちが円から外貨預金をしたり、海外旅行で手持ちの円を外貨に交換したりするときの為替レートは「対顧客電信売相場(Telegraphic Transfer Selling)」、略して「TTS」と呼ばれます。このTTSに手数料が含まれているのです。

例えば、銀行間相場が「1米ドル=120円」のときにTTSが「1米ドル=121円」という場合、銀行間相場とTTSには1円の差があります。この1円が、銀行など交換する業者がお客さまからいただく、手数料なのです。言い方を換えると、銀行間相場に交換する業者の収入となる手数料を上乗せしたのがTTSというわけです。

上記と逆の場合、たとえば外貨預金を円に戻す時や、海外旅行から帰ってきて外貨を円に戻す時のように私たちが外貨を円に交換する際の為替レートは「対顧客電信買相場(Telegraphic Transfer Buying)」、略して「TTB」と呼ばれます。こちらも、例えば、銀行間相場が「1米ドル=120円」のときにTTBが「1米ドル=119円」というように差があり、この事例の場合も1米ドルあたり1円の手数料が含まれているということになります。

なお、例では、銀行間相場とTTS、TTBとの差(手数料)を1円としましたが、手数料は通貨や金融機関、交換する場所によってそれぞれ異なります。

TTS=円を外貨に交換する際の為替レート(=銀行間相場+手数料)
TTB=外貨を円に交換する際の為替レート(=銀行間相場+手数料)
※手数料は通貨や金融機関、交換する場所によって異なる

手数料の影響は大きい

前述の事例では手数料は1米ドルあたり都度1円でした。円を外貨にしてその外貨を円に戻したら都合2円です。たいしたことないと感じた人、いませんか?

でも実は外貨で資産運用をするうえで手数料の影響はとても大きいといえます。ここから、すこし“算数”をしますが、頑張ってついてきてください。

(前提条件)
  • 手数料=1円(円を外貨に交換、外貨を円に戻す都度1米ドルあたり1円ずつかかる)
  • 銀行間相場「1米ドル=120円」(10万円を米ドルに交換するときも、交換した米ドルを円に戻すときも銀行間相場は同値だったとする)
  • 「TTS(円→外貨の交換レート)は1米ドル=121円」
  • 「TTB(外貨→円の交換レート)は1米ドル=119円」

である場合に、10万円を米ドルの外貨預金に預け入れたとして考えてみましょう。

  • 10万円を米ドルに交換する
    銀行間相場の「1米ドル=120円」で交換できた場合は、10万円は約833米ドルと交換することができます(10万÷120=833.33)。しかし、私たちが円を外貨に交換する際の為替レートはTTSでしたね。
  • TTSが1米ドル=121円の場合、交換できる米ドルは約826米ドル(10万÷121=826.44)と、先ほどよりも、約7米ドルほど少なくなります。この約7米ドル(約6.89米ドル×120円=約830円相当)が手数料なのです
  • 交換した米ドルを円に戻す
    つづいて、この外貨預金を円に戻した場合(交換する米ドルは金利分を考慮せず)先ほどの例の交換で得た約826米ドルを、TTS 1米ドル=119円で円に戻すと、受け取れる円は約98,340円(826.44×119)となります。

どちらの場合でも銀行間レートは「1米ドル=120円」のままなのに、元金は10万円が約98,340円の受け取りと、約1,660円少なくなっています。これは円から外貨に交換する際に手数料を約830円支払っていますが、さらに円から外貨から円に交換する際にも約830円の手数料を払ったことを意味します。つまり合計して10万円から約1,660円の手数料を払ったということになります。

この約1,660円の手数料について考えてみると、1,660円は10万円の約1.66%にあたります。各金融機関によって異なりますが、執筆時(2015年7月)の米ドルの1年ものの定期預金の金利は、概ね年0.03%~0.3%程度ですから、手数料で1.66%も取られてしまったら、1年間預け入れして得られる利息額よりも支払う為替手数料の方が多いことになってしまうのです。

また、別の見方をすると、手数料が1円(1米ドルあたりTTS、TTBに含まれるそれぞれ1円ずつ、都合2円の手数料)かかったら、(金利を考えないとすると)外貨を円に戻す時の為替レートが預け入れたときより2円以上円安になっていないと利益が得られないということにもなるわけです。

自分でコントロールできること

外貨運用では「外貨預金の金利」や「為替変動」に加えて、「手数料」が運用成果に大きく影響してくることをご理解いただけたと思います。この外貨運用の3つのポイントのうち、為替相場がどうなるかはわかりません。しかし、金利の高い金融機関や手数料が安い金融機関を選ぶことは自分でコントロールが可能です。外貨運用において、金融機関選びは重要な要素のひとつといえるでしょう。

*本文中の記載は手数料、税金等を考慮していません。

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

  • ・本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
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