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マイナス金利に備える・活かす マイナス金利に備える・活かす

井戸美枝

profile

井戸美枝(いど みえ)

CFP®、社会保険労務士。神戸市生まれ。 関西と東京に事務所を持ち、年50回以上搭乗するフリークエント・フライヤー。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金部会委員。経済エッセイストとして活動し、人生の神髄はシンプルライフにあると信じる。
『世界一やさしい年金の本』(東洋経済新報社)『お金が貯まる人となぜか貯まらない人の習慣』(明日香出版社)『知らないと損をする国からもらえるお金の本』(角川SSC新書)『現役女子のおカネ計画』(時事通信社)など著書多数。

日本銀行は今年1月29日に開いた金融政策決定合で「マイナス金利」の導入を決定。2月16日から実施されました。

金利がマイナスになるということは、銀行に預金していると、金利を取られるようになるの?と思ってしまう方もいるかもしれませんが、今回の政策は、あくまでも銀行が日本銀行に預けている資金の一部をマイナス金利にするという、銀行同士の金利の話。日銀の黒田東彦総裁も2月4日の衆院予算委員会で「(日本では)民間銀行の個人向けの預金にマイナス金利がつく可能性はない」との認識を示したと、報道されています。
しかし、今回のマイナス金利の導入という金融緩和政策の一段の強化を受けて、マーケットでは長期金利の利回りが急速に低下。長期金利の水準は金融機関がローンや預金の金利などを決める際に目安としている指標のひとつであるため、早速、私達が利用している金融商品にその影響が及びはじめています。そこで今回は、今後、マイナス金利にどう備えるか?について解説します。

影響が早速現れる

国債利回りの大幅な低下を受けて、財務省が個人に向けて販売している国債の一部の販売募集を中止にしました。また、大手銀行をはじめ地銀やネット銀行など各銀行が、主に定期預金の金利を一斉に引き下げたほか、ゆうちょ銀行も定額貯金、定期貯金などの金利を引き下げると発表しています。
さらに、主に安全性の高い国債などの債券で運用される投資信託「MMF(マネー・マネージメント・ファンド)」では、運用する国内11社のすべてが事実上、受け付けを停止する事態に。また、社債の発行延期も相次いでいます。
このように、預金や預金以外の比較的低いリスクで運用できる選択肢が減少するなど、影響が早速現れはじめています。

備える

国債利回りの大幅な低下を受けて、国債を中心とした金融資産で運用している商品は、今後さらに厳しい運用環境を強いられることになりそうで、たとえば生命保険の契約を検討している人は、次のような点に注意が必要です。
生命保険会社は多くの商品において、契約者から受け取った保険料を、主に長期国債を中心に長期資金の運用を行い、安定的な金利収入を得る運用をしています。そのため今後は、たとえば一時払いの終身保険など、貯蓄性を重視したタイプの保険などでは、現在の条件では新規の申し込みが中止になったり、新たに販売される分から保険金額が引き下げられたり、予定利率という契約者に約束する運用利回りが引き下げられる可能性が考えられます。

注目する

マイナス金利時代、どのような商品が注目されるのでしょうか。

<投資信託>

もし「投資信託」を選ぶなら、債券型のカテゴリーに入る債券ファンドが選択肢のひとつになるでしょう。
債券価格は一般的には、満期までの残存期間が長いほど、金利が低下すると値上がりしやすくなるため、長期の債券を組み入れて運用している債券ファンドは、今後さらに金利の低下が進むようなら、基準価額の上昇が期待できそうです。もっとも、すでにこれらのファンドは、基準価額が値上がり傾向にあること、また今後ファンドに大量資金が流入するようだと、安定的な運用が難しくなり、募集停止などが発生する可能性もありますので、購入をご検討されている場合には充分ご注意ください。

<外貨・海外資産>

このほか、国内での運用環境の厳しさを受けて、今後は海外の相対的に高い金利などが期待できる商品の魅力が高まり、注目を集めるかもしれません。マイナス金利が導入されて以降のマーケットは、新たな政策への評価が定まらず、しかも海外情勢もあって急激な円高基調となるなど、為替、株式の両市場は非常に不安定な状況にあります。そのためこのような局面で外貨資産に投資するのは、相当に慎重な判断が必要となりますが、今回のマイナイス金利導入は、金利差という点では(あくまでもひとつの考え方ではありますが、おカネは金利の低い国から金利の高い国に向かいやすいといわれており)、円安要因とも言えます。
まだしばらくはマーケットの落ち着きを待つ必要があるだろう、との見方もあり、また今後もこのような為替や株式市場では大きな価格変動が再来するかもしれませんが、投資信託や外貨預金などを通じた海外資産への投資が増加する可能性があります。

<不動産・REIT>

銀行や生命保険会社などの金融機関は、国債や社債での運用が難しくなり、運用先の幅を広げる必要に迫られる可能性があります。そのためこれらの金融機関は今後、日銀が継続して購入しているREIT(不動産投資信託)などに資金を振り向けるかもしれません。

活かす

金利の低下を受けて、良いニュースもあります。ローン金利の引き下げです。
新生銀行は、マイナス金利導入を受けて住宅ローンの一部の金利を年率で0.05~0.1%引き下げました。住宅金融支援機構の「フラット35」の金利も下がる見込みです。住宅の購入を検討している人にとっては、今回のマイナス金利導入にともなう住宅ローン金利の低下は、好材料となりそうです。

また、各社の住宅ローン金利の引き下げを受けて、各金融機関に問い合わせが増えているようです。2017年4月に消費税引き上げを控えていることもあり、この機会を活かそうと考えている方も多いようです。

欧州の金融不安、中国経済の減速、原油安などを受けて、株安、円高が加速するなど、マイナス金利導入後の資産運用には逆風が吹いています。しかし安全性を重視して預金に頼ろうとしても、金利はほとんどゼロ・・・。
まだしばらくはマーケットの落ち着きを待つ必要があるだろう、との見方もあり、今後もこのような為替や株式市場では大きな価格変動が再来する可能性も充分に考えられますので、このような局面で外貨資産をはじめリスク資産に投資をするのは、相当に慎重な判断が必要となります。
ただ、投資信託や外貨資産での運用、REIT、さらには住宅ローンなど、この低金利局面を活かす方法がまったく無いわけではなさそうです。
もし、わからないようなことがあれば専門家や金融機関の窓口で相談して、是非この環境に備えながら、資産運用にも活用していきましょう。

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

  • ・本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
  • ・金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • ・上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を新生銀行が保証するものではありません。
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