現役東大生が株式投資に挑戦
これならわかる! 魅力ある株の選び方
基礎編 実践編
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パソコンとi-Pod 服のセンスで勝負! 本を買うならネット?お店?

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あなたはパソコンとi-Podのどっちをとる?
― 2004年7月 ―
よし、それじゃ次のレベルに行こうか。株式投資は机上の勉強だけでは決してうまくはいかない。はっきり言って、実際に投資してみることが一番の勉強になるんだ。でもこんな知識で投資ができるのか?って不安を持っていると思う。ということで今回は試しに、アメリカのコンピュータ関連業界から自分が買いたいと思う銘柄を探してきてごらん!
― 1週間後 ―
よし、2人ともちゃんと調べてきたようだな。ここからは2人で分析した結果を話し合ってみて、どちらか一方に決めてみよう。
ほんなら、いきましょか。
私はいろいろと悩んだ末に、マイクロソフトにしたわ。パソコンを買ったら必ずと言っていいほど使うことになる「Windows」はマイクロソフトの主力製品よ。OSでの市場シェアは95%を誇っていて、売上は2003年度から2004年度にかけて12%も増えているし、今後も順調かなと思ったの。創業者のビルゲイツはとっても有名だしね。きよ君はどの銘柄を選んだの?
おれはリンゴのマークで有名なアップルコンピュータや。今、大ヒットしいてるi-podはアップルの製品やで。i-Podのおかげもあって売上は前年度比30%、純利益は前年度比4倍以上というように業績もものすごい伸びてるで。
アップル社 業績の推移
アップル社 純利益の推移
なるほど、たしかに私の友達でもi-Podを持ってる子は多いわ。でも、アップルは元々Macっていうパソコンを作ってたんだよね?今現在マックはパソコン・OS市場でのシェアが5%以下に低迷していて、この分野で伸びる余地はないような気がしたから、私はアップルを選ばなかったのよ。i-Podが伸びているといってもコアビジネスはパソコン事業だと思うのよね。さっきも言ったけど、そのパソコン事業はマイクロソフトの天下よ♪
OS世界市場シェア
確かにコアビジネスはパソコン事業なんやけど、音楽事業もあなどれないと思うで。おれも実際にいろいろ買って使ってるけど、i-Podはすっごい便利やしデザインも最高!女の子との話のネタもできてハッピー♪
結局それが目当てでは・・・
ちゃうちゃう。おれはジェントルマンやがな。ちょっと話それたけど、今後音楽はインターネットで購入して、パソコンからi-Podみたいな音楽機器にダウンロードして聴くっていう文化が広まっていく思うなぁ。やっぱりパソコン事業は市場が飽和状態にあって、それほどの伸びは見込めへんけど、i-Podみたいなハードディスクやメモリーに音楽を入れるポータブルオーディオ市場の伸びのほうは断然高くなると思うねん。株価に与える影響を考えたときに、すでに市場が飽和しているパソコン事業よりも、市場が伸び盛りのポータブルオーディオのほうがええと思ったんや。
なるほどね。確かに、i-Podはなかなかの反響を呼んでいるわね。私はまだMDで十分満足していたから気にしてなかったけど、そんなに便利なのね。
よし、では業績から見ていこうか。
マイクロソフト社 業績の推移
マイクロソフト社 純利益の推移
じゃあ、私からいかせてもらうわね。マイクロソフトの売上高は前期比で毎年伸びているわ。2003年には300億ドル(日本円で約3兆円)の大台にのせたのよ。それから営業利益はほぼ横ばいだけど、純利益は2002年に底を打って以来伸びているし、財務の安定性を見る指標である株主資本比率は80%を超えていて、非常に健全だといえるわ。マイクロソフトはWindowsを中心に圧倒的なシェアを背景として、製品・サービスをさらに拡充していく予定なの。今後も売上、利益の伸びが確実に期待できるわよ。
確かに売上規模が大きいし、純利益が伸びてるのは好材料やろな。けど、おれは規模よりも成長力のほうが株価に与えるインパクトは大きいと思うで。そやからマイクロソフトの売上、利益の成長率に注目したほうがええと思うで。
なるほど、成長率ね。下の表をみてちょうだい。マイクロソフトは売上高、純利益、どちらの指標で見ても伸びていることがわかるはずよ。これを見ればマイクロソフトの新規投資の効果が順調に出ていて、売上高も純利益も10%程度の成長が見込めると思うわ。
<マイクロソフト社の売上高の変化率>
  売上高 純利益
2002年-2003年度 13% 40%
2003年-2004年度 14% 8%
<アップル社の売上高の変化率>
  売上高 純利益
2002年-2003年度 8% 6%
2003年-2004年度 33% 400%
※出所:アニュアルレポート
 
なるほど、単純な金額だけじゃなくて成長率を見るのは新しい視点だね。きよはいいところに目をつけたな。
まぁ、経験者やからそれぐらいはわかってまっせ。ほな次はおれの番やな。まずはアップルの業績推移のグラフを見てや。
あら、2002年、2003年と利益が出ていないじゃない。大丈夫なの?
売上高は常に伸びているんやけどな。でも、2004年にi-Pod の人気が上がって、ハードディスク搭載型音楽プレーヤー市場で圧倒的なシェアを獲得して、売上・利益ともに大きく伸びてるねん。変化率を見ると2003年から2004年にかけての伸び率が純利益で4倍になっていることからもわかるように、i-Podの人気が続く限り業績上向きなのは間違いないで。
i-Podのおかげですごく伸びたのね。
財務が安定しているかを見る株主資本比率も63%で、50%を超えとるし、急に倒産する心配はないやろ。キャッシュも日本円で約2000億円もあるし、新型のi-Podやそのほかの製品への新規投資も積極的に行えるだけの余裕を持ってるで。実際、i-Pod shuffleやminiといった新製品をどんどん打ち出していく予定やから、まだまだ利益は伸びる思うでー。
<ファンダメンタル分析>
単位:百万米ドル マイクロソフト(2004年6月) アップル(2004年9月)
総資産 92,389 8,050
株主資本 74,825 5,076
有利子負債 17,564 2,974
株主資本比率 80.9% 63.0%
※出所:各社アニュアルレポート
※2004年度は予想値
財務の安定性に関してはマイクロソフトも問題ないわよ。株主資本比率は75%を超えていて、現預金が日本円で1兆円くらいあるのよ。さらに比較的すぐにキャッシュにできる短期投資をあわせると5兆円くらいの資金があるとみていいわ。豊富な資金を活かして、パソコン事業とシナジー効果を生める新世代ネットワーク技術の開発とか、ゲーム機器などのエンターテイメント事業への展開も予定しているわ。そういうところからも将来性があると思ったの。
確かにマイクロソフトは資金がたくさんあるけど、それをうまく使うてると言えるのかなぁ。もっと株主に還元せなあかんやろ。今までマイクロソフトは利益を出しても株主に配当せずに、設備投資や企業買収とかに再投資してたやろ。それがさらなる利益を生んで、高成長を持続させとったよな。でも今はその成長率も鈍化してきて、再投資の機会も減ってきてんねん。たしか最近、株主が経営陣に対して配当を支払えって要求してたよな?
そうね。7月には配当を出す予定みたいね。
それはつまり、企業が成長すれば株価が上昇してキャピタルゲイン(値上がり益)が得られるからいいだろうっていう考え方から、配当を出すことで直接的に株主に還元しようっていうスタイルに切り替えるっちゅう意思表示をしたわけや。
たしかにマイクロソフトは「成長企業」ではなく、すでに「成熟企業」という位置づけかもしれないわね。配当を出すのはいいことだけど、以前のような急成長が期待できないとすると、株価の大きな伸びは期待できないかもね。そんな視点では全く考えていなかったわ。
あと現在の株価が割安かどうかも見極める必要があるよな。マイクロソフトのPERは25倍。一方アップルは17倍。単純にPERを比較した場合でも、アップルのほうが割安な分、株価が上がりやすいと言えるんちゃうんか。
PERだけじゃなくて、PBRも見てみたかい?
PBRを見るとアップルは4.63倍で、マイクロソフトは5.76倍や。アップルのほうがマイクロソフトよりも割安にみえるなぁ。
2004年度
PER
PBR
予想ROE
マイクロソフト 25.0 5.76 14.79%
アップル 17.0 4.63 14.16%
※出所:各社アニュアルレポートをもとにAgentsが作成
 
そっかぁ。株価が割安かどうかを見るのも重要よね。一番業績がいい企業を探せばいいんだっていう短絡的な考えをしてたわ。ただし、株を見るときに重要な指標としてROEを忘れてはいけないわ。ROEはReturn on Equityの略で「税引き後利益(当期利益)÷株主資本」っていう式で計算するの。株主の資本をもとにどれだけ効率的に利益を生み出しているかを見る指標だったわね。これをみるとマイクロソフトは14.79%で、アップルの14.16%よりも数値が高いわよ。
あんまり差はないんちゃうか? 一般的に日本企業ではROEが10%を超えていればかなりよい部類やって聞いたことがあるから、アップルも問題ないんとちゃうかな。やっぱり今回は割安かどうかのほうが重要やと思うで。
確かにそうね。きよ君の言う通りだわ。今回はアップルの株価のほうが上がりそうな気がしてきた。アップルに決めましょうよ。
よっしゃ!上がるといいなぁ。ななもi-Pod買って売上に貢献しぃやぁ。
そうね。いい機会だから、MDを卒業しちゃおうかな。
ちょっと待った!確かにアップルの業績がよくなりそうなのはわかったが、企業ばかり見ていて、株式市場全体の動きについては分析していないんじゃないか?
あ、そうだったわ!たとえアップルの業績がよくても株式市場全体が下がれば影響を受けて、株価が下がるかもしれないものね。アメリカの株式市場全体を見るときは、中東などでの政情不安再燃にも気をつけないといけないらしいわ。
確かにアメリカの株式市場全体のリスクについては目を配っといたほうがええなぁ。特にブッシュ政権はネオコン派が台頭して、中東や他の国との摩擦に特に注意しとく必要がありそうやなぁ。
政情不安が起きたときにはすぐ株を売れるように注意しとかないとね。
まだ終わりじゃないぞ。チャートを見るのを忘れているだろう?
うおっ、ど忘れしとったわい。
<テクニカル分析>
マイクロソフト 株価チャート
アップル 株価チャート
マイクロソフトは24ドル付近に下値支持線があって、それよりも株価が下がる気がしないわ。上昇余地のほうが大きい気がする。
でもマイクロソフトは2003年10月頃の30ドルを頂点に下降トレンドに入っているようにも見えるで。あんまりいい形のチャートには見えないなぁ。その点アップルはずっと順調に右肩上がりになってるで。そんなに急激に上がってるわけでもないし、このままの勢いで上がっていくように見えるで。
そうね。チャートを見てもアップルは問題なさそうね。じゃあ、アップルでいきましょう!
ははは、ぎょうさん調ベた甲斐があったなぁ。結果が楽しみや!
― 1年後。2005年4月。 ―
マイクロソフトvsアップル。実際にどうなったか見てみましょうか。
2004年4月〜2005年3月までの変化率比較
ほれ見てみぃ、アップルめっちゃ上がっとるやんけ!
株価約3倍になってるやん!おれの言うたとおりやな!
わぁ、ほんとうにすごく上がってる。きよ君の言ったとおりだったね。
明暗がはっきりと分かれたな。マイクロソフトの業績は決して悪くない。でも、アップルは業績が悪かった状態から一転してものすごく良くなったから、投資家が受けるインパクトがとても大きかったといえるな。i-podが市場を席巻したこともあるが、去年から取り組みはじめた人件費の削減がうまくいって、利益が大きく伸びたのも1つの大きな要因だね。
やっぱり業績の伸び率が株価に与える影響は大きいっちゅうことやなぁ。
それにしてもi-podの売上は大きく伸びたわね。実は私もこないだ買っちゃった♪
売り場がすごく混んでいて、飛ぶように売れてたわ。
i-podの市場は、MDとかCDの市場を吸収してものすごく伸びてるんよ。
でも、この市場にもソニーほか各社がだいぶ参入してきたから、今後もアップルの天下が続くかどうかわからない。それともしi-podがここまでブームになってなかったら、株価はここまで上がらなかったかもしれないな。それ以外にも、原油高や戦争、テロなんかが起こったときは、また違った状況や結果になっていたかもしれないしな。株式投資をするときは、本当にいろんなことに目を配らないといけない。
今回はすごく勉強になったわ。大企業であったり、今の業績が好調だからといって、必ずしもそれが株価上昇につながるわけじゃないし、今度は業績がどれだけ伸びていきそうかっていう「成長率」を気にして財務データとかを読むように注意しなきゃだわ。それにもっといろんなニュースにも気を配らなきゃ。
その通り。とはいえそんなに慎重になりすぎず、実際に株式投資をしてみて、そこから学んでいく姿勢が大事だぞ。
先生、今回はありがとうございました。
先生、おおきに!
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当資料は株式投資一般に関する情報の提供を目的として東京大学株式投資クラブAgentsが2005年4月に作成したものであり、特定の企業の分析、評価を行うことを目的としたものではなく、また新生銀行は記載内容の正確性や完全性を保証致しません。
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