World Report
田代尚機の「中国現地レポート」
2008/4
第3回:中国人のリスク感覚
花火

 今回は、まず写真を見ていただきたい。窓の外に不思議な光が見えるが、もちろん心霊写真などではない。ただの花火である。ただし、その場所が問題だ。明らかにマンションの脇の道から発射されており、撮影された場所はマンションの一角である。

中国では、正月に花火を打ち上げる習慣がある。この写真は、今年の2月7日、旧暦の1月1日、北京のとあるマンションで撮影されたものである。この日は、こうした光景が中国各地で見られる。

当日は夜中の2時すぎまで花火が鳴り響いた。爆竹がうるさいとよく言われるが花火はそれ以上である。なんといっても窓の真横で小振りのスターマインが炸裂する。花火の衝撃波を体全体で味わっている感じだ。

日本の正月は三が日で終わる印象があるが、中国の正月は狭義には7日間。しかし、元宵節(旧暦の15日)までの間が伝統的に広い意味での正月である。爆竹は大晦日の晩と正月の15日間、打ち上げが許可される。音が気になる人にとって眠れない日々が長期に渡り続く。

日本人の私にとって不思議に思うことがいくつかある。まず、あれほど金銭感覚のしっかりした中国人が、高いものはひとつ700元(1元=14円として、9,800円)ぐらいする花火をどうして買うのか。1分かからないうちに消費してしまうようなものを・・・。

次に、音に対する苦情が出ないのはなぜか。日本で同じようなことをすれば、一部の住民が警察に通報、一瞬にして騒ぎは収まるのではなかろうか。何人かの中国人に聞けば、みんな正月だけなのだからいいだろうといっている。もちろんこれは合法である。あまりに寛容だ。

しかし、もっとも驚かされるのはそのリスク感覚であろう。この写真の花火はタクシーのすぐ横から発射されている。マンションの窓からロケット弾が発射されることもある。しかしそれも、「上の階から火の粉が降ってきてきれいだ」ということで済まされているようだ。

花火

実際、毎年花火によって死傷者が続出する。にもかかわらず、風がどんなに強くてもやめない。10年ほど前からしばらくの間あまりにも死傷者が多く出るため一旦禁止された時期があるが、製品の質が上がったからとの理由で3年前に解禁された。徹底した自己責任の上での、リスク・テイクである。

花火に限らず、中国を旅行したことのある方はお分かりだと思うが、自動車の運転が非常に荒い。急発進、急加速、無理な追い越しを頻繁に行う。なぜ、それほどまでリスクを取りたがるのだろうか。

Bloomberg Screen shot
Bloomberg Screen shot

 株式投資に関しても似たような傾向がうかがえる。今回の大相場では上昇過程で、多くの人が銀行から親戚縁者まで、あらゆるところから資金を調達し、株を買ったとまで言われる。だからこそ、約2年で指数が6倍になるまで株価が急騰してしまうのだ。
発展途上の市場だから株価がバブル化したのだ、という一面的な分析はどうかと思う。
もし、要因がそれだけならば、株価バリュエーションが不安定であることは今後投資家が経験を積むことで改善されるかもしれない。

しかし、長年中国に住み、中国を見てきた感触からは、中国人のこのリスク感覚は本能的なものであって、長期にわたって変わらないように思う。中国株式市場における激しいボラティリティ(変動性)は宿命なのかもしれない。

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品を説明するページをご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

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