World Report
田代尚機の「中国現地レポート」
2008/7
第4回:北京オリンピック開催まであとわずか!!
国家博物館前

6月15日(日曜日)の午後、久しぶりに天安門広場に出かけた。日本人から見れば、北京は砂漠ではないかと思うくらい雨が少ない。しかし、6月のこの時期は、曇りや雨の日が続くこともある。前日の土曜日は雨。金曜日も夕立があったそうだ。雨上がりの日曜日は、空気が新鮮だ。薄日が差したものの、気温は25度程度とすごしやすい昼下がりである。

天安門広場に出かけた理由は、そのすぐ脇にある国家博物館前の「オリンピックまであと何日」と書かれた電光掲示板を見たかったからだ。2004年12月にこの掲示板の写真を撮ったが、それにはオリンピックまで“あと1343日”と示されてある。当時はその日付を見て、とてつもなく長いと感じた覚えがある。

国家博物館前の歩道

それが、この日の掲示版では“あと54日”。あれから今日までいろいろなことがあった。本土株式市場は歴史的な大相場となった。上海総合指数は2005年夏に底を打ち、その後は一本調子で上昇を続け、2007年10月には天井を付ける。この間およそ2年3ヵ月で指数は6倍へ。その後指数は一転急落、6月16日現在、半値以下の水準だ。

国際関連では、反日デモ、貿易摩擦の激化、環境汚染に対する問題意識の高まり、チベット騒乱、・・・。オリンピックは中国にとって大きなチャンスである。世界の自由と平和を心から祈る国家であることをアピールする恰好の場だ。

一方、オリンピックは中国にとって大きな挑戦でもある。世界が中国に注目するなか、中国の問題点、世界との相違点が浮き彫りにされる。中国は、主要国では唯一残った共産党一党独裁体制国家である。国家が経済や社会をコントロールするといったやり方がほかの自由主義国家との軋轢を生む。

天安門広場では当局による入念な荷物チェックが行われていた。広場といい、大通りをはさんだ国家博物館前の歩道といい、普段はあまり見かけない警察官が多数警備に当たっていた。

今年の4月あたりから、中国入国審査が厳しくなっている。特に半年間有効の長期出張用マルチビザの申請がなかなか下りなくなっているようだ。チベット騒乱や聖火リレー妨害などは中国にとって最も敏感な問題である。関連の抗議運動が天安門で繰り広げられるような事態はぜひとも避けたい。また、6月は天安門事件があった月でもある。当局の緊張感がこちらにもひしひしと伝わってくるような警備体制である。

オリンピックメイン会場となる通称“鳥の巣(国家体育館)”

天安門広場を一通り歩いた後、オリンピックメイン会場となる通称“鳥の巣(国家体育館)”に向かった。

昨年8月にもここを訪れている。当時は工期の遅れが気になったが、今回もやはり心配だ。近くまではいけないが、肝心の建物はできているようだ。しかし、隣接する立体プールも含め、広い範囲が鉄格子で囲われており、その一部は土がむき出しのままである。中国では、道路工事もビル建設も同じであるが、とにかく期限ぎりぎりで仕上げてくる。8月8日の開催日までにはすべてが完成しているに違いないのだろうが、それでも心配になってしまう。

感動したことがひとつある。それは非常に多くの人が私と同じように会場を見に来ているのである。若い人たち、とくにアベックが多い。みんな最新のデジカメや携帯で写真を撮っている。

ある場所では、鉄格子の内側にいる警備員と外側の見学者が口論している。警備員が、見学者に対してパフォーマンスを行う若者を追い払ったのだが、見学者がそれに抗議をしているようである。

いろいろな人がいろいろな思いを抱きながら、オリンピックを待ちわびている。この先どんなドラマが待ち受けているのか。北京オリンピック開催まであとわずかだ。

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