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須貝信一の「インド現地レポート」

株式会社インド・ビジネス・センターの須貝信一(すがい しんいち)さんによる現地の経済・為替・文化・生活などをテーマにしたコラムを紹介します。須貝さんは、外資系IT企業、経営コンサルタント等を経て【インド株式オンライン】、インド専門総合ポータルサイト【インドチャネル】を立ち上げました。コンテンツでは主に株式を担当されています。

2008/5

第2回 インドの証券取引所

ライバル!? 二つの証券取引所

マリンドライブ
マリンドライブ

ダラルストリートは、南北に伸びたムンバイの南側に突き出た半島のほぼ先端にあります。市の中心部から南へ車で1時間くらいで到着しますが、その途中には通称「マリンドライブ」と呼ばれる海岸線もありリゾート風でもあります。

そこに、そびえ立つムンバイ証券取引所はアジア最古の証券取引所として知られています。インドには23の証券取引所がありますが、ほとんど動いていないような取引所もあり、主な取引所はSENSEX指数で有名な「ムンバイ証券取引所」とNIFTY指数を算出している「ナショナル証券取引所」の2つです。この2つとも金融都市ムンバイにあります。

これは「東京証券取引所と大阪証券取引所の違い」というよりは、「ニューヨーク証券取引所とナスダックの違い」に近いかもしれません。両者にどういう違いがあるのかムンバイ証券取引所関係者らが言うことには、「特にたいした違いはありません。でも、私たちムンバイ証券取引所の方が上場企業数は5000もありますから」。ライバルを意識した発言でしょうか。

お互い補完する関係ともいえますが、ブローカーから聞いた話では、いずれ合併する可能性もあるとのこと。

実際、客観的なデータではどうかというと、ナショナル証券取引所の方がデリバティブ取引では活発で出来高でも上ですが、ムンバイ証券取引所の方が、時価総額や上場企業数では上になります。ナショナル証券取引所はできてまだ十数年ですが、ムンバイ証券取引所はアジア最古の証券取引所です。

世界が狙う証券市場

世界的な証券取引所の再編が起きていますが、インドも例外ではなく、その急成長にあやかろうとニューヨーク証券取引所グループ(NYSEユーロネクスト)やカナダのTSXグループなどがインドの証券取引所に食指を伸ばしてきています。また、ゴールドマン・サックス、ニューヨーク証券取引所を含む5つの企業グループがナショナル証券取引所の株式26%(外資の保有割合上限)を取得しました。

このように欧米の投資銀行が株式を保有している場合もあります。この流れは、証券取引所だけでなく商品先物取引所にも波及しています。マルチ商品取引所(MCX)は、自身が証券市場に今後上場する見込みですが、既にメリルリンチ、シティ、NYSEユーロネクストがそれぞれ5%を保有し、その他の外資系ファンドも多数保有し、合計3割近くを外資が保有しています。

ムンバイ証券取引所
ムンバイ証券取引所
ナショナル証券取引所
ナショナル証券取引所

テロの街とセキュリティ

インドでは、コミュナル暴動(簡単にいえば異なる宗教・民族間での紛争)というものがよく起きます。このムンバイ証券取引所もコミュナリズムに起因して1993年にムンバイ連続爆破テロ事件の標的になり、犠牲者を出しました。そのためセキュリティは非常に厳しいものとなっています。もちろんカメラ片手に周辺でウロウロしていれば、ポンポンと肩をたたかれ職務質問をされることになります。

ムンバイ証券取引所に入館するには、非常に厳しいセキュリティを通過する必要があり、時間がかかります。インドは基本的に空港や駅など公共施設は撮影禁止場所が多く、写真を撮るのも一苦労です。証券取引所ともなると、当然規制は厳しく、記名、手荷物検査どころか、顔写真まで撮られます。私が訪問した際にもパソコンのウェブ・カメラのようなものの前に立たされて撮影され、その後2〜3分待たされてレシートのような小さい紙にプリントアウトされたものを『入館するためのパスポート』として渡されました。それだけ厳重にしなければならない背景があるということです。

ところで、常にテロ事件が起きているインドでは、日本でニュースになるような大きなテロが起きた時も株式市場はあまり反応しない傾向があります。幸か不幸か、テロや暴動に慣れているため、市場経済に影響が及ぶことはあまりありません。これもひとつのお国柄といえるかもしれません。

ですから、これを読んでいる皆さまも、ちょっとした暴動事件をニュースなどでご覧になっても 、それだけを理由に「下がる!」として慌ててファンドを解約する必要はないかもしれません。

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