インドの人々の買い物スタイルがどんどん変わってきています。
ほんの数年前までは、デリー市内でもスーパーマーケットの類を見かける機会は限られたもので、かろうじて自称スーパーマーケット「サブ・カ・バザール」などの小さいチェーン店があった程度でした。デリーやムンバイなどの大都市に住む人々、高級住宅街に住む人でも近所のマーケット(商店街)へ行き、野菜は八百屋の屋台、日用品は小さな商店、薬は薬局といわゆる個人商店のお店で買い物というスタイルがほとんどでした。
最近は、あちこちにコンビニエンス・ストアのような、小規模のスーパーマーケットも見られるようになってきており、経済発展を肌で感じることができます。でも、私たち外国人から見るとまだ「あ〜、惜しいなぁ」と感じさせる点もあるところがカワイイところでもあります。例えば、生鮮食材をビニールに入れてパックしてはいても中で劣化していたり、商品の陳列の仕方はなにも計算されていない感じで、「形から入っている段階なのだな」と思わせる点が目立ちます。

- 昔ながらのマーケット(商店街)

- スーパーマーケット「スペンサーズ」
しかしながら、地元財閥系の「スペンサーズ」や「リライアンスマート」など本格的なスーパーマーケットも姿を見せはじめ、更なる勢いで増加しており、今や、野菜の売り方ひとつをとっても、「違和感なし」と思えるようなシステムも見て取れるようになってきています。
ほんの数年前までは、各商店をいちいち回りそのつど値段交渉をしていたインドの人々が、今ではカートを押してワンストップで買い物をしているという、その発展のスピードにはただ驚くばかりです。実際、インド都市部の人々は、いまだかつてないスケールで食料や日用品に出費をするようになっており、ここ数年の都市部インド人の買い物による出費全体の平均成長率は14%とのことですが、そのうち半分くらいが生鮮食材、食料雑貨で占められているそうです。つまり、所得向上によるライフスタイルの変化は「食」から起きており、「スーパーマーケット業界」は急速な発展が予想されます。
また、これまでは宗教的な理由から、肉類が他のものと同じスペースで売られることはほとんどなかったのですが、最近のスーパーマーケットには必ず肉類のコーナーがあります。宗教的な生活習慣が根強いインドとしては非常に画期的なことで、今までこだわり続けていたことに対する変化をようやく人々が受け入れ始めたと言え、インド社会の変容をここでも感じられます。ただ、もちろん肉を食べるインド人はまだ少数派ですが。
経済発展に伴う生活の多忙化からくるニーズを感じるものとしては、店内にチャパティ(インド人がもっともよく食べるパン)の生地をその場でこねる機械が稼動しており、人々はそこで「あとは焼くだけ」の生地を買えるようになっていることです。今までは、食事のたびに粉と水を混ぜてこねる作業から始めなければならなかった伝統的な主食のチャパティ作り。働く主婦にとっては、これ以上助かることはないとばかりに、次々と売れていました。
他にも、DLFやアンサルなどの大手デベロッパーによる大型ショッピングモール開発も進んでおり、「これが本当にインドか」という風景が急激に増加しています。2007年末には、東京ドームの2倍の売り場面積を誇る高級ショッピングモール「セレクト・シティ・ウォーク」が南デリーにオープン。日本で例えるなら昭和35年の町並みにお台場や赤坂サカスができるような変化です。今後も都市部を中心とした小売業態や不動産開発によってインド人の消費スタイル、生活スタイルは、私たちの想像を超えるスピードで変わっていくことでしょう。

- インド版スターバックス「バリスタ」

- 大型モール「シティウォーク」の夜景
