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中国経済は、高い成長を維持しつつ過熱感も抑制されるという良好な状況となりつつあるようだ。先日発表された第3四半期(2007年7〜9月)のGDP経済成長率は11.5%。第2四半期と比べ0.4%ポイント鈍化している。過熱が心配された固定資産投資であるが、第3四半期は推計で25.4%増と第2四半期よりも▲1.6%ポイント減速している。
9月のCPI(消費者物価指数)上昇率は6.2%と前月よりも▲0.3%ポイント低下、9月の貿易収支は依然高水準ではあるが、8月と比べれば落ち着きを見せている。政府は引き締め政策を続ける意向であり、中国経済はますますソフトランディングの可能性が高くなってきた。
企業業績もほぼ全産業で好調。1〜9月期における主要企業の業績をみると、中国工商銀行は66.3%増益、中国平安保険は149.7%増益、シノペックは43.7%増益、アンガン・スチールは25.2%増益、安徽コンチセメント61.0%増益、華能国際電力は25.0%増益など。
それぞれの増益要因をみると、銀行は貸出増加、預貸スプレッド上昇、保険は加入者増、運用成績好調、素材は数量増、価格上昇、電力は規模拡大など。全産業で業績好調銘柄が目立つ。
株価は急騰を続けている。サブプライムローン問題から株価が大きく落ち込んだ8月17日と10月30日との価格(終値)を比較すると、H株指数は85.4%、レッドチップ指数は84.6%上昇している。
実績PER(10月30日、ブルームバーグ社データより)をみると、H株指数構成銘柄では32.1倍、レッドチップ指数構成銘柄では34.7倍。現在の水準は、過去と比べると極めて高い。ちなみに、TOPIXは19.5倍、NYダウは16.5倍。NASDAQの40.6倍に迫る高さである。
好業績を織り込んだとしても、過去の経験値から判断すれば、どうやら株価は高すぎるようである。しかし、なぜこれほどまで中国株が買われるのだろうか。
現在の香港市場は欧米の資金が大量に流入することで活気づいている。かれらは、@中国経済が高成長を続けていること、A人民元上昇期待が強いことに注目している。中国経済の将来性に強い期待を持つと同時に、中国の金融市場、為替市場はいずれ開放され、人民元は大きく上昇すると見込み、中国株を買っているのである。
2007年夏以降、サブプライムローン問題の影響で世界の証券市場は大きく調整したが、世界の金融当局が資金供給を行い、米国が利下げしたことで落ち着きを見せている。欧米投資家にとって、成長率の高い新興国、とりわけ中国は魅力的。従来であれば、先行きに不安があれば、米国に資金が集まってきたのであるが、最近はそうではなさそうである。
香港ばかりでなく、本土株式市場も活況である。本土株式市場を代表する指数である上海総合指数は昨年末から10月30日までに120.4%上昇している。株価急騰の要因は、企業業績が好調なこと、資本市場改革が進み投資環境が改善されたこと、これまで大幅な需給悪化を招くと見られていた非流通株の流通化改革が混乱することなく行われたことなど。しかし、最大の要因は過剰流動性である。
中国政府はゆっくりとしたペースで人民元を上昇させ、金融市場の自由化、国際化を進めたいと考えている。しかし、そのためにはいろいろな経路で流入してしまう外貨を海外に還流させる必要がある。
そこでQDII制度*が導入され、特定の本土機関投資家が香港上場株を売買し始めている。また、個人投資家に対する香港株売買解禁も間近に迫っている。今後本土の資金が安定的に大量に香港市場に流れ込もうとしている。
中国の勃興により、世界の資金の潮流が変わろうとしている。そうした大きな動きの中での株高である。それにしても株価は高すぎる。H株指数がもう少し調整してくれれば、将来の高い経済成長を期待して非常に買いやすくなるが…。