シリーズ第3回(全5回)
 「フィデリティの考える、よくある投信バナシのウソ・ホント」
第1回「元本割れが恐くて」
 元本割れは恐らくすると思います。でも・・・
第2回「リスクは嫌い」
 当たり前です。みんな嫌いです。でも・・・
第3回「株は恐い?」
 確かにホントに恐いです。でも・・・
第4回「長期投資すればリスクは減少?」
 実はしないんですよ。でも・・・
第5回 「現在は不透明で。」
 私達も全然分かりません。でも・・・
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第3回「株は恐い?
 確かにホントに恐いです。でも・・・
 1. 「怖い"」を具体的に考えてみる

2回にわたって、私達にとっての投資の意味、つまりリスクをとる意味についてお話ししてきました。ひとことでいうと「仕方ないから、あえて前向きにとるリスク」というものもあるのでは?というご提言だったと思います。

さて今回から話題は「株」になります。

損をしている、という一時的な「気分の悪さ」と引き換えにしてでもリスクを取って…、とはいっても、ずっと損し続けるようにしかみえない場所に、大切なお金は投じられないでしょう。では株、とくに私達日本の株式市場ってどうなのでしょう?
でも、今回から最終回まで、いわゆる経済見通しや相場観、ましてやチャートの話などは出てきません。いまが安いですよ、ともいいません。では、何をお話ししたいのか。

一点目、それは、『株は恐いですが、やはりすごいチカラも本質的にもっているのでは?』ということです。まず、その"恐い株"とは、「具体的にどれくらい恐くて、なぜ恐かったのか」から考えるとよさそうです。

日経平均月末値10年投資のリターン
200318,340-51%
28,363-51%
37,973-57%
47,831-63%
58,425-59%
69,083-54%
79,563-53%
810,344-51%
910,219-49%
1010,560-46%
1110,101-38%
1210,677-39%
 
これらの数字は、日経平均の月末値を使って計算した、「それぞれの月に終わる10年投資」のリターンです。
たとえば2003年1月の−51%は、10年前から、すなわち「1993年1月スタート・2003年1月エンド」の10年投資の結果が、マイナス51%だったことを意味しています。

ちなみに、4月のマイナス63%は、1970年1月以降のデータを使って調べてみたときの、「最悪の10年投資」の結果です。
1970年1月から、毎月月末に「10年間の期限付き投資」を始めるとすると、以下のように現在までに288回できることになりますが、その中での最悪の結果がこの−63%だったというわけです。

1回目…1970年1月〜1980年1月
2回目…1970年2月〜1980年2月


288回目…1993年12月〜2003年12月

−63%、つまり100万円が40万円になる10年だったということです。どうでしょう。やはり株は恐い。10年という長期投資をもってしても半分以下。

投信の話には必ずといっていいほど「長期投資で!」が出てきますが、このように10年もの長期投資でもダメだったのが、最近の日本の株式市場です。

ところで、ついつい私達業界の人間は、簡単に10年、下手すると平気で20年などと言いがちですが、投資するお客様からすれば10年はやはり長いはず。それなりの確信・覚悟がないと実現する投資期間ではないと思います。
そうしたときに、このような恐い状況を前に、「株はやはり恐い」、「株なんてやるもんじゃない」と多くの方が考えるのは、ある意味当たり前かもしれません。

しかし、やはり"恐い"には恐いなりの理由があるに違いありません。恐い恐いといっていてもラチがあかないので、もう少し調べてみたいところです。

2. 「間違ったスタートライン」?

長期投資であっても株はやはり恐いということを、「最近終わる10年の投資」のデータを用いて見てみました。全部半分になっていました。
ところで、それをもう少し前に溯って調べると、ひとつ面白いことに気付きました。

それは、ある一点が分岐点になって、結果がきれいに真っ二つに分かれること。10年投資の結果がプラスとマイナスとに分かれる、ということです。

日経平均
月末値
10年投資の
リターン
1996820,1677%
921,55621%
1020,46721%
1121,02015%
1219,3614%
1997118,330-8%
218,557-11%
318,003-17%
419,151-18%




↑これより前に終わる10年投資は
  すべてプラス

↓これより後に終わる10年投資は
  すべてマイナス
 

96年12月がその分岐点です。96年12月より後に終わる10年の投資は、すべてマイナスで、それより前に終わるものは、すべてプラス。

さて、96年12月に終わる投資ということは、投資を開始したのは86年12月です。つまり過去の「10年投資」の成否を分けた分岐点は、"スタートライン"でいえば86年12月ということになります。

 ・86年12月以降に開始した投資は、10年の長期をもってしてもマイナス。
 ・86年11月以前に開始した10年間の投資は、例外なくすべてプラス。

過去データを10年で作為的に切っただけの分析ではありますが、この単純な事実が興味深いと思いました。それは、この86年あたりが、いわゆる"バブル"の出発点ではないかと思うからです。

85年9月のプラザ合意後の円高は、86年1月に200円を突破して以降、急速に上昇テンポを速めました。そしてその阻止を狙った利下げは、86年1月末から87年2月まで5回、5%から一気に2.5%まで行われました。
その後、債権大国として世界経済の資金供給役を期待された日本の利上げタイミングが、89年5月と欧米より1年近く遅れたことが、バブル生成の背景であったと分析されることがあるようです。

86年年初に13,000円だった日経平均は、12月には18,000円になり、その2年後の88年12月には3万円の大台に乗せ、さらにその1年後の89年12月には、4万円に届きそうな38,915円でピークを付けたのはご存知の通りです。

では、この86年末以降の投資の"スタートライン"は、果たして長期投資を行なうにあたって妥当だったのかどうか?

株式投資の過去分析としては、あまりに単純化しすぎた議論だと思います。しかし「上がってこないと買えない私達日本人」、ほとんどはこれより後のスタートラインから投資を始め、失敗し、そして「もうやりたくない」と思っている。またそれを見聞きしてきた人も「株は恐い」と感じている。それが現在の私達なのかもしれません。

10年以上におよぶ株価の調整の中、私達のアタマの中に深く刻まれてきた「株は恐い」という考え方の背景には、実はただ単に、「スタートする位置が間違っていたのかもしれない」という、シンプルな側面もありうるのではないかと思うのです。

恐いには恐いなりの理由がある。しかしそれは、"スタートラインを大間違い"すれば、いくら長期投資しても報われないという当たり前のことなのかも知れない。

こんな風に考えてみることによって、では現在の私達のいるスタートライン、日経平均で1万円近辺ってどうなのだろう? 後から振り返ってみて"大間違いしたスタートライン"なのだろうか?という、「今月が底なのか、来月は上がるのか」といった難しくてなかなか当たらない相場見通しとは違った、しかし本当の投資に重要な「大局的な考え方」ができるようになると思うのです。

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第1回 「元本割れが恐くて。」 〜元本割れは恐らくすると思います。でも・・・
第2回 「リスクは嫌い。」 〜当たり前です。みんな嫌いです。でも・・・
第3回 「株は恐い?」 〜確かにホントに恐いです。でも・・・
第4回 「長期投資すればリスクは減少?」 〜実はしないんですよ。でも・・・
第5回 「現在は不透明で。」 私達も全然分かりません。でも・・・
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