シリーズ第5回(全5回)
 「フィデリティの考える、よくある投信バナシのウソ・ホント」
第1回「元本割れが恐くて」
 元本割れは恐らくすると思います。でも・・・
第2回「リスクは嫌い」
 当たり前です。みんな嫌いです。でも・・・
第3回「株は恐い?」
 確かにホントに恐いです。でも・・・
第4回「長期投資すればリスクは減少?」
 実はしないんですよ。でも・・・
第5回「現在は不透明で。」
 私達も全然分かりません。でも・・・
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投資信託は、価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。またお申し込み・保有・解約に当たっては所定の費用がかかります。なお、個別商品にかかるリスクや各種手数料について、必ず各商品の詳細ページまたは目論見書にてご確認ください。


第5回

「現在は不透明で。」

 私達も全然分かりません。でも・・・

前回は、株式の過去のデータなどを扱ったため、難しい内容に思われたかもしれません。しかしお伝えしたかったことは単純で、「"長期投資、長期投資" というけれど、別に魔法の杖ではない。単に投資対象がブレながらも右肩上がりだったから、長期にすることで"スタートライン"の多少の間違いを薄めてくれるといっているだけ」ということでした。

「いっているだけ」などというと、長期投資を否定しているように思われるでしょうか?すでにお分かりいただけていると思いますが、この裏には「もしあなたがその投資対象について、時間はかかってもまぁ右肩上がりだろうと思えるなら、そして今のスタートラインが "まぁそんなに大間違いではないだろう" と思えるなら、是非とも長期投資をすべきだ」というメッセージがあります。

短期の株価は勝手に動くが・・・

長期投資の本当の意味を理解していただいた上で、やはりフィデリティは長期投資をお勧めします。それは、現在は不透明で、しばらくは不透明かもしれないが(あるいは、株式市場なんてずっと不透明なものかもしれませんが)、『そもそも株というものは時間とともに上がるもの。とくに良い株は』と思っているからです。

ご存知のように、株価は様々な理由で刻々と動きます。その理由は、景気・金利・為替動向といったマクロ要因であったり、業績予想の修正といった個別企業業績のミクロ要因であったり、はたまたインターネットの掲示板に書き込まれた風評だったりと、時期・銘柄により様々です。しかしはっきりしているのは、少し長い時間軸でみると、結局株価は「企業価値」の動向にリンクして動くということです。

古い話になりますが、たとえば雅子様。2001年5月頃のご懐妊のニュース第一報前後から、コンビやピジョンなどベビー用品を扱う企業の株価はすぐに反応しました。その後も12月1日のご出産まで、実際の企業業績をよそにこれらの企業の株価は大きな上昇を見せました。しかし、日本中の女性が「雅子様が産むなら、私も産むわ!」と、日本にベビーブームが到来し、これら企業の利益が伸び、企業価値が高まっていかない限り、その上昇は続かないわけです。実際、ピジョンの業績は2002年1月期は赤字決算を行なうなど芳しくなく、株価も急上昇の反発もあってか長い低迷期を迎えます。
それから、これまた古い話ですが、社員である田中耕一さんがノーベル賞をとった(2002年12月10日)という理由で、すぐに株価が急上昇した島津製作所でも同じことがいえます。田中さんは間違いなく優秀な方なのですが、ノーベル賞の受賞が島津製作所の業績にすぐに結びつくとは限らない以上、目先の動きで「ひと儲け」を狙った人たちの動きが止まれば、やはり株価の上昇は続きません。
<ピジョンの株価と一株当たり利益の推移>
ピジョンの株価と一株当たり利益の推移
出所:Datastreamデータよりフィデリティ作成
期間:2000/12/31-2004/4/30

株価も一般のモノと同様、最終的にはすべて「需要(買い)と供給(売り)」の綱引きで動くものですから、雅子様と田中さんの例に見たように、何らかのニュースで短期的な需要が多くなれば、企業の実態は変わらなくても株価は上がってしまいます。しかし、ピジョンのグラフでも明らかなように、少し時間を長めにしてみてみると、株価は間違いなく企業価値の動向にリンクして動いています。端的にいえば、利益の動向によって決まっています。つまり、中長期の投資家による「需要」は、企業価値・利益という裏付けを元に存在しているということです。

言葉をかえれば、「日々の株価は勝手に動くが、中長期の株価は利益で動く」ということ。これは、株式を資産運用に真っ当に活かそうという私たちにとって、極めて重要なポイントです。

株価が企業価値で動くなら、やはり「時間」は必要

日々の株価が刻々と動くのに対し、この企業価値の動きは、基本的にゆったりとした動きと考えられます。そして、市場に生き残っている企業のそれ(企業価値)は、基本的に右肩上がりになるはずです。それは、企業というものがそもそも永続的に利益を追求して成長しつづけるものであるということと同時に、我々消費者に「欲」があるからだと考えられます。

実際、私達の「もっとよいサービス、商品が欲しい」という欲には際限がありません。私自身、やはり薄型・大画面のテレビが欲しいのです(今の「厚型」25インチでも何の支障もないのに)。

私達のこうした欲が無くならない限り、それをビジネスチャンスとらえ、あるいは潜在的な欲(ニーズ)を発掘し、また一時的に痛みを伴うリストラでさえも果断に行ない、利益を上げ続けようと行なわれるのが企業活動のはずです。
不透明・不景気とひとくくりにされる中にあっても、新しい商品やサービスはこれからも開発され、革新的な企業は企業価値を高めていくと思われます。そしてそれら企業の株価は日々の変動を乗り越え、時間とともに上がっていくはずです。

このことは、「日経平均がどうなる?」といった全体の議論をしていては見失ってしまうことかもしれません。実際、企業価値を高められず市場から淘汰される(倒産する)企業は今後も少なくないと思われますが、それらすべてを含んだものが平均株価です。

しかし努力を続け、市場に残っていく企業の企業価値が、角度の差こそあれ右肩上がりなら、投資する私達としては、その角度が大きい企業の株を探し出し、そして長期で保有することが大変重要になってきます。なぜなら、どんな優秀な企業であっても、数ヶ月や1年程度の活動で、企業価値を飛躍的に高めることは難しいはずだからです。
企業価値の増大、すなわち企業の成長にそれなりの時間が必要であるなら、株価にだってそれなりの時間を与える必要があるのは当然のことです。それが『株式投資は長期投資で』といわれる本当の理由だと考えます。

『よい企業を選んで長期投資をすることが重要。その長期投資は短期投資よりも大きなリターンを得るチャンスを増やす。そもそも株価の裏には、時間を必要とする企業活動があるのだから』。 これが前々回からお話ししてきた、長期投資に対する考え方の結論です。

ところで、今回何気なく使ってきたこの「企業価値」 には、いくつもの解釈がありえます。たとえばその企業のもっている土地・建物などはまさにその企業の価値のひとつですし、商品開発力や人材などは、無形の企業価値といえます。 しかし一般に、株式市場では企業価値は利益、あるいは利益の成長性で測られることが多いといえます。したがってフィデリティが行なう企業調査は、最終的にその企業の中期的な利益成長の予測という形をとることになります。

さて最後に

最後に、また少し変わったお話を。それは、『真面目なお金で投信を買ったら、後は"いかに忘れるか"が勝負』ということ。

巷には多くの情報が溢れています。しかしお客さまサイドとして、「自分のために真面目にお金を増やしたい」と思い、その手段として投信を考える場合、最新の情報や詳細な商品知識や商品比較よりも重要だと思うことが2つあります。

1)自分がなぜ嫌いなリスクを取っているのか?という "自覚"。
それにより、短期的なプラスやマイナスを無視すること(とくにプラスの場合が難しい)

たとえば2割くらい上がると利益を確定したくなる方は大変多いようです。とくにそれが数ヵ月で上がった場合など、いつ売ろうかとソワソワしてきます。
でもその何万円、何十万円かが欲しくて、リスクを受け入れる決心をしたのでしょうか? そうではなく、「そもそも自分達の将来を考えたら数万円、数十万円儲けるくらいでは追いつかない。だから大きく構えて増やすしかない。だからこそ嫌いなリスクをとったのではなかったか?ゴールはもっともっと先なんだ」…そういう考え方です。

もし「儲かったら嬉しいじゃないか。下がる前に利益を確定し、積み重ねていくのもひとつじゃないか」ということであれば、それは投信でやらない方が賢明です。(売った後、また上がる前に買い直せる才能があるという前提つきですが)、ミニ株やカバードワラントか、少なくともETF(インデックス型の上場投信)でやらないと値動きとコストの両面で理屈に合いません。

2)短期的には不透明だが、この投資対象はやはり上がるのだ。しかも「スタートライン」は大間違いしてないのだから大丈夫 という"信念"。
それにより、短期的なプラスやマイナスを無視すること(やはりプラスの場合が難しい)

前回まででお話しした長期投資に対する考え方です。信念などというとおおげさに聞こえますが、巷にあふれる相場情報の多くが短期のものである以上、まさにいかに自分で考え、信じられるかという部分です。

この2つは、口でいうほど簡単ではないはずです。"自覚"や"信念"を揺るがす様々な情報は勝手に飛び込んできますし、インターネットで自ら取りに行けば、いくらでも詳細な情報が手に入るからです。

「私の投信の時価はどうだろう」、「最近の運用は上手くいっているのだろうか?」、「こんなに儲かっている商品が他にあるのか!」、「しばらく円安らしい」、「日経平均は1万2000円がひとつの壁らしい」、「中国の成長鈍化は間違いないらしい」…。

これら様々な情報をある意味無視して、投資を成功させるためには、『無視することが十分にお得なこと』 なのだというサポート材料があるとよいかもしれません。
日経平均現在地
(a)
10,000円
日経平均水準(b)値上がり率
(b)÷(a)-1=(c)
12,000円20.0%
13,000円30.0%
15,000円50.0%
17,000円70.0%
20,000円100.0%
25,000円150.0%
その値上がりの達成が・・・
5年の場合の
年率変換5√(c)
10年の場合の
年率変換10√(c)
3.7%1.8%
5.4%2.7%
8.4%4.1%
11.2%5.4%
14.9%7.2%
20.1%9.6%
この表は、日経平均をいま10,000円として、仮に5年後・10年後にそれぞれの水準に上昇していれば、それはいまから毎年何%の運用に相当するか、という計算です。

たとえば、「どういう軌跡をたどるかは分からないが、10年後なら15,000円はありえるだろう」と思えるとしたら、それは投資元本100万円が10年間かけて150万円になるということです(手数料や日経平均への連動率などの要素がありますから、あくまでも目安として)。

さて、これはどういうことでしょうか? 100万円の元本で10年間で50万円増えるということですから、預貯金だったら毎年5万円ずつの利息が必要ということ(毎年5万円×10年=50万円)。つまり年利5%です。利息も再投資する複利で考えるなら、もう少し少ない利息でOKのはず。それが表の右にある数字の意味です。つまりこの場合4.1%。

もちろん、株の場合は毎年5万円ずつ一定には増えません。毎年の増え方は必ず違いますし、ある年はマイナスかもしれません。でも、もしそうした変動に対し、「どういう軌跡をたどるかは分からないが、10年後なら15,000円はありえるだろう。それに良い企業を選んで持っているのだから、平均株価よりもっと早くその効果は出るだろう」と思え、そして10年後にその水準が実現するなら、その人は"結果として"4.1%という、現金利情勢下ではまず誰も成しえない資産運用を行なうことになるのです。

途中は無視無視!だって私は誰よりも有利な運用を"株を利用して"やってるんだから!」と思えるかどうか。ご紹介した発想でも他の考え方でも良いのですが、こうしたある意味"達観"したスタンスを持つことができない限り、「長期投資」は教科書が言うほど簡単ではないはずです。

さきほど挙げた2点、「自覚」と「信念」をもとに、途中を無視することが十分に"お得なこと"という認識をサポート材料に雑音を無視する態度。すなわち、『しっかり考えた上で投資し、いかに忘れるか』。――これが投資の成否を決める最大のポイントではないかとさえ思うのです。

そして、そうした投資行動の手段としてこそ、忘れるに値する企業の選別と継続的なチェックを他人に任せ、本人はその"箱"をじっくり保有するという投資信託の仕組みが活きてきます。まさにこれこそが、第1回目にお話ししたキーワード、『投信の使いかた』 というものだと考えます。

5回にわたりお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

【計算に関する補足】 外部データを元にフィデリティが計算。なお、あくまでも情報提供を目的としており、特定の金融商品のパフォーマンスや実際の投資環境を反映するものではありません。
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シリーズ「フィデリティの考える、よくある投信バナシのウソ・ホント?」
第1回 「元本割れが恐くて。」 〜元本割れは恐らくすると思います。でも・・・
第2回 「リスクは嫌い。」 〜当たり前です。みんな嫌いです。でも・・・
第3回 「株は恐い?」 〜確かにホントに恐いです。でも・・・
第4回 「長期投資すればリスクは減少?」 〜実はしないんですよ。でも・・・
第5回 「現在は不透明で。」 私達も全然分かりません。でも・・・
○本資料は執筆者の考え方に基づくコラムであり、新生銀行の金融商品勧誘方針・相場観等を示すものではありません。ご投資される際は、ご自身の責任と判断で行ってください。
○本資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。また信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、正確性・完全性についてフィデリティ投信が責任を負うものではありません。上記情報は作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄または企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
 

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