World Report
戸松信博の「ベトナム現地レポート」
2008/2/21
第1回:「気になるベトナム人のふところ具合」

ベトナムのお正月は西暦の1月1日ではなく、旧暦のお正月であるテト(旧正月)になります。旧暦の元旦はだいたい1月下旬から2月上旬で、その年によって日付が変わります。2008年のテトの元旦は2月7日でした。

一方、ベトナム企業の会計年度は日本と異なり12月決算で、最大のボーナスは「テトボーナス」とも呼ばれ、たいてい年末までの年間業績を基にして、続くテト旧正月前に支給されることになっています。企業によっても異なりますが、現地企業ではテトボーナスの他にも祝日である4月30日(南部ベトナム開放記念日)や9月2日(建国記念日)などに一時金を支給するケースがあります。

ベトナムのサラリーマンにとって気になるところは、そのテトボーナスの上昇具合です。ここ数年のベトナム企業の業績は堅調そのものでしたから、ボーナスへの期待は膨らむばかりです。

ベトナム労働省の調べでは、2007年のテトボーナスは、平均すると一人当たり160万ドン(1万ドン=67.6円として、約10,810円。月給の約3分の2に相当)程度ですが、前年比では25〜30%程度の伸びを見せています。

ただし、詳細に見るとばらつきもあります。 まず地域差としては、一般に南部の方が北部よりも支給額が多くなっています。その要因としては、両地域の経済規模の違いが指摘されます。

また、企業の業種によっても支給額は大きく変わります。 外資系でも規模の小さい縫製所やフットウエア製作所などの場合、一人平均90万ドン(約6,081円)、更に小さな町工場などでは5万〜10万ドン(338円〜676円)というところもあります。もちろん、業績が悪いので、ボーナスは支給できない、という企業があるのも事実です。

一方、十分に利益を上げていることから、多額のボーナスが支給されるのでは、と噂される企業もあります。たとえば、経営陣も完全にはボーナスが多額であることを否定はしなかったサイゴン証券(SSI)のような大手証券会社や銀行、またIT関連や不動産業などが、ボーナス支給額で見た場合にも、やはり花形産業ということになるでしょうか。


企業名など公表はされていませんが、ホーチミン市のIT分野のある外資企業での最高支給額は、2億4,000万ドン(約162万円)であったといいますから、日本の企業も顔負けの金額です。

ただ、こうしたテトボーナスの大幅な上昇は、給与の上昇を抑えたいとする企業側の意向の表れという面もあります。
2007年度給与の伸び率を見ると、一般の国営企業が約11%、総公社など特殊な国営企業では約15%、民間企業約10%、外資系企業約12%程度(いずれも前年比)となっています。しかしそれでも日本のサラリーマンからすると羨ましい数字であることに変わりありませんよね。

2008年もGDP伸び率8%台の経済成長が期待されるベトナムでは、こうして所得も急激に上昇しています。インフレや所得税法の改正など、実質収入の増加に関してのマイナス要因が指摘されている面もありますが、市中を巡る資金量は確実に、そして急速に拡大しているのは間違いありません。

たとえば、先日発売されたホーチミン2区の高級マンションでは、1坪単価が約78万円であるのに(たとえば100平米で約2,350万円)、580戸の募集に対して7,000件の応募がありました。

手にしたボーナスのせいか、テト旧正月前の旺盛な消費ぶりを見ると、世界経済の先行き不安など、微塵も感じることができないベトナムですが、2008年はどのような年になるのでしょうか。

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