2008年4月にはやや上昇が鈍り始めたベトナム国内の物価ですが、世界市場での商品価格の高騰が鮮明となってくる中で、再び上昇することが現実味を帯びてきました。一時的なパニックとなったコメ価格の急騰などの影響もあって、4月には前月比2.2%と落ち着いてきたCPI(消費者物価指数)の伸びが、5月の数値では前月比4%以上になるのではないかということが懸念されています。証券市場はこうしたマクロ経済の不透明さを受けて続落しており、この一年での最安値を更新し続けています。
しかし、このような環境下でも、ベトナム国内では「本業である製造業・サービス業にしっかりと立ち戻り、生産を続けている企業が4月に入っても、好業績を続けている」ことなどが報じられています。そして、国内のみならず、世界に羽ばたくベトナム企業も現れてきています。


たとえば、ペトロ・ベトナム化学肥料社は、先日、海外(モロッコ)での大型投資案件に調印、投資額は6億米ドル(当初)となります。これまでのベトナムの海外投資の中では最も大きなプロジェクトとなることもあり、注目を集めています。
この案件のパートナーはOCP(Office CherifienPhotophates)社という資産総額36億米ドルにのぼるモロッコ最大の企業グループです。OCP社は二燐酸アンモニウム(DAP)肥料の原料生産で世界大手の企業です。
農業生産には欠かせない肥料の需要は、新興国の人口が増加していく今後も高まっていくことが期待されています。特にベトナムのDAP肥料は現在100%輸入に頼っている状況です。
両社はこのように将来的に有望な肥料市場を背景に、モロッコに共同でDAP肥料生産工場を設立する計画です。年間生産計画は66万〜100万トンが計画されています。
さらに、今回の合弁事業の輸出先はベトナム市場に限らず、他国への輸出も視野に入れています。また、両社はベトナム国内、あるいは第三国でのアンモニア生産工場の建設などにも興味を示しており、さらなる発展が期待されるところです。
もっとも、この合弁会社の稼動時期は2011年と見られており、即効性のある案件というわけではありません。それでも、この例のように、世界を視野に大手海外パートナーと大規模事業を計画するベトナムの上場企業も増えてきているのです。
これまでのベトナムでは、外貨の国外流出を恐れるあまり、ベトナムから海外への大型投資案件は認可されなかったという背景があります。

しかし、2007年1月にWTO(世界貿易機関)に加盟したことに加え、外国間接投資(FII)や直接投資(FDI)が増加したことで国内に外貨が溢れたことが、海外投資認可の追い風となり、このような大規模投資が認可されるようになってきています。
今後、これらのベトナム企業が、海外のパートナーと対等に案件を進める力を付け、しっかりとした計画を立案し、利益を上げることができれば、世界的なベトナム企業に対する信頼感や知名度の向上につながります。
ひいてはそれが、外国人投資家による、ベトナム株式市場への投資金額の増加にもつながっていくものと思われます。
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