はじめての資産運用
ケーススタディで考えるマネースキルアップ講座  
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第10回50代で子どもは自立のケース
 
 
豊田眞弓/ファイナンシャル・プランナー

マネーカウンセリングネットWealthメンバー。1995年より独立系FP。新聞・雑誌、サイトへの寄稿・監修、個人相談業務、セミナー講師などで活動しており、生活感あるアドバイスに定評がある。「今日からのお金持ちレシピ」(明日香出版社、共著)、「住宅ローン賢い人はこう借りる」(共著、PHP研究所)ほか著書も多数。
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皆さん、こんにちは。
今回は、「50代で子供は自立」の方のマネースキルアップを考えてみましょう。
今月の注目データ:老後資金に関する各種データ

 今回は、老後資金に関するデータを見てみましょう。
まずは高齢者世帯の収支についてですが、総務省「全国消費実態調査」によると、年金世代の無職の夫婦世帯で、支出が約24万円、貯蓄残高が約2,148万円。仕事を持っている世帯で、支出が約27万円、貯蓄が約2,436万円となっています。

 高齢者世帯でも単身者の割合が47%と増えているのですが(厚生労働省「国民生活基礎調査」)、単身高齢者の場合、夫婦の6〜7割の支出水準と貯蓄額になっています。

<高齢者世帯の収支(1999年、単位:千円)>
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資料:総務省「全国消費実態調査」。なお、同調査は5年毎に実施
※1勤労者世帯と勤労者以外の世帯を合わせた全世帯ベース(ただし、単身者世帯の就業者は勤労者世帯)。
※2夫婦世帯は、1999年9〜11月の平均生計費。
※3「単身者世帯」は、1999年10〜11月の平均生計費。なお、「単身者世帯」の就業有は勤労者世帯の収支から算出(「60〜69歳」と「70歳以上」の世帯数によって加重平均)。
 続いて、高齢者世帯の所得の内訳ですが、2000年のデータで総所得は319.5万円。このうち、65.7%が公的年金や恩給でまかなわれています。そのほかに、働いて得る収入(稼動所得)が20.5%、家賃・地代の所得が6.4%、仕送り・その他の所得が4.4%などとなっています。
<高齢者世帯の所得と構成割合(2000年)>
資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」
 次に、金融広報委員会のデータでも老後の家計収入を見てみましょう。これは3項目以内の複数回答なので、金額というよりは何が支えになっているかがわかります。2003年で見ると、(1)公的年金、(2)働いて得る収入、(3)貯蓄のとり崩し、(4)企業年金・個人年金・保険金、(5)不動産収入、などの順になっています。
<老後の家計収入(単位:%)>
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資料:金融広報中央委員会「家計の金融資産に関する世論調査」
※1世帯主が60歳以上の世帯を対象、3項目以内での複数回答
※2データの始期は1991年
 さて、老後の1カ月あたりの生活費はどれくらいあればいいと考えているのでしょうか。生命保険文化センター「生活保障に関する調査」を見てみましょう。

 これによると、最低限の生活費として考えられている平均額が、月23.5万円。ゆとりある生活費の平均が、月37.3万円。当然といえば当然ですが、下のデータを見ても、年収が高い人ほど最低限の生活費も、ゆとりある生活費も高くなる傾向があります。また、都市部に住んでいる人ほど、やはり高めになる傾向があるのがわかります。

<老後の1カ月あたり生活費(2001年、単位:万円)>
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資料:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」
※1調査対象 全国(400地点) 18〜69歳の男女個人6,000人(回答率70.0%)。複数回答
※2調査時期 2001年5月18日〜6月17日
※3大都市‥13大都市、中都市‥13大都市を除く人口10万人以上の都市、小都市‥人口10万人未満の都市、郡部‥大 中 小都市以外の地域
 最後にもう1つ、関連データを見ておきましょう。年齢別平均余命です。「平均寿命」はあくまでも0歳児の余命を言い、実は年齢ごとに、それぞれの余命があるわけです。老後資金を考える際には、この余命を参考に考えるといいでしょう。ちなみに、平均余命は伸びる傾向にあります。
<年齢別平均余命(2002年)(単位:年)>
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資料:厚生労働省「2002年簡易生命表」
「50代で子どもは自立」の方のお金管理
  老後資金準備のラストスパートの時期
 50代でお子さんの教育を終えたご夫婦が一様に口にするのが、「家計にゆとりができた」ということ。子供が大学に進学した場合、最も教育費がかかるのは、多くの場合は大学の時期です。その時期には、家計の収支が逆転していることも少なくはなく、貯蓄を取り崩し、支出を切り詰め、あるいは、妻がパートで働いたりしていることもあるでしょう。

 この時期が終ると、教育にかかっていた1人につき年間100万円程度以上の支出がなくなるのです。その分がゆとりとなるのですが、それまでやりくりをがんばってきた人は、その反動で家計が緩んでしまうこともあるようです。

 しかし、ゆとりが出た分をそっくり支出に回してしまうと、老後資金の準備は厳しくなります。生活を楽しむことも大事ですが、老後資金準備のラストスパートの時期と自覚して、貯蓄などをすることも忘れてはいけません。

 お子さんが複数いる場合は、1人自立するごとにゆとりが増していきます。そして、末子が社会人になったときが、本当の老後資金準備のスタート時期といえます。

 また、子供が自立せず、いつまでも巣立たないいわゆる「パラサイト」と言われる状況は、引き続き親に経済的負担が発生する場合もあります。子供のころから経済的自立を促す努力も大事です。

  ローンは定年までに返しましょう
 住宅ローンや教育ローンなど定年時にローンが残っている場合は、退職金などで返すことになり、貴重な老後資金を取り崩す結果になります。そのため、できるだけ定年を迎える前に、ローンを返す努力をしましょう。

ローンが残っている人は、繰り上げ返済をして"借金"を定年前に返すことが、老後資金対策の1つになります。

  目標額を立てて貯めましょう
 老後資金を準備するには、「いくら貯めるか」という目標額を設定することが大事です。これは次の式で計算するといいでしょう。
老後資金の貯蓄目標額老後の基本生活費+
  予備費+
  特別支出
(家のリフォーム、車買い換え、レジャー、子供の結婚資金他)+
  老後に残るローン額
  公的年金で準備できる額 −
  退職金・企業年金など
 *****円


 夫婦2人で「老後は1億円かかる」と聞いたことはないでしょうか。仮に2人の1カ月の生活費を30万円として、60歳で定年になって夫婦2人とも25年間生きた場合は、<30万円×12カ月×25年=9,000万円>となります。

 正確に計算するなら、前出の平均余命から子供が独立してからの夫婦2人の期間である「2人期間」が何年で、その後、一方が亡くなってからの「1人期間」が何年かを出して計算するといいでしょう。なお、1人期間の生活費については、2人期間の7割程度で試算するといいです。

 これに、医療や介護をはじめ、もしもに備える「予備費」分を足します。高齢者医療の自己負担も増える傾向にあるし、介護サービスもお金で買う時代。老後の「予備費」は、一人500万〜1,000万円程度を用意しておくと安心感は高まります。

 さらに、家のリフォームや建て替え、車の買い換え、レジャー関係、子供がいれば結婚資金や住宅資金の援助といった、老後にかかるであろう大きな支出である「特別支出」もプラスします。また、老後に住宅ローンや教育ローンなど"借金"が残る人は、これも加えます。

 以上の「かかるお金」から「公的年金や退職金などで賄える分」を差し引いた額が、「貯蓄目標額」となります。公的年金で受け取れる目安額は、厚生労働省のサイトで試算しましょう。そのほかにも、老後に受け取れる退職金や企業年金などがある場合は、わかる範囲で見積もってみましょう。

 たとえば、老後に必要な資金が夫婦で1億2,000万円だという人が、仮に公的年金が平均余命までに6,000万円程度もらえる計算で、さらに退職金が2,000万円見込めるなら、自分で準備するのは4,000万円ということになります。

 この数字が実現不可能な数字であるなら、(1)支出を引下げて試算する、(2)定年後も働くことを考える、といった対策をとることが必要になる場合もあるでしょう。実際にそうならないよう、貯め時を逃さずに準備したいものです。

 ところで、上例はあくまでも会社員。自営業や自由業などの場合は、公的年金がより少ないので(満額でも月6.6万円)、さらに貯蓄が必要になります。

  老後資金作りに向く金融商品
 老後資金は、年金財形や定期預金、個人向け国債といったローリスク商品だけでなく、投資信託や外貨建て保険、変額年金など、リターンも狙える商品も組み込んでいくといいでしょう。

 実際に使うまでの期間が長いこともあって、インフレリスクに備えるためにも、一部に株などで運用する商品や、そのリスクヘッジとしての為替商品などを加えて運用するといいでしょう。

  保険を見直して貯蓄に回す
 子供が自立した後は、生命保険の見直しをしましょう。見直しのポイントとしては、亡くなった時の死亡保障額を減額することができないか検討しましょう。また、もしも医療保障が一定年齢までの保険に入っている場合、可能であれば、これを終身型に変えましょう。

ただし、中には保険で相続税を準備することが必要な人もいるでしょう。その場合にも、専門家と相談して、保険を見直すといいでしょう。

ケーススタディ:
『世帯年収手取り820万円で貯蓄は1,000万円。子供たちも巣立ち、急に家計にゆとりがでました。そろそろ老後の準備をしなくてはと思いますが、どれくらい貯めればいいのでしょう』(52歳女性、Jさん)
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