はじめての資産運用
ケーススタディで考えるマネースキルアップ講座  
読者9人9様のライフプラン&資産づくりのケーススタディ
 
第10回50
代で子どもは自立のケース
 
 
豊田眞弓/ファイナンシャル・プランナー

マネーカウンセリングネットWealthメンバー。1995年より独立系FP。新聞・雑誌、サイトへの寄稿・監修、個人相談業務、セミナー講師などで活動しており、生活感あるアドバイスに定評がある。「今日からのお金持ちレシピ」(明日香出版社、共著)、「住宅ローン賢い人はこう借りる」(共著、PHP研究所)ほか著書も多数。
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ケーススタディ
ケーススタディ9:(52歳女性、Jさん)
「世帯年収手取り820万円で貯蓄は1,000万円。子供たちも巣立ち、急に家計にゆとりがでました。そろそろ老後の準備をしなくてはと思いますが、どれくらい貯めればいいのでしょう」
<Jさんのプロフィール>
Jさん(妻):52歳パート、夫:55歳会社員、長女:24歳(会社員)、長男:22歳(4月より会社員)
住まい持ち家(一戸建て)
年収世帯手取り約820万円(税込み約1,000万円)
年間貯蓄200万円
貯蓄1,000万円(普通預金400万円、定期預金500万円、外貨預金50万円、投資信託50万円)
貯蓄目的予備費150万円、車の買い換え用200万円、老後資金650万円
 
末子卒業で家計がラクに!
Jさん:下の子がこの春に大学を卒業し、社会人になります。最後の授業料を支払ったあとは、大きな支出もなくなり、ウソのように家計がラクになりました。

豊田:支出で言うなら、人生最大の山場を切りぬけたわけですから。お疲れ様でした。

Jさん:子供が2人とも大学生だった時は、私もパートで支えましたが、貯蓄がみるみる減っていき、とても苦しかったのを覚えています。夫だって小遣いを減らされて大変だったろうと思いますが(笑)。これからは自分たちのことにもっとお金を使えるようになるのがなんといってもうれしいです。夫の小遣いも元に戻せたし、私も絵画を習ったり、楽器を習ったりと、したいことがたくさんあるんです。

豊田:お子さんの教育でこれまでがんばったのですから当然ですね。


Jさん:年をとって動けなくなる前に、夫婦であちこち国内外に旅行にも行ってみたいと思っています。お友達とも旅行したいですし。

豊田:相当ストイックに暮らされていたのでしょうか?反動が見えますね(笑)。いろいろ検討されているときに水を差すようで恐縮ですが、子供の教育が終わったら、次は老後資金の準備が必要だということも忘れないでくださいね。

Jさん:確かに、親としてここまではしてあげるけれど、この先は自分で何とかしなさい、と突き放す部分があってもいいのかもしれませんね。

豊田:もちろん、突き放すにしても、子供は全額をアルバイトでまかなうのは厳しいでしょうから、ある程度のお金は出してあげることになるでしょう。たとえば、その分を子供に対して「貸し出す」という形をとってはどうでしょう。

Jさん:すっかり忘れてました!

豊田:子供の教育が終わって、ご主人が定年されるまでの期間は、老後資金の貯め時です。これを考えずに支出を膨らませてしまうと、理想の老後生活は送れなくなります。
老後はいくら必要?
Jさん:老後資金用として預金のほか、投資信託や外貨預金で650万円はあるのですが、やっぱりそれじゃ…足りませんよね。

豊田:どんな老後を送りたいかにもよりますが、おそらく足りません。まずは、定年までの貯蓄目標額をはっきりさせるために、前述の試算をやってみてください。

Jさん:そうですね。老後用に貯めないといけない金額がわかって、貯蓄プランを立てれば、自由に使えるお金もわかっていいですよね。私もパートをやめるかどうか迷っていたので、それもはっきりしますね。えーっと・・・(と電卓を叩き始める)。うーん、ウチは家のリフォームもあるので4,000万円近い貯蓄が必要です。
 
<Jさん宅の老後用貯蓄の目標額>
老後資金の貯蓄目標額老後の基本生活費
(28万円×12カ月×22年+23万円×12カ月×8年)=9,600万円
  予備費(医療・介護費用など)1,000万円
  特別支出
(家のリフォーム、車買い換え、レジャー、子供の結婚資金他)2,000万円
  老後に残るローン額 0円
  公的年金で準備できる額 6,130万円
  退職金・企業年金など 2,500万円
 3,970万円
 

豊田:現在650万円準備できているわけですから、あと3,320万円。ご主人が55歳なので、あと5年でこれを貯めようと思ったら、単純計算で664万円ですね。

Jさん:とてもムリです…。少しは楽しみにも使いたいので、せいぜい年350万円が限界ですね。これも、私がパートをやめない前提で、夫の小遣いも削る前提ですが。

豊田:それでも60歳時点で▲1,570万円ですね。どうしてもムリな時は、支出を見直すか、定年後も働くかですが。

Jさん:うーん、わかりました。子供たちの結婚資金の援助を300万円ずつ考えていたのですが、これを100万円ずつにして、あとは、定年後、65歳まで夫に年間240万円くらいのペースで働いてもらうことにします。

豊田:(電卓を叩く)そうすると、計算上は合いますね。ですが、ご主人に相談はしなくていいのです?

Jさん:うむは言わせません!(笑)
<Jさん宅の老後用貯蓄の目標額(見直し後)>
老後資金の貯蓄目標額老後の基本生活費
(28万円×12カ月×22年+23万円×12カ月×8年)=9,600万円
  予備費(医療・介護費用など)1,000万円
  特別支出
(家のリフォーム、車買い換え、レジャー、子供の結婚資金他)1,600万円
  老後に残るローン額 0円
  公的年金で準備できる額 6,130万円
  退職金・企業年金など 2,500万円
  夫が働く予定   1,200万円
 2,370円
≒650万円+350万円×5年
住宅ローンも完済しハイペースで貯蓄
豊田:年間350万円貯めるというのは、かなり大変ではないのでしょうか。

Jさん:いえ、私のパート代と夫の分から合計月15万円と、ボーナス分170万円を貯蓄に回せば何とかなります。ちょうどあと数カ月で住宅ローンが終わるので、その後はゆとりを持って貯められますし。子供が小中学生のころに繰り上げ返済を何回かやったので、定年前に返し終えることができるのです。

豊田:すばらしいですね。

Jさん:それにしても、今回、老後資金を考える機会がなかったら、漠然とお金があると思い込んで、こんなに真剣にお金を貯めようとはしなかったでしょうね。ゆとりができた分、いい車に買い換えたり、趣味や旅行にばんばんお金を使って、子供たちにも結婚資金や住宅資金の援助をもっとしようと考えていたかもしれません。そうなると、あまり豊かでない老後を迎えていたかもしれないです。

豊田:気付いて準備をすることができたのはいいことですね。ご主人が定年後働くご予定とのこともあるので、健康に注意して。でもせっかくですから、趣味も広げて人生を楽しんでくださいね。

Jさん:いいことを思いつきました! 趣味と健康をかねて、夫婦で月1,2回のハイキングを始めます。老後を楽しむのに、健康って確かに大事ですからね。さっそく夫と話してみます。
(そういってJさんは元気に帰っていきました)
 

10ヶ月にわたってお送りしてきました「ケースで考えるマネースキルアップ講座」ですが、今回をもって完了です。

連載中、たくさんの方からメールを頂戴しました。

ご質問であったり、こういったケースを取り上げてほしいというご要望だったり、「自分のことかと思いました」という感想であったり、あるいは、「勇気づけられました」という感想をお寄せくださったお父さん(失礼!)もいらっしゃいました。

このコーナーを通じて、多くの皆さんと交流することができて、とてもうれしかったです。

皆さん、これからもマネーセンスを磨く努力をしてくださいね!
またいつかサイトでお会いできるといいですね。
長い間、ありがとうございました。

 
 2005年1月
マネーカウンセリングネットWealth 豊田眞弓
ファイナンシャルプランナー / ファミリーリスクコンサルタント
 
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