
2008年3月作成
株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品を説明するページをご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。
北原氏の最新コメント「ドル安は終わったの?」(2008年4月作成)は、こちら
円高基調がつづき1995年以来約12年7ヵ月ぶりの円高水準となりました。今回の特集では、いったいどこまで円高が進むのかに注目しながら、これからの外貨投資について、専門家に解説をしていただきました。
UFPFフィナンシャル・サービス北原さん |
円高・米ドル安が進んでいます。3月13日には約12年7ヵ月ぶりとなる1米ドル=95円台を記録しました。
今回のドル安の背景として、サブプライムローン(低所得者向け高金利住宅ローン)問題で米国景気の先行き不安が台頭していることや、金利引き下げによって「低金利となった米ドルを売り、高金利の通貨を買う」動きが加速していることなどが考えられます。
そのため、現状は「米ドルが売られた」ことによる「米ドル安・円高」ともいえ、FRB(米連邦準備制度理事会」)が公表しているドル実効相場(メジャーインデックス)を見ても、3月6日には1990年以降最低となる70.465を記録(図1)。米ドルが他通貨に対し、相当に安くなっていることが伺えます。
一方、日本の中央銀行が発表している円の「実効為替レート」を見てみると、実はまだ随分と円安の水準にとどまっていることがわかります。2008年2月末の値は99.5ですが、過去に実効レートが100円程度であった頃の1米ドルは、220円を超えていましたので、米ドルに対しては円高が進んだものの、他通貨との比較では、まだ随分と円安の状態にあるといえます。そのため、まだしばらくは円を買い戻す動き(円高)が、続く可能性があります。

UFPFフィナンシャル・サービス北原さん |
では、米ドルを売った世界の資金はどこに向かっているのでしょうか。まず、原油、金などの価格が大きく上昇してるように商品市場へ流入しています。先日も米国最大の公的年金基金であるカルパースが、商品市場への投資額を2010 年までに最大で現在の16倍となる72億ドル(円換算額約7,200億円)に増やす計画と報じられたように、公的年金なども商品市場に資産をより多く振り向けはじめています。また著名投資家のジム・ロジャース氏も昨年来、穀物市況に強気の発言を繰り返しているように、当面商品市況は堅調に推移すると予想されます。
また、通貨では金利の高い国の通貨に向かっている様子が伺えます。たとえば、ブラジルの通貨「レアル」は、2月26日には1米ドル=1.684レアルと1999年5月以来の高値を記録しました。ブラジルの基本金利は年11.25%と高いことに加えて、資源価格の高騰を受けて鉄鉱石など一次産品の価格上昇メリットが享受できるため資源国通貨としても注目され、海外からの資金流入が続いています。このほかにも、政策金利が8.25%と先進国では最高水準にあるニュージーランドや、2005年から利上げ基調のノルウェークローネなども、高金利・資源国通貨として、世界の資金を引き寄せる条件を備えているといえるでしょう。もっとも、原油価格との相関(連動して上昇する)が強く資源国通貨の一角を担うカナダドルが弱含みとなっているように、米国経済が落ち着くまでは、米国と結びつきが強い地域の通貨は注意が必要です。

マーケットバンク 黒岩さん |
これまで強力な支持線として意識されてきた、1米ドル=101円を割り込んでおり(円高に向かった)、円高・米ドル安の流れが加速すると思われます。
米ドル・円相場を長期の視点でみれば「大きな下降三角形型のフォーメーション(上値を切り下げる形状)」を形成しており、1995年4月につけた円の最高値1米ドル=79.75円を起点とする下値切り上げ型の支持線もすでに割り込んでいるため、下値圧力は強く、円高に向かいやすくなっています。
さらに円高が進展する場合、下値目処は、79.75円とのダブルボトムが意識されます。もしその手前で、下げ止まりのポイントを探すなら、最高値の79.75円からその後最も円安となった1998年8月の147.63円までの戻り幅(147.63円-79.75円=68.08円)に対する76.4%押し(フィボナッチ係数)から、95.62円が導き出されます。また、サイクル的には、同じく円が対米ドルで最高値をつけた95年4月からは5年周期が発生しているため、円高の流れは2010年前後まで続くと考えられます。そのため、今後2年間程度は95円付近で横ばい、下値固めの動きが続くことが予想されます。

UFPFフィナンシャル・サービス北原さん |
オーストラリアは、3月4日に2ヵ月連続となる利上げを実施し、政策金利を7.25%に引き上げました。市場では当面の利上げはこれで打ち止めになるとみられていますが、引き続き個人消費を抑えながらバランスの取れた経済状態を目指すものと思われ、世界経済が崩れ輸出が大きく落ち込むようなことにない限りは、現状の金利水準を維持したスタンスを継続すると予想されます。ニュージーランドでは、住宅価格の下落がやや懸念されていますが、米国のような住宅バブルとはなっていないため、大きなリスク要因となっていません。乳製品価格の上昇などもあり国内景気は依然として強く、同国もオーストラリアと同様に現在の金利政策に変更はないと思われます。為替相場では、これら政策のために対米ドルでは比較的強含みのなっており、今後も米ドル/豪ドル相場は堅調な推移が見込まれます。また、対円相場については1米ドル100円割れならば一時的に豪ドル、NZドル安がさらに進むと予想されますが、両国通貨は本質的には売られておらず、徐々に安定に向かいながら、豪ドルは88円から90円程度、NZドルは75円前後で推移すると予想しています。

| どうやら米ドル/円相場は、まだしばらく、円高気味の水準で横ばいとなりそうですが、 このように円高がまだ進みそうだからといって、必ずしも外貨投資の魅力がなくなったというわけではありません。通貨を分散して投資したり、時間をかけることで高い金利通貨の獲得を狙うなど、うまく外貨投資のメリットを活かして、商品や通貨を組み合わせた運用を考えてみてはいかがでしょうか。 UFPFフィナンシャル・サービス北原さん |
※本稿は、UFPFフィナンシャル・サービス株式会社 北原氏および株式会社マーケットバンクの黒岩氏のマーケットに対する考え方を紹介するもので、新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。ご投資される際は、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
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