マーケット情報(為替)

特集 どうする円高

2008年4月作成

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品を説明するページをご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

▼ 3月作成の特集レポート「どうなる円高」は、こちらからご覧いただけます

一時1米ドル=95円台まで円高が進んだ米ドル/円相場ですが、その後は米ドルが値を戻して100円台まで反発してきています(4月8日現在)。 はたして、このまま米ドル高へと回復していくのでしょうか。
3月にお届けした特集レポート「どうなる円高」のフォローを兼ねて、今後の見通しを解説します。 (2008年4月8日作成)

サマリー

1. 米ドル反発の背景
金融緩和政策が好感されて、米ドル売りが一服。ただ、金融緩和はドル安に働きやすい。
2. 米ドルの回復は続くのか
一段の米ドル安は想定しないが、反発力も弱く1米ドル=101円付近での推移が続きそう。
3. 米ドル/円相場の見通し
米ドル復活の条件は、金融不安解消への道筋が少しでも見えてくること。

1. 米ドル反発の背景

直近の米国政策金利(FFレート)推移
※ Bloombergのデータに基づき新生銀行が作成

3月中旬、米国の大手証券会社が経営危機に陥ったことをきっかけに、金融不安が強まり、米ドル安が加速したのは記憶に新しいところです。 このときに米国の中央銀行であるFRB(日本では日銀に相当)は、政策金利(FFレート)を大幅に引き下げ、金融機関などが資金繰りに困らないよう市場に大量の資金を供給しました。 また信用不安の高まった金融機関にも積極的な対策を講じるなど、こうした積極的な政策対応が打ち出されたお陰で、市場はひとまず落ち着きを取り戻し、米ドルの反発上昇につながったと考えられます。

2.米ドルを売った資金の行方

主な高金利通貨の対米ドル相場の推移
※ 右記グラフはともにBloombergのデータに基づき新生銀行が作成。
   2005年8月1日〜2008年4月4日、日足(終値)。

米国中央銀行による、金利引下げなどの金融緩和政策が功を奏して、このまま米ドルは回復(米ドル高)に向かうのでしょうか。 私は、“そうは問屋が卸さない”と思っています。
今でこそ米国の金融政策に対する信頼感から金融緩和策は米ドルの反発をもたらしていますが、このような金利の引き下げは大きな米ドル安要因につながるからです。
というのも、一般的におカネというのは金利の低い国から金利の高い国に向かいやすいものだからです。 そのため、米国はこれまでに何度も金利の引き下げを繰り返していますので、世界のおカネの多くは金利の下がった米ドルを売って金利の高い通貨に向かっています。 右の為替チャートをご覧いただくとわかるように、前回3月のコメントでもご紹介した、ブラジルの通貨であるレアルやノルウェーのクローネなどの金利の高い国の通貨は対米ドルで上昇が続いています。

また、米ドル/円相場についても、米国の金利引き下げによって日本と米国の金利差が縮小。これは円高・ドル安要因となります。 過去の金利差と米ドル/円の推移をみても、やや時間の相違はありますが、米国金利の低下が米ドルの下落につながっていることが確認できます。 しかも、米国はこれからも必要に応じて利下げする意思を示している一方で、日本の金利はみなさまご存知のように、すでに低金利で引き下げ余地はほとんどありません。 そのため米国が金利の引き上げに転じるまでは、円安・ドル高を期待しにくい状況が続くのではないでしょうか。

日米政策金利の差と米ドル/円相場の推移
※ 日本銀行Webサイト、Bloombergのデータに基づき新生銀行が作成。1986年1月〜2008年3月、月足(終値)。
※ 日本の政策金利は、1995年2月までは公定歩合、以降は無担保コールレート(オーバーナイト物)の月中平均値。
     尚、公定歩合は2006年8月11日より「基準割引率および基準貸付利率」に名称変更された。

3. 米ドル/円相場の見通し

米国の景気悪化が予想されていることや、金利がまだ下がるのでは、との見通しを理由に米ドルの本格的な上昇は期待しづらく、他通貨に対しても米ドル安が続くものと思われます。 さらに金融不安が再燃すれば、再び突発的な円高に見舞われるかもしれません。
もちろん、米国の金融政策に対する信頼は強く、前回紹介した米ドルの実効相場は(メジャーインデックス)今でも3月の水準とほぼ変わらない、1990年以降最低の水準にありますので、米ドルが大きく下落を続ける可能性も低いと思われます。 そのため、今後の米ドル/円相場は、米国の経済指標の発表などをきっかけとする、1米ドル=105円程度までの短期的な米ドルの反発を繰り返しながらも上値は重く、1999年11月以来チャート上で反転ポイントとなっている1米ドル=101円を挟んだ推移が続くのではないでしょうか。

今後、米ドルが本格的な反発に転じるためにはいくつか条件があると思います。 米国の景況悪化が予想よりも軽微にとどまること、サブプライムローン問題に絡む金融不安払拭の兆しが見えること、この2点についてがとても重要な要素であると考えます。

ドル実行相場(メジャーインデックス)
※ FRBのWebサイトのデータに基づき新生銀行が作成。2005年1月1日〜2008年4月8日、日足。

4. これからの外貨投資

米ドルの反発はもうしばらく、金融政策や米国経済の底力に期待することになりそうですが、だからといって外貨投資の魅力がなくなったというわけではありません。 再び大きな円高局面が訪れるかもしれませんが、3月の「どうなる円高」でご提案したとおり、通貨を分散して投資する方法や時間をかけることで米ドルの回復を狙ってみたり高い金利の通貨に投資するなど、外貨投資のメリットを活かして、商品や通貨を組み合わせた運用を考えてみてはいかがでしょうか。

※本稿は、UFPFフィナンシャル・サービス株式会社北原氏のマーケットに対する考え方を紹介するもので、新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。 本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。 ご投資される際は、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。

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