気候変動課題への取り組み

新生銀行は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言への賛同を表明しております。新生銀行グループの気候変動課題への取り組みについて、TCFDのフレームワークに沿ってご説明します。

ガバナンス

新生銀行グループは、事業を通じて持続可能な社会の構築に貢献することにより社会的責任を果たすとともに、持続可能な成長機会を獲得していくことに取り組んでいます。持続可能な社会の実現のためには、気候変動課題への対応は不可欠であり、「気候変動などの環境課題への対応」をサステナビリティ重点課題と定めています。気候変動課題への対応に資する事業への投融資など、さまざまな取り組みを通じて社会的な価値創出と、新生銀行グループの中長期的な企業価値向上に努めていきます。

グループサステナビリティ経営ポリシーにて、気候変動課題への対応を含む地球環境に対する取組方針を定めています。

グループサステナビリティ委員会では気候変動課題への対応を含むサステナビリティ重要事項を協議し、グループ経営会議に付議、報告しています。取締役会は定期的に報告を受け、グループレベルの気候変動への取り組みを俯瞰し、監督しています。

戦略

機会

環境・社会課題の改善に貢献するビジネスの推進
新生銀行グループは、持続可能な社会を実現するためには、気候変動をはじめとする地球環境問題への対応が極めて重要な課題であると認識しています。グループのサステナビリティ経営においてもビジネスリスクであると同時に、大きなビジネス機会であると捉えています。これまで、再生可能エネルギー事業に対するプロジェクトファイナンス、環境不動産や船舶ファイナンスにおける環境負荷低減設備などへの投融資を通じて、環境・社会課題の改善・解決に資するプロジェクトや事業者への投融資に積極的に取り組んできました。また、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を通じて、気候変動への対応策として短期的・中期的には脱炭素化に向けた移行(トランジション)支援への資金供給のニーズ拡大があり、これをビジネス機会と捉えています。
2019年度に法人ビジネスユニット内に設立した「サステナブルインパクト推進部」は、各ビジネス関連部署が連携しながら、サステナブルファイナンスの企画・推進や機関投資家向け運用商品の開発・供給を行っています。また、グループ全体のサステナビリティ経営の包括的推進体制高度化に取り組んでおり、今後は、より一層グループ横断的な連携を図りながら、ビジネス機会を捕捉していきます。

新生グリーンファイナンス・フレームワーク
脱炭素社会への移行に向けた国内外の動きが加速する中で、気候変動の緩和や適応に貢献するプロジェクトなどへの投融資をさらに拡大し、積極的にビジネス機会を捕捉していくことを目的として、2020年5月にグリーンローン原則など、国内外の関連原則と整合した「新生グリーンファイナンス・フレームワーク」を策定しています。サステナブルインパクト推進部の内室であるサステナブルインパクト評価室が、融資の対象となるプロジェクトのポジティブおよびネガティブなインパクトなどを確認し、フレームワークへの適合性を評価しています。こうした投融資の組成や実行に際しては、地域金融機関のお客さまとも協働することで、より大きな資金循環を創出することを目指しています。

2021年度の取り組み
新生銀行では、2012年以来、太陽光・風力・バイオマスなど再生可能エネルギー事業に対するシンジケートローンの組成を積極的に推進し、地域金融機関の皆さまと共に再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んでいます。2021年度も、太陽光発電や風力発電事業向けプロジェクトファイナンスやインフラ投資法人向けファイナンスなどを中心に積極的に取り組み、2022年3月までに計9件(総額約594億円)の融資案件を、このフレームワークに適合する新生グリーンローンとして組成・実行しました。今後も「新生グリーンローン」のシンジケーションや、プロジェクトボンドの活用によりディストリビューション手法の多様化を図り、より大きな資金循環の創出を目指しています。
新生グリーンローン案件の事例として、2021年6月には熊本県の南阿蘇湯の谷地熱発電所に対する新生グリーンローンの契約を締結しました。
本件は、プロジェクトファイナンスの豊富な経験により培ったノウハウを活かし、当行として初めて国内地熱発電事業に対するプロジェクトファイナンス組成に至ったものであり、さらにグリーン性評価を実施しました。これらの取り組みにより、ライフサイクルCO2排出量が低水準のため環境負荷が少なく、日本国内の豊富な地熱資源の活用につながる地熱発電の普及に貢献しています。また、2022年2月には「新生サステナビリティ・リンク・ローン・フレームワーク」を策定し、平和不動産株式会社に対するサステナビリティ・リンク・ローンを実行しました。同社がサステナビリティ・パフォーマンス目標(SPT)としてグループ全体の温室効果ガス(GHG)排出量の野心的な削減目標を設定したのに対し、当行はその達成状況と金利等の貸付条件を連動させることで SPT達成への動機付けを支援しています。今後も、「新生グリーンローン」や「新生サステナビリティ・リンク・ローン」などのサステナブルファイナンス関連商品の提供を通じて、法人顧客のサステナビリティ経営促進、企業価値の向上、環境面・社会面で持続可能な経済活動の実現への貢献を目指します。

さらに、GHG排出量の多い企業における脱炭素化に向けた段階的な移行であるトランジションを積極的に支援していくため、部署間横断のトランジション・タスクフォース・チームを組成し、法人顧客との対話を始めており、新規事業創出ニーズを捉えてトランジションファイナンスを推進していきます。
船舶ファイナンスにおきましては、スクラバー設置へのファイナンス、LNG燃料も可能な二元燃料(デュアルフューエル)エンジンを導入した船舶へのファイナンスを行うとともに、今後次世代の環境対応船舶への取り組みを積極的に検討し、脱炭素に向けたトランジションを後押ししてまいります。また、2022年1月には、トランジション分野での知見向上も目的に、「ネットゼロ」へのトランジションに特化した海外のインパクトファンドに対する出資も実施しました。

リスク

認識するリスク
気候変動は、主として以下2つの経路から当行グループのポートフォリオに影響を及ぼすと考えます。

物理的リスク:
洪水、暴風雨などの気象事象によってもたらされる財物損壊などの直接的インパクト、グローバルサプライチェーンの中断や資源枯渇などの間接的インパクト
移行リスク:
脱炭素経済への移行に伴い、GHG排出量が大きい金融資産の再評価によりもたらされるリスク

炭素関連資産エクスポージャー
炭素関連資産エクスポージャー(全体エクスポージャーに占める炭素関連資産(エネルギーとユーティリティ(除く太陽光や風力発電などプロジェクトファイナンス)))の比率は、2020年3月は4.2%、2021年3月は3.7%、2022年3月は4.4%です。

業種別の気候変動関連リスクの整理
気候変動の影響を受けると思われる業種について、その気候変動関連リスクを定性的に評価しました。新生銀行グループでは、定性評価の結果およびエクスポージャーの大きさに基づき、業種およびアセットタイプごとに優先順位を付けたうえで、定量的な分析などによるリスクの深掘りを実施しています。

シナリオ分析
気候変動への対応を経営上の重要課題のひとつと位置づけ、日頃よりモニタリングしている景気変動と2次元でシナリオの世界観、機会とリスクを整理しました。また、世の中が2℃以下のシナリオに向かっていることを受けて、新生銀行グループの対応状況をまとめました。
気候変動関連のリスクについて当行グループに重要な影響を与える投融資先セクターを特定するに当たっては、前述のリスクヒートマップの通り、セクターごとにリスク評価を実施し、当行グループのポートフォリオ構成から、重要度の検討を行っています。物理的リスクの高い業種は「不動産(含む個人向け)」、移行リスクの高い業種は、「電力ユーティリティ」「海運」「石油・ガス」に着目しています。これらの業種につきそれぞれ物理的リスクの定量化、移行リスクの定量化の結果を開示していく方針です。
物理的リスクについては、前回定量化を検討した、国内不動産ノンリコースローン、住宅ローン、国内プロジェクトファイナンスに加えて、今回新たに新生フィナンシャルの個人向け無担保ローンの定量化を検討しました。物理的リスクの影響額を試算したところ、2050年にかけての与信関連費用は累積で55億円から90億円程度と予測しています。現時点で早急に対応策を打つ必要はないと思われる水準であるものの、継続してモニタリングし、定量化範囲の拡大を検討していきます。
移行リスクについては、今回、電力ユーティリティ、石油・ガスセクターの影響額を試算したところ、2050年にかけての与信関連費用は累積で30億円から230億円程度と予測しています。脱炭素社会への移行に向け、取引先とのエンゲージメント強化やリスク管理体制の強化につなげていきます。今後も定量化範囲の拡大を検討しつつ、脱炭素社会への移行に向けた課題の改善・解決に資するプロジェクトや事業者への投融資に積極的に取り組んでいきます。

物理的リスク 移行リスク
シナリオ IPCC第5次評価報告書RCP2.6(2℃シナリオ)/ 同8.5(4℃シナリオ) IEA World Energy Outlook 2020 SDS(2℃シナリオ)/ STEPS
対象期間 2050年 2050年
リスク事象 洪水発生による担保価値の毀損、デフォルトの発生 脱炭素社会への移行による投融資先の事業・財務悪化、デフォルトの発生
対象ビジネス 国内不動産ノンリコースローン、国内プロジェクトファイナンス、住宅ローン、新生フィナンシャルの個人向け無担保ローン 電力ユーティリティ、石油・ガス
財務影響 累計で55億円から90億円程度の与信関連費用 累計で30億円から230億円程度の与信関連費用

リスク管理

責任ある投融資に向けた取組方針

新生銀行グループでは、2021年7月に責任ある投融資を推進する体制の高度化を目的として、責任ある投融資に向けた取組方針を制定しました。環境問題および社会課題に適切な配慮をしない企業と取引することを経営リスクととらえており、一部の特定事業に対する投融資については環境および社会に対する重大なリスクがあるという認識のもと、取引を禁止もしくは制限しています。
気候変動対応の観点では、予防的アプローチに基づき、新設の石炭火力発電の建設を使途とする新規の投融資を行わないこととし、これにより石炭火力発電所向け投融資額の圧縮を進めていきます。

赤道原則(Equator Principles)の採択

新生銀行は、2020年4月に赤道原則を採択しました。大規模な開発を伴うプロジェクトへの融資に際しては、赤道原則に基づきプロジェクトの環境・社会への影響をレビューし総合的な意思決定することで、企業としての社会的責任を果たすとともに環境・社会リスク管理の高度化を図っています。

2021年度実績:
赤道原則を適用しフィナンシャルクローズした案件数:9件

赤道原則リスクカテゴリー付与結果:
A:0件、B:9件、C:0件

ポセイドン原則の採択

新生銀行は、海運業界の気候変動リスクに対する金融機関の取り組みとして設立されたポセイドン原則に、2021年3月にアジアで4番目の金融機関として署名しました。
GHG排出量の削減は海運業界にとっても避けて通れないグローバルな課題であり、本原則を意識して対応することが、船舶ファイナンスにおける気候変動リスク管理において今後ますます重要になってくると考えています。
新生銀行は、船舶ファイナンスに積極的に取り組む金融機関として、ポセイドン原則に則りお客さまおよび海運業界全体のトランジション(移行)を金融面から支援するとともに、事業に伴う気候変動リスクを管理していきます。

指標と目標

事業を通じた気候変動課題への対応目標

再生可能エネルギーへの投融資は新生銀行グループが従来強みとしてきた分野であり、環境・社会の課題解決に取り組まれるお客さまに資金提供することが金融機関の重要な役割であるとの考えから、本目標を設定しています。
また、脱炭素社会への取り組みが社会全体における緊急かつ重要な課題であることから、トランジション・タスクフォースという専門チームを設置し、お客さまとの対話やお客さまの脱炭素支援を進めていきます。

  • サステナブルファイナンス組成金額を2030年度末までに累計5兆円
  • 温室効果ガス高排出セクター企業のトランジション推進の支援

脱炭素化社会への貢献目標

2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることは、世界共通の目標となっています。新生銀行グループ自らが排出する温室効果ガス排出量削減に取り組むとともに、金融機関として投融資先の温室効果ガス排出量の削減にも取り組みます。

  • 新生銀行グループのエネルギー使用に伴う温室効果ガス排出量を2030年度末までにネットゼロ
  • 新生銀行グループの投融資先ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量を、2050年度末までにネットゼロ
  • 石炭火力発電向けプロジェクトファイナンス融資残高を2040年度末までにゼロ

新生銀行グループのGHG排出量

Scope1・2の中で最も寄与の大きい電力を中心に、新生銀行およびグループ会社のGHG排出量を計測しました。Scope1・2計測・開示範囲をさらに拡充していきます。今後の削減に向けて、省エネの推進や再生可能エネルギー由来の電力への契約切り替えなどを検討する予定です。環境負荷軽減のため、引き続きGHG排出量の削減に取り組みます。

投融資ポートフォリオGHG排出量

今般、新生銀行グループは、投融資ポートフォリオからのGHG排出量 (※1) を2050年度末までにネットゼロとする目標を設定しました。併せて、当該GHG排出量実績をPCAF (※2) の公開する国際的な基準に準拠して算定しております。また、2021年度には新生銀行の事業法人および住宅ローン (※3) の一部を対象として、投融資ポートフォリオGHG排出量を計測しました。今後は段階的な対象アセットの拡大および算定精度の向上に取り組む予定です。

  • ※1当該GHG排出量は、各投融資先のGHG排出量のうち、新生銀行グループの寄与分を算出しています。
  • ※2PCAF:Partnership for Carbon Accounting Financials
  • ※3上記のPCAF基準における6アセットタイプのうち、事業法人は「上場株式および社債」ならびに「事業融資および非上場株式」、 住宅ローンは「居住用不動産」の算定方法に基づき、投融資ポートフォリオGHG排出量を計測しました。
  • ※4当該GHG排出量は、PCAFの公開する国際的な基準に準拠し算定しております。詳しくはPCAF "The Global GHG Accounting & Reporting Standard for the Financial Industry"を参照ください。
  • ※5データ質スコア:ここでは投融資先GHG排出量の計測・推定アプローチ別に計測・推定精度を5段階でスコア化しており、値が小さいほど精度が高いことを表します。

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