保険の有効活用術

保険の必要性~自分で何に備えれば良いか?~ 保険の必要性~自分で何に備えれば良いか?~

高橋成壽

profile

高橋成壽(たかはしなるひさ)

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。

FP王子の愛称で親しまれている新進気鋭のファイナンシャルプランナー。職種、業種、収入、性別を問わず相談を受けており、クライアント年齢も20代から90代まで老若男女から頼りにされる存在。100年安心して暮らせるプラン作りをモットーに、相談、執筆、講演を行っている。
1978年生まれ、神奈川県藤沢市出身。慶應義塾大学総合政策学部卒。NPO法人日本FP協会認定CFP®
近著・監修「もしもデューク東郷が終活ノートを作ったら(実業之日本社)」、「ダンナの遺産を子どもに相続させないで(廣済堂出版)」

本当に保険に入っておく必要があるのか?

「人生100年時代」という言葉が徐々に広まってきています。皆さまは、そういわれても「自分はそこまで長生きはしないよ・・・」と思っていませんか?
逆に「2人に1人が、がんにかかる」とか、「将来の糖尿病に備えましょう」といわれたら「自分は大丈夫!」と考えてしまいませんか?それとも不安に駆られますか?
一般的に人は物事を「そんなには・・・」や「自分は大丈夫」と矮小化しがちです。特に「だから保険に入りましょう!」「資産形成をしましょう!」との言葉が続けば、なおのことでしょう。「必要ないよ」と、まずは考える方が多いのではないでしょうか。

たとえば「保険」というのは、いざ自分に必要性が降りかかってきたときに初めて価値が生まれるようなものです。そのためなかなか通常時には「確かに備えておいた方がいいだろうけど」と、真剣に考えにくいものです。また、世の中にはたくさんの種類の保険があり、どれがいいのか?無駄にはならないか?などの見極めも相当に難易度が高くなっています。

「健康寿命」

人生100年時代と言われはじめました。しかも、ベストセラーとなったリンダグラットンの著書「LIFE SHIFT」には「日本以外の国でも人生100年時代に備えて生き方、働き方、学び方を変化させるべきだ」とまであり、話題となりました。

長生き、長寿化を示す数字では「平均寿命」が有名ですが、あと何年生きられるかという点では年齢別の「平均余命」を考えた方が良いかもしれません。厚生労働省による2017年の簡易生命表によると、たとえば50歳の場合、男性32.61年、女性38.29年。60歳の場合、男性23.72年、女性28.97年。70歳の場合、男性15.73年、女性20.03年とされており、いずれも最新の平均寿命である男性81歳、女性87歳よりも長く生きることになります。

そしてもうひとつ、大切な年齢データがあります。それが「健康寿命」です。2016年の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳です(2018年3月 厚生労働省発表数値)。健康寿命とは介護など受けずに自立した生活を送ることのできる年齢を指します。つまり、たとえば男性の「平均寿命」は81歳。しかしながら健康でいられるのは72歳までです。女性なら87歳まで生きる一方で健康寿命は約75歳までと、平均寿命から健康寿命を引いた年数は10年程度に及び、その間、医療や介護のサービスを受けることを想定する必要があるといえるのです。

今後も増加が続く日本の医療費。将来の自己負担率が上昇する可能性も

日本では少子化、高齢化が進んでいます。つまり、医療や介護のサービスを利用する人口は増える一方で、それを支える世代が細る大きな構造的な問題を抱えています。
実際に、医療費の総額は年々増加。高齢者の利用比率が高くなっており、今では65歳以上が医療費全体の約6割、25兆円を使っているのです。このような状況に対応すべく、健康保険の自己負担率は徐々に引き上げられ、昭和48年から1割負担になり、さらに平成9年からは2割負担、そして平成15年からは3割負担となりました。また、健康保険の仕組みの中では経済的に相当にありがたい制度といえる「高額療養費制度」がありますが、この制度も平成18年、平成27年にそれぞれ自己負担額が引き上げられました。
(※高額療養費制度=毎月あるいは年間の医療費の自己負担に上限を設け、医療費や介護費用の自己負担が高額になることを防ぐ制度)

このような状況を考えると、日本の医療費の自己負担は今後増えるとまでは言い切れませんが、増やさざるをえなくなる可能性は十分にあるでしょう。今の若者世代が高齢者になる頃には、思わぬ負担水準になっている可能性もあります。

自助・共助・公助

医療費の高額負担を軽減してくれる健康保険制度は「公助」と「共助」で成り立っていると言えます。「公助」とは国の税金による負担のことで、「共助」とは加入者全員で保険料を負担することを意味します。この2つの「助」のお蔭で実際にかかった費用の数割を負担することで、医療サービスを受けることができています。 保険には、もうひとつ「助」があると言われています。それが「自助」です。つまり、自身の負担で保険に入り、いざとなったときに保険金を得ることで費用負担を緩和しようとすることです。
前述のように、将来的には公的保険の自己負担率は高くなる可能性があります。そのため「自助」を拡充しておくことの重要性は今後益々高まってくるかもしれません。

自分で何に備えれば良いか?

将来の備えとして「自助」を拡充しておいたほうが良い。というのは理解できても、実際に「保険」を選ぶとなると、実に多種多様で簡単ではありません。そこで今回は、わたしたちにとって身近といえる保険、「医療保険」で、これらについて考えてみたいと思います。

医療保険は病気やケガの治療のため病院にかかったり、入院や手術をするときに保険金が支払われる保険です。老後だけではなく、ケガのリスクなどを考えれば広い世代に、また明日にも必要となるような保険です。

公的保険があり、また高額療養費制度もあるため、「自助」の医療保険はさほど必要ではないのではないか?と思われた方も多いと思います。しかし近年の医療サービスの多様化を考えると、公的な保険ではカバーできないような費用負担も増えています。
こういったときにありがたいのが、民間の医療保険です。
次回は、自分にあった医療保険の選び方について解説したいと思います。

(コラム)雨の日に買えない傘は晴れの日にしか買えない

保険という商品は、傘にたとえられます。入院するような事態になったことを雨と表現すると、雨が降ってから傘(=保険)を買うことはできません。一般的には保険という商品は、晴れて健康に関する懸念のない時に加入することが原則となります。雨が降りそうとわかってしまってから、傘を買うことも場合によってはできない可能性もあります。
病気の心配が微塵もない、病気のリスクはない。そんな時にでなければ手に入れることが難しい変わった商品です。金融商品の中で考えれば、預金、個人向け国債、株式、投資信託など、健康状態次第で買えなくなるような商品はありません。しかし、保険は例外的に健康なときしか買うことの難しい特殊な商品です。必要な時には手に入れられず、必要のない時にしか手に入らない。トンチの世界のお話のようですが、本当の話です。今、皆さんの加入している保険はいざという時に支払われる契約内容になっているでしょうか。定期的に確認されることを、ファイナンシャルプランナーとしてお勧めいたします。

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

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