保険の有効活用術

Vol.8 医療保険選びのポイント Vol.8 医療保険選びのポイント

高橋成壽

profile

高橋成壽(たかはしなるひさ)

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。

FP王子の愛称で親しまれている新進気鋭のファイナンシャルプランナー。職種、業種、収入、性別を問わず相談を受けており、クライアント年齢も20代から90代まで老若男女から頼りにされる存在。100年安心して暮らせるプラン作りをモットーに、相談、執筆、講演を行っている。
1978年生まれ、神奈川県藤沢市出身。慶應義塾大学総合政策学部卒。NPO法人日本FP協会認定CFP®
近著・監修「もしもデューク東郷が終活ノートを作ったら(実業之日本社)」、「ダンナの遺産を子どもに相続させないで(廣済堂出版)」

前回は、保険には、自助・共助・公助があり、その中で「自助」として医療保険について触れました。医療保険とは、まさに「万が一のときにはあったら助かるけど、どこまでの備えが必要なのか?」が判断しにくい保険のひとつでしょう。今回は、医療保険選びのポイントを解説します。

医療費への備え

医療費と聞いて「老後の備え」と思った方はいませんか?年齢を重ねて行くうちに、身体の不調が増え病院に行く機会が増える・・・というのは誰もが思っていることだと思います。実際厚生労働省の平成28年度 国民医療費の概況によると、日本の医療費の6割は65歳以上の方々の利用によるというデータもあります。しかし「働き盛りで家族も子供の成長がこれから、という時に病気やケガで働けなくなったら?」というリスクへの備えはできていますか?実は貯蓄の少ない世代のほうが、このリスクへの備えは切実であり重要なのです。

働けなくなった時の費用面での対策はもちろんですが、働き盛りの世代にとっては、入院や治療を強いられても、その後の復活を目指す方も多いはずです。その時に治療の選択肢が資金的な都合で狭くなるというのは避けたいと思われます。早期復活を果たすためにも、できるだけ充分な治療や、新しい医療サービス、医療技術を受けたいと思うでしょう。そのときにありがたいのが医療保険です。

医療保険のポイント。既に加入している人も再チェックを

医療保険を考える上でのポイントは「入院給付」、「通院保障」、「先進医療を保障する特約」、そして「保険料の支払いについての特約」です。これから加入を考えている人はもちろん、既に何らかの医療保険に加入されている方も再チェックすることは重要です。民間の医療保険は医療制度の流れを汲んで常に変化を続けている保険です。もう加入しているから安心!ではなく、今加入されている医療保険が最近の医療の流れに合っているかを再度確認しておいたほうがよいでしょう。

・「入院給付」:入院給付は短期入院に対応しているか?
医療保険は元々生命保険の補完的な役割を担い、生命保険の特約として存在していました。当初の特約は、長期入院における医療費負担や収入の減少を補てんする意味合いが強く、短期入院では給付金が下りないようになっていました。たとえば20日以上入院しないと給付金を受け取れない契約も多くありました。
ただ近年は医療の進歩で、たとえばがんの手術でも、従前の開腹手術から腹腔鏡下手術へ移行してきており、手術から2~3週間後には退院となるなど、入院から退院までの期間が短くなっています。そのため、医療保険も短期入院に対応したものが増えてきており、7日以上の入院、5日以上の入院、1泊以上の入院、日帰り入院などの短期入院でも給付金が受け取れるものや、入院した時点でまとまった一時金が受け取れるものも多くなっています。若い世代などは回復力も早いことを考えると、あまり長期の入院に対応したものでなくても良いかもしれません。

なお保険の有効期間はかつて80歳になると保険期間が終了することが一般的でしたが、今は一生を保障するタイプが主流となっています。80歳で医療保険が終了しては、最も必要性が高くなる年代に保障が無くなってしまうので、現在加入されている方は確認しておいた方が良いでしょう。

・「通院保障」:ますます重要視される傾向に
通院保障は一時期、軽視される頃もありましたが、最近は退院後に通院する割合が8割を超えるなど、通院患者数が増え続けていることから、通院保障の重要性が高まっています。特にがんについては、平成20年以降、外来患者数が入院患者数を上回っており、がんの治療は通院治療が主流になっています。今では働きながら治療する「ながらワーカー」という言葉もあるように、通院への備えは非常に重要だといえるでしょう。

・「先進医療を保障する特約」:治療の選択肢を広げられる
最近の医療保険は先進医療を保障する特約がついているものが多くなっています。先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養で有効性や安全性について一定の基準を満たしている治療法や医療技術で、たとえば白内障の新しい治療法やがんの放射線治療まで様々な先進医療が使われています。
ただしこれらの技術料には公的医療保険は適用されず全額自己負担 となります。たとえばがんになった場合に、先進のがん治療を受けてみたいと思っても、全額自己負担での先進医療は支払いが高額になるために断念せざるを得ない・・・というのは残念なことです。しかし、もし医療保険の特約で先進医療の技術料の一部でも医療保険でまかなうことができるなら、最新の治療方法を受けられる可能性を高めることができます。がんの治療に用いられることが多い重粒子線治療や陽子線治療などは300万円程度の支払いが必要とされ、治療費の捻出は先進医療特約なしには容易に選択できません。治療の選択肢を広げる意味でも、先進医療への保障がついているか確認するとよいでしょう。

*1 先進医療による療養を受けた場合、診察・検査・投薬・入院料などの一般治療と共通する部分には公的医療保険(健康保険)が適用されます。

・「保険料の支払いについての特約」:肝心なときのために
最後に、保険料の支払いについての特約がついているかも確認しましょう。保険商品は保険料を払い続けなければ、いざという時に給付金を受け取ることができません。特に、支払いが長期にわたるプランの場合、契約期間の途中で大きな病気で働けなくなったり、支出がかさんで保険料の支払いが厳しくなることがあります。そのような場合に、保険料の支払いを免除する特約がついていると安心です。例えば、がん、脳卒中や心筋梗塞で所定の状態になったときに保険料支払いを免除する特約など、付加できる保険もあります。一生涯の医療保障を望む方は、保険料免除の条件をよく確認しましょう。

専門家の知恵は重要

近年の医療保険はさまざまなサービスや特約が拡充されていますので、これから加入する場合でも見直しの場合でも、自分に合った、かつ今の時流にあった保険をご自身だけでの判断のみで探すのは相当に難しいと思われます。今回の記事をご参考にしていただきながら、銀行や保険会社の担当窓口、FPなどに相談されることをおすすめします。

次回は、もし民間医療保険に入れなくなった場合どうするか??をご説明します。

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