住宅ローン脱ハンコ?住宅ローンにおける電子契約のススメ

仕事上で責任者のハンコ1つで仕事が何時間も止まってしまった、という経験をお持ちの方は少なくないと思います。各種手続きの過程で押印を必要とする文化は、「働き方改革」や「生産性向上」の阻害となると言われており、河野太郎行政改革大臣(2020年12月時点)が脱ハンコの改革を求めたことをきっかけに、各省庁では手続きの効率化の検討が進められています。そして最近では各種手続きの書類が煩雑であった金融業界でも脱ハンコの動きが広まって来ており、一部の金融機関は住宅ローン契約についても電子契約が可能となりました。このコラムでは、金融機関で普及し始めている住宅ローンの電子契約について解説していきます。

住宅ローンの手続きの流れ

住宅は一生で最も大きな買い物だと言われています。人生でそう何度もない住宅ローンの契約手続きに慣れているという方は少ないでしょう。一般的に金融機関における住宅ローンの申込は以下の流れで進められます。

住宅ローンを組むための銀行選び→(仮審査)→本審査→契約手続き→住宅ローンの実行

もし住宅ローンの手続きを全て銀行の窓口で行う場合、審査を進める前の相談も含めると、審査契約手続きまでで23回程銀行への訪問が必要になります。通常、銀行の営業時間は平日の日中となっており、この時間は働いているという方は休暇を取らないと銀行の窓口に行けない方が多いのではないでしょうか。1つの銀行の手続きならまだしも、複数の銀行の条件を比較し、幾つかの銀行で仮審査を進めるケースを考えると、住宅ローンの手続きが仕事に影響する可能性も否定できません。

さらに、対面型の手続きだと書類に不備があった場合に再来店が必要になる等、利用者側の負担が大きくなるケースもあります。

住宅ローンで広がる電子契約のメリット

このような状況を鑑みて、昨今では住宅ローンの申し込みから契約手続きまでの流れをリモートで進められる銀行が増えてきています。

自分にできるのかと不安になる方も少なくない住宅ローンの電子契約ですが、利用者にとっては一般的に以下のようなメリットがあります。

  • ①金融機関の店頭への来店は不要
  • ②電子情報のため書面記入や押印が不要
  • ③印紙代(税)がかからずお得

まず、銀行の店頭への来店が不要であることのメリットは、忙しい方がご自身の空き時間で手続きが進められるということだけでなく、感染症予防の観点でもプラスだと言えます。

中には、審査の申し込み、審査に必要な書類の提出、契約手続きをウェブ上で進めることができる銀行もあります。中古物件の場合、申し込みから契約、引き渡しまでのスケジュールが新築物件と比較するとタイトになることが多いので、来店せずウェブ上で手続きが済むのは利用者としては有難いことでしょう。

次に、電子契約で手続きを進める場合、大抵のシステムでは、1度入力した情報が他の手続きにも反映されます。書類の手続きの場合、住所、氏名、生年月日などの情報を何度も記入しなければならず、それが書き損じなどの不備の原因になっています。電子契約であれば、入力内容さえ間違わなければ、書き損じのような不備が発生することはありません。

さらに、住宅ローンを書面での手続きで進める場合、契約書1部ごとに印紙代(税)がかかります。印紙代(税)は借入額が1,000万円超5,000万円以下の場合2万円、5,000万円超1億円以下の場合6万円となっています。住宅ローン契約をウェブ上で完結させる場合、書面が発生しないためこの印紙税はかかりません。これだけでも、電子契約を進める方には経済的利益もあると言えます。

住宅ローンにおける電子契約の注意点

一見便利で良いことばかりの住宅ローン電子契約ですが、一般的に以下のような注意点もあります。

  • ①パスワードなどの管理が必要
  • ②紙で契約書の控えなどを手元に残すためには印刷が必要
  • ③一般的に電子契約利用手数料がかかる(新生銀行の場合 電子契約手数料 税込み5,500円)

住宅ローンの電子契約はウェブサイト上で行います。そのためログインIDやパスワード等の重要情報を自分で管理しなければいけません。

万が一IDやパスワードを無くしてしまうと再発行の手続きに手間と時間を要します。

次に、契約書を控えとして手元に紙で残しておきたい方はプリントアウトをしておく必要があります。

さらに、一般的に、電子契約を利用する場合は手数料がかかります。

住宅ローンを電子契約で進める前に注意しておくべきこと

住宅ローンを電子契約で進める前に、ご自身でライフプランを見据えた返済計画を立てておくことが必要です。

例えば、元利均等返済で35年ローンを組む場合、金利の変動がなければ毎月の返済額は一定になります。30代40代の収入が伸び盛りの時には問題にならない支出でも、60代になり再雇用となった時の収入では支出に耐えられなくなる場合があります。退職金の有無の確認や今の職業を続ける場合の収入シミュレーションを行いましょう。

また、収入が大きく変化するタイミングは上記の再雇用のタイミングの他に、子供が生まれたことで共働き世帯が専業主婦世帯になる時、転職によって仕事を変える時、開業や起業などにより収入が不安定になる時などが挙げられます。今の収入と家族構成だけで判断するのではなく、将来の変化も見据えて返済の可否を検討しましょう。銀行によってはビデオ通話や電話で、リモートでも専門スタッフに相談することができるところもあります。銀行選びには相談のしやすさも考慮するとよいでしょう。

また、住宅ローン契約自体は電子契約で全て完了するものの、銀行が借主の自宅に抵当権を設定するための登記関係書類には署名押印が必要になる可能性があります。抵当権とは、万が一借主の経済的な理由で返済が滞り、自宅を競売にかけた場合に、抵当権者が優先的に弁済を受けられる権利です。抵当権設定には住宅ローンの契約とは別に司法書士との面談が必要になる場合はありますので、念頭に置いておきましょう。

また、住宅ローンの電子契約の際は、契約内容が傍受されないよう、公共のWiFiは利用せず、自宅の暗号化されたWiFiを利用するようにしましょう。

まとめ

ここまで見てきた通り、住宅ローンの電子契約は時間的な自由度、経済的なメリットを踏まえると非常にメリットが大きい契約形態だと言えます。各銀行の競争原理の観点から住宅ローン契約の電子化の動きはさらに進むと考えられます。

【執筆者】
遠藤功二(えんどうこうじ)
・CFPR
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

  • ・本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
  • ・金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • ・上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を新生銀行が保証するものではありません。
  • ・また本稿の内容は2021年2月28日時点の情報に基づきます。

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