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2019年7月更新(2010年6月掲載開始)

オーストラリアドル この先の見通しは?

特集 オーストラリアドルこの先の見通しは? 特集 オーストラリアドルこの先の見通しは?

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

INDEX

今後の見通し

レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 営業本部 クライアントサービス部 次長 菊地 裕也 氏

レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 営業本部 クライアントサービス部 次長

菊地 裕也 氏

豪ドル/円の為替相場は、国外要因の影響を受ける場面も予想されるものの、再評価される可能性があるものと考えられます。

豪ドル/円の為替相場は引き続き米国の通商政策などの国外要因の影響を受ける場面も予想されるものの、相対的に堅調な経済成長率や高水準の貿易黒字、所得税減税などの景気刺激策の実現により、豪ドルは再評価される可能性があるものと考えられます。
オーストラリアでは、実質GDP成長率が2019年2.1%、2020年2.8%、2021年2.8%と、米国や日本と比べても相対的に高い経済成長が予測されており、今後も緩やかな成長が続く見込みです(IMFによる2019年4月公表値)。
政策金利は2019年7月に2ヵ月連続となる利下げにより過去最低の1.00%へ引き下げとなりました。市場では2019年末までにあと1回の追加利下げが予想されていますが、現状の豪ドル相場には概ね織り込まれていると考えられます。

これからどうなる?今後の政策金利動向

豪州準備銀行(RBA)は2019年7月に、2ヵ月連続となる0.25%の利下げを決定しました(政策金利は過去最低の1.00%へ引き下げ)。RBA総裁は先行きの金融政策に関して、労働市場の動向を注視しながら、景気支援のために追加利下げを実施する可能性にも含みを持たせました。

2019年7月2日時点の先物市場が織り込む2019年末の政策金利予想では、もう1回の利下げが実施される確率が38.3%とメインシナリオとして見込まれています。
RBAの利下げ決定当日の豪ドル相場の反応は、概ね横ばいでの推移となりました。利下げ決定は大方の市場参加者の予想通りの結果であったことから、実際のRBAの利下げ決定は豪ドル相場にとっての悪材料とは捉えられていない模様です。

むしろ、RBAの利下げ決定によって豪州の金融政策を巡る不透明感が払しょくされ、金融緩和による先行きの景気下支え効果への注目が高まれば、豪ドル相場の見直しに繋がる可能性があると考えられます。

オーストラリアの政策金利とインフレ率の推移

オーストラリアの政策金利とインフレ率の推移

(出所)レッグ・メイソン・アセットマネジメント提供データをもとにSBI新生銀行作成

気になる 消費・輸出・経済政策について

人口増加を背景に消費は堅調

オーストラリア経済の成長エンジンは、「人口増加」です。国連の予測では、2015年から2050年までに総人口は約1.4倍になる見込みです。先進国であるオーストラリアで人口が増加する要因は、移民政策です。技術がある人、金融資産がある人などを中心に受け入れており、インドや中国からの移民が多くなっています。
人口が増えるということはそれだけ消費も増えますので、オーストラリアの小売売上高は安定的に伸びています。

主要国の予想人口増減率

主要国の予想人口増減率

小売売上高の推移

小売売上高の推移

(出所)レッグ・メイソン・アセットマネジメント提供データをもとにSBI新生銀行作成

資源輸出は拡大傾向

人口増加によって空港や高速道路といったインフラへの需要が高まっていることや、政府が資源だけではなくより広範囲のセクターがけん引する経済への構造転換を進めていることなどから、インフラ投資による景気刺激効果が期待されます。豪政府予算案では、今後10年間のインフラ向け拠出額を従来計画の750億豪ドルから1,000億豪ドル(約8兆円※1豪ドル=80円換算)へ引き上げる方針を打ち出しています。

オーストラリアの資源輸出額の実績と予測

オーストラリアの資源輸出額の実績と予測

(出所)レッグ・メイソン・アセットマネジメント提供データをもとにSBI新生銀行作成

オーストラリアのエンジニアリング・建設工事の支出額
(除く資源プロジェクト)

オーストラリアのエンジニアリング・建設工事の支出額(除く資源プロジェクト)

(出所)レッグ・メイソン・アセットマネジメント提供データをもとにSBI新生銀行作成(期間)1999年~2018年
※公共・民間部門の合計

今後、総選挙で勝利したモリソン政権による経済政策が注目されます

2019年5月の豪州総選挙では与党・保守連合が勝利し、モリソン政権が続投となりました。早期の財政黒字化見通しを背景に財政政策の裁量が増すなか、今後モリソン政権が掲げる所得税減税や中小企業向け法人税減税、インフラ投資など、市場や企業寄りの経済政策の進展が注目されます。

オーストラリア政府予算案の主な政策概要

政策 概要
所得税減税 主に低・中所得層を対象に、今後10年間で総額1,580億豪ドル規模の追加の所得税減税を実施。
現在4段階(19%、32.5%、37%、45%)の所得税率を2024年度には3段階(19%、30%、45%)へ簡素化し、所得税率の引き下げを図る。
中小企業
向け減税
即時減価償却額の上限を2.5万豪ドルから3万豪ドルへ引き上げ。
年間売上高5,000万豪ドル未満の中小企業の法人税率を、現行27.5%から2021年度に25%へ引き下げ(当初計画を5年前倒し)。
インフラ
投資
今後10年間のインフラ開発への拠出額を従来計画の750億豪ドルから1,000億豪ドルへ引き上げ。
メルボルン~ジーロング間の高速鉄道に20億豪ドルを拠出。
都市混雑の解消のためのインフラ基金への拠出を10億豪ドルから40億豪ドルへ増額。
輸送ルート改善のため道路建設への拠出を35億豪ドルから45億豪ドルへ引き上げ。

(出所)レッグ・メイソン・アセットマネジメント提供データをもとにSBI新生銀行作成

豪ドル関連で運用前にリスクをチェック!

豪ドル関連に投資する上で、しっかり確認しておきたいリスク要因は、「財政引き締め」「新興国経済の落ち込み」「一段の利下げ懸念」「資源価格の下落」「世界的な天候不安」などが挙げられます。

「財政引き締め」

2008年のリーマン・ショックで国内経済が急激に悪化したため、オーストラリア政府はそれまでの良好な財務体質を活かして、巨額の財政出動を伴う景気対策を実施しました。その効果もあり、徐々にオーストラリア景気が回復に向かいはじめたことでオーストラリア政府は、財政の改善に転換する方針を打ち出しています。しかし、あまりに早期に財政を引き締め過ぎるようだと、ようやく底打ちから回復に向かいはじめた景気も、再び“腰折れ”してしまうリスクがあります。

「新興国経済の落ち込み」

オーストラリア経済は中国向けの輸出に代表されるように、資源や農産品の輸出において、新興国の景気動向に影響を受けやすいといえます。そのため、政治が不安定だったり、財政や金融政策が未熟な一部の新興国の政治手腕にオーストラリアの景気が大きな影響を受ける可能性もあります。

「一段の利下げ懸念」

オーストラリア政府は、前述のように財政の改善を優先する方針を示しています。そのため、財政の引き締めや、新興国経済の落ち込みなどで、今後再びオーストラリアの景気が悪化した場合は、景気のテコ入れ策は「金融緩和」が主な手段となると考えられ、オーストラリアの金利が一段と低下する可能性があり、金利低下は豪ドル安要因となります。

「資源価格の下落」「世界的な天候不安」

資源国であるオーストラリアにおいては、2000年以降、資源価格の上昇を追い風に海外投資家や事業会社が鉱山などの資源開発に積極的に投資を行ってきました。その資源開発投資がオーストラリアの雇用の一部を担い、さらに投資や消費を促すなど経済発展に大きく貢献してきました。そのため資源価格の下落は、輸出の減少のみならず、資源開発投資の減少につながり、オーストラリア経済に大きな影響を与える可能性があります。

また近年の世界的に不安定な気候の影響で、オーストラリアでも大規模なかんばつや洪水被害を引き起こし、農作物の生産にも多大な被害が及ぶなど、近年の異常気象の多発はオーストラリア、豪ドルへの投資のリスク要因となりつつあります。

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  • この資料は公に入手可能な情報・データに基づくものですが、弊行がその正確性・完全性を保証するものではなく、その内容を随時変更することがあります。
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