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投信のコストは「プロを雇う」費用 投信のコストは「プロを雇う」費用

島田知保

profile

島田知保(しまだ ちほ)

イボットソン・アソシエイツ・ジャパン(株) 月刊「投資信託事情」発行人・編集長。国際基督教大学卒。食品会社、国立研究機関、衆議院議員秘書を経て1995年より「投資信託事情」発行人・編集長。同誌は創刊51年目を迎える投資信託の専門誌。プロ向け、一般向けを問わず、一貫して長期・積み立て・分散投資をテーマに活動。幸せ作りの道具として、お金や金融商品と「あんしん」して付き合うことを提案している。

投信は大勢の仕事に支えられている

投資信託の魅力のひとつは「プロに資産運用をお任せ」できることです。ただし、プロに任せるには、それなりのコストがかかります。そのコストを何となく「取られる経費」と考えるのではなく、「自分がプロを雇っている費用」と意識すると、コストを支払うことの意味が見えてきます。投資信託には、運用をする人だけでなく、様々な仕事をする大勢のプロが関わっており、投資をする人はそのコストを手数料や信託報酬などの形で支払っているのです。
そこで、今回は投資信託に関わっている様々な「プロ」と「コスト」について見ていきましょう。

運用会社は投信のメーカー

さて、自動車や家庭用電器製品について考えてみましょう。商品を製造する会社の名前が、すぐにいくつか思い浮かぶのではないでしょうか。投資信託にも製造する会社、いわばメーカーがあります。これが投資信託の「運用会社(委託会社とも言います)」です。
ただし、投資信託の場合は、出来上がった投資信託をお客様がただ保有するだけでは済みません。投信のメーカーは、自分の製品である投資信託がお客様の手に渡った後も、その投資信託が償還するまで、常に運用を続けることになります。もし皆さんが個人で運用する場合には、株式や債券など何に投資をするか、その中でもどの銘柄に投資をするか、そして、いつ買って、いつ売却するかなど、情報を集めて分析し、自分で判断する必要があり、またそのためには、手間と時間と知識が必要です。そのような仕事を個人投資家に代わって投資信託という金融商品の中で行なってくれるのが運用会社です運用会社には情報収集・分析のプロであるアナリストや、運用に関わる判断を下して運用を行なうファンドマネジャーなどが所属し、働いてくれるのです。

また、運用会社の中には、運用のプロのほかにも、どんな投資信託を作るか検討する部署や、金融商品として法的な手続きを行なう部署、運用中の投資信託のデータを確かめたり分析する部署、お客様や販売会社に向けて資料や報告書を作る部署、実際に説明を行なう部署、ほか様々な部門があります。

信託銀行と販売会社の役割

投資信託では、投資信託では、「運用会社」のほかに、「信託銀行=受託会社」と銀行や証券会社などの「販売会社」という会社の存在も不可欠です。

まず投資家であるみなさんが購入した資金は、運用会社や販売会社の資産とは別に、投資信託ごと、お客様の口座ごとに時価で管理されます。この「分別管理」や、実際の運用においての売買執行、運用中の計算業務などを行なうのが「信託銀行(受託会社とも言います)」です。ここでしっかり管理されているからこそ、万一運用会社や販売会社が倒産しても、投資信託の資産は「分別」して守られるわけです。
投資信託を販売するのが、銀行や証券会社などの「販売金融機関(販売会社)」です。車で言えばディーラーという所でしょうか。販売会社は、投資信託を販売するにあたってお客様に必要な書類(目論見書など)を交付し、説明や情報提供等のサービスを提供しています。多くの販売会社では、セミナーの開催や、ウェブサイトを用意したり、さらには、お客様が保有中の投資信託について、運用報告書を郵送や電子メールで送付したり、問い合わせに対応したり、市場が大きく変動したときに自社や運用会社が作成したレポートを配信するなど、販売した投資信託についての情報提供も行いお客さまへのサービスも提供しています。

投資信託の主なコストの意味

投資信託のコストは、買うときにかかる「購入手数料(無料のものもあります)」、保有期間中にかかる「信託報酬」、さらに一部の投資信託では売却時にも手数料がかかるものもあります。
まず「購入手数料」についてですが、これは販売会社に対して支払う手数料(費用)で、「販売手数料」などと呼ばれることもあります。これは、購入時に投資信託について説明を得るいわゆるサービスへのコストといえるでしょう。「それならウェブサイトで自分で判断して購入するから手数料はもっと安くならないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。そのような声を反映して、たとえば販売会社の中には、店頭での取引時にかかる手数料とウェブサイトを通じて購入される場合の手数料に差をつけているところもありますし、ネット専業の金融機関では総じて店頭取引の金融機関などと比べて相対的に安い手数料を提供しているところも多いようです。

しかし、販売会社としても、たとえばウェブサイトを整備し、常に新しい情報に更新したり、セキュリティを保つための費用がかかります。これは、皆さんが安心して取引するために販売会社に払うコストと考えてみてはどうでしょう。
続いて、投資信託を購入した後、保有中には「信託報酬」というコストがかかります。これは、いわば投資信託のメンテナンスにかかる費用です。保有中の投資信託の資産から一定の率で差し引かれ、運用会社(委託会社)・販売会社・信託銀行(受託会社)の3社に自動的に支払われます。

繰り返しになりますが、投資信託は常に運用されており、運用会社はそのために情報収集・分析とそれに基づく判断が行なわれ、実際の運用を皆さんに代わってしてくれています。
また週次、月次などのレポートも作成し情報提供も積極的に行っています。つまり、先ほどご説明した運用のプロへの報酬です。受託会社も、先ほど紹介したように、資金を分別管理したり、売買執行、計算業務など専門性と信頼が求められる業務を担っており、こちらのプロにも費用を支払う必要があります。そして販売会社も、折々の保有者の問い合わせに答えたり、運用期間中には皆さんを日々サポートしていますので、お客さまをサポートしてくれる専門家にも費用がかかります。

すでにコストを負担しているのですから、遠慮は要りません!

投資信託を購入するということは、自分の資産を運用・管理するために、このようなコストを支払って「大勢のプロ」を雇うという意味合いもあります。投資信託の購入者は提供される情報やサービスの対価を支払っているのですから、「こんなことを聞いたら恥ずかしい」などと遠慮せずに、どうぞコストに見合うサービスをしっかり享受してください。
なお、プロにお願いしているからといって必ず成果が得られるものではありません。

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

  • ・本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
  • ・金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • ・上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を新生銀行が保証するものではありません。